私立大の入試担当者は毎年「歩留まり率」に悩んでいる。たとえば某大学の某学科では定員どおり100人の合格者を出しても、実際に手続きをする受験生は30人ほど。そこを見越し、最後に帳尻が合うよう多めにサクラを咲かせておくのだ。読みの達人もいるという。
▼見通しが狂って、定員を大幅に上回ると悲惨である。教室から学生があふれ、国からは補助金削減の罰を食らう。歩留まりの推測はじつに綱渡りなのだ。ところが同じような芸当を航空会社もやっていることを、米ユナイテッド航空の騒動で知った。オーバーブッキング(過剰予約)による乗客引きずり下ろしのひと幕だ。
▼シカゴからケンタッキー州のルイビルへ向かう国内便。帳尻合わせにしくじり、どうしても4人が乗れなくなった。これ自体は、ままあることだという。しかし自発的に降りる人がいなかったから暴挙に出た。患者が待っているという医師を客席からゴボウ抜きして降ろし、その映像が世界中に拡散して批判が収まらない。
▼米国では昨年1年間に、予約便に乗れなかった人が4万人に上ったそうだ。こんどの騒ぎは極端なケースだが、効率だけを重んじた詰め込み運航もほどほどに、と願いたい。そういえばかつて、ある大学では定員超過に困り、新入生に他学部への転籍を促したことがあった。下手なオーバーブッキング術は人生も狂わせる。