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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


『男と女・夫婦・家族の幸福の知恵』 [2014年11月22日(Sat)]
前回、浦安市日の出公民館の男女参画課題学習
講演をした。以下講演レジメを報告する。

脳科学に学ぶ『男と女・夫婦・家族の幸福の知恵』
      
はじめに
 ・男と女ーこの不可思議な関係
 ・脳の仕組みを知ろう!
 ・脳は幸せになるようにプログラムされている。
 ・幸せになるまで満足しないしできない。  
1 脳のしくみ
 ・脳も夫婦も愛「つながりと深まり」
 ・脳は3層 (力強く愛し、激しく愛し、優しく愛す)
 ・脳全体・体全体を使って人格の完成に至る。「結婚人格が
  核」
 ・心の安定・学ぶ意欲・人間性
 ・人間力は総合、8知能をまとめて使えば使うほどよくなる。
 ・幼少期が最重要!幸せの基礎・土台
 ・原理は愛!いのちの原理は愛
 ・愛されたら嬉しい。真っ赤に染まる。(別紙)
 ・疎まれたら切ない。憂鬱で心は晴れない。(別紙)
 ・愛の始まりは繋がること(ニューロン結合)
 ・日々伸ばす新しい発見
 ・関心の強さが愛情を増強する。
 ・優れた夫婦はスッキリつながる。
 ・優れた夫婦は、混線させない。
 ・正常な神経と混乱・混線した神経
 ・脳もバランス・夫婦もバランス
 ・だれにも欠損がある。残存能力を生かす。補完と支援
 ・ヒトは野生型が基本、過度に人工的にならないこと。
 ・ヒトは誰でも「腹の虫」で動く。
2. 男の脳・女の脳
 ・外からみたらほとんど変わらない。
 ・しかし、内部をのぞくと・・・
 ・違いが多い、男脳と女脳(神経核の大きさ・神経細胞の数
 ・どこと繫がっているか・シナプス・伝達物質・経験や環
  境への反応度)*反応差が構造差を生む。
 ・女性が優位、優位脳は女性が多い。女性の生命力が強い。
 ・男性は右脳(イメージ立体)、女性は左脳(言語・近傍)
 ・減量・運動・減塩・節酒、男・女に違い、レセプター?
 ・性差医療の導入
 ・年齢別に見た脳重量の性差
 ・生殖器官の重量変化
 ・視床下部の性中枢
 ・性的二型核(SDN-POA)
 ・INAH(1〜4)・PVN(室傍核)・SO(視索上核)
 ・脳の性分化臨界期(アンドロゲン)
 ・男脳・女脳の特徴をまとめると・・・(別紙)
3. 脳科学から見た「夫婦のすれ違い」
 ・違いを生かすー脳の原則8カ条ー・・(別紙)
 ・前頭前野:男女の違い
 ・ホルモンの作用
 ・男はダメージに弱い、ダメージを受ける範囲が広い。
 ・見方・考え方・話し方まで違いが・・男が想像さえしない
  ことまで・・・。
 ・会話の中の性差
 ・性行動にも育て方にも・・・
 ・ホルモンの流れ
 ・視床下部の性中枢 A10快感中枢→第一次性欲中枢→第
  二次性欲中枢(男)・第二次性欲中枢(女)
 ・ヒトの分界条床核(BST)の性差・・・男は女の2〜3倍
 ・性行為に楽しみを見出せない性差率・・・女は男2〜3倍
おわりに
 ・脳も夫婦も愛、力強く・激しく・優しく

参照(別紙)
1 愛されると脳は全開する。
 @ 安定した良い子になります。
 A 先生の話をよく聞き、進んでやる子になります。
 B 忍耐強く親切で、優しい子になります。
 C 当然、勉強のできる子になります。(桑原作成)

2 愛されないと脳は閉じる。
 @ 寂しく、やる気のない子になります。
 A 短気で、意地悪な子になります。
 B 不安定で、自分勝手な子になります。
 C 妬んだり、やっかんだりする子になります。(桑原)

3 男脳・女脳の特徴のまとめ
 @ 男よりネオテニー的(幼児的特徴を持つ)
 A 脳重の比率 女2.2%vs男2.0%
 B 脳梁膨大部が男より大きい。(言語機能)
 C 前交連が12%大きい。退化しにくい。
 D 皮質の厚さに左右有意差がない。
 E 雄ラットでは性的二型核がメスの5倍もある。
 F 視交叉上核は若者2倍、70歳以上は変わらず
 G 男:テストステロン 女:エストロジェン(抗鬱、記憶)
 H 子サルの男はメスの5〜10倍も遊びの喧嘩が好き
 I アルツハイマー病:男性より約3倍かかりやすい。 

4 脳の原則8カ条
 @ 脳はオープンマインドである。
  *脳が閉じれば閉じるほど、人格がゆがんでくる。表情も
   自然でなくなる。秘密が多ければ多いほど公明正大でな
   くなる。
 A 脳は全体最適を求めて機能する。
  *脳は全体で機能する。社会事象も全体で機能する。家長
   は家庭全体を考え、校長は学校全体を考える。市長は市
   民全体を考え、知事は県民全体を考える。当然国会議員
   は国全体を考える。組織の長が全体を忘れたら必ず組織
   はおかしくなる。
B 脳は相互補完で働く。
  *目的と相互補完を忘れた時、個人も組織も機能しなくな
   る。強い者中心・弱いものいじめ、攻撃・排除が組織を
   破壊する。
C 脳の目的は「幸せ」である。
  *脳は満足を求めて機能する。個人にとっても社会にとっ
   ても「幸せ」が目的である。当然ながら政治の目的は「
   国民の幸福度」を一歩でも上げることである。
D 脳は出力に依存する。
  *脳は入力よりも出力に依存して発達する。入力しても出
   力しなければ回路として完了しない。読書したらメモ・
   感想を書く。一日が終わったら日記を書く。情報が書類
   のように積み重なって想起できなくなる。脳が錆つく。
E 脳はネットワークで機能する。
  *家庭も学校も会社もネットワークで機能する。ネットワ
   ークが良い会社は業績が上がる。社員は生き生きしてい
   る。
   活気がある。フットワークもよい。仕事も早い。混乱や
   混線がない。逆の場合は大変、逆の現象が次々に出てく
   る。
F 愛が脳を活性化する。
  *教育は愛!愛こそ教育、教育・人材育成の大原則である
   。テクニックがどんなに優れていても愛がなければ無に
   等しい。「よくできる」先生が、いつの間にか、子ども
   が嫌いになり距離をおき、子どもから離れていく。愛の
   ある先生はどの先生も子どもを大事にし、粘り強く技術
   を磨き良い先生になっていく。
G 脳はウソをつけない。
  *脳はやったとおりになる。脳の回路を誤魔化すことがで
   きない。痕跡が残る。ヒトは生きた通り死んでいく。ウ
   ソをつけない時代がやって来た。
仮説 合脳性が高いほど優れた人間になる。
  *脳の原理に合った行動が優れた人間を生む。合脳性が高
   いほど優れた人間になる。

5 夫婦を生かす5つの愛情表現
 @ ほめる。
   ・事実をほめる。褒めることはいくらでもある。 
   ・「かわいいね」・「愛してる」・「あなたのおかげ」
   ・「一緒で良かった。」
 A 優しくそっと触る。
   ・握手する。・手を添える。・はぐをする。      
 B 情動中枢(心の底)に話しかける。
   ・「○○さん、今日もありがとう。いてくれてありがと
    う。うれしいよ。」
 C 黙ってほほ笑む。 
   ・喜びがジワッとくる。脳内にセロトニンが分泌する。
   ・セロトニンは「癒し系」
   ・「怒鳴る・けなす・ケチ・嫌味」は、セロトニン神経
    を閉じさせる。
   ・誰でも表情に敏感、豊かな表情を好む。
 D 優しく見つめる。

6 脳構造の性差形成
 @ 脳構造の性差形成は発達期より開始され、発達期の精巣
   から分泌されたアンドロゲンが作用すると、性的に未分
   化な脳がオス型に分化する。
 A 一方、メスは発達期にアンドロゲンが作用しないので脳
   がメス型になる。
 B アンドロゲンが作用して脳の性分化の方向性が決定され
   る時期(脳の性分化臨界期)は動物種によって異なり、
   ラットの場合、出生前5日頃から出生後5日頃である。
 C ヒトの性分化臨界期は胎生12週から22週頃と推定され
   ている。
 D 発達期のメスラットにアンドロゲンを与えると遺伝的に
   はメス(XX)であっても脳がオス型になる。
 E 発達期にアンドロゲンの働きが阻害された遺伝的オス
   (XY)は脳がメス型になってしまい、遺伝子と脳の性
   の不一致が起こる。
 F 発達期に分泌されるアンドロゲンは脳の性分化におい
   て極めて重要な働きがある。
 G ラットやマウスの場合、精巣から分泌されたアンドロ
   ゲンは、脳内で芳香化酵素(アロマターゼ)によって
   エストロゲンに変換されて作用することがあり、オス
   型脳の形成には芳香化したアンドロゲン、すなわち、
   エストロゲンが主要な役割を果たす。

7 埼玉大学の性分化研究
 @ 脳の性分化はホルモンに対する依存性が高く、臨界期
   におけるホルモン作用のかく乱は、脳の性分化に影響
   を及ぼす恐れがある。
 A 内分泌かく乱物質による脳の性分化への影響は動物実
   験によって確かめられた。
 B 加えて、内分泌器官のホルモン分泌に対する化学物質
   曝露の影響が、脳の性分化の異常を引き起こす原因に
   なることも考えられる。。
 C 脳構造の性差はヒトの脳にもあります。ヒトでは性指
   向性(異性愛、同性愛)や性同一性(自身の性別に対
   する認識)に関係すると考えられる性的二型核が存在
   し、神経解剖学的にはそれらに相同する部分が動物の
   脳にもある。
 D 動物をモデルに脳の性分化研究を通し、健康リスク低
   減に向けた環境化学物質の影響評価の取り組みや男ら
   しさと女らしさを形作る脳の実体解明に貢献してゆき
   たい。            (埼玉大学理学部)

8 発達期の性的二型核におけるアポトーシス
 @ 発生初期の脳では、過剰にニューロンが産生されてい
   る。
 A ニューロンはその発生部位である神経上皮から移動し
   て最終定位置に辿り着くと、神経突起を伸ばしてシナ
   プスを形成し、神経ネットワークを構築する。
 B この一連過程の中で、ニューロンの半数以上がアポト
   ーシスという細胞死の現象によって脳の構成要素から
   脱落する。
 C 発達段階の性的二型核では、ニューロンの発生、移動
   、アポトーシスなどに性差が生じると考えらる。
 D ラットの視索前野にあるSDN-POA(Sexually
   dimorphic nucleus of the preoptic a rea)
   は内側視索前核のニューロン群であり、オスのSDN-
   POAはメスのSDN-POAよりも大きく、多くのニュー
   ロンが含まれている。
 E 終板器官の直後から第三脳室を取り囲むように存在す
   る前腹側脳室周囲核(anteroventral periventricular
    nucleus: AVPV)は、大きさやニューロン数がメス
   において優位な性的二型核である。(排卵に関与)
 F 発達期のSDN-POAとAVPVでは、アポトーシスを起こ
   して死んでゆく細胞数に性差があり、その性差は成熟
   期のニューロン数の性差と全く正反対であることが知
   られている。
 G メスのSDN-POAとオスのAVPVのアポトーシス細胞数
   は異性に比べて多い。
 H ミトコンドリアのチトクロムc放出調節を介したアポト
   ーシス経路が性的二型核の形成に関与すると考えられ
   る。Bcl-2ファミリーに属するBcl-2はチトクロムc放
   出を抑制してアポトーシスによる細胞死を防いでいま
   す。反対に、Baxはチトクロムc放出を促進してアポト
   ーシスの誘導を促す。

9 アポトーシスの性差
 @ ミトコンドリアからチトクロムcが細胞質へ放出される
   と、カスパーゼという一群のタンパク質分解酵素が次々
   と活性化されてアポトーシスが実行される。
 A 発達期のSDN-POAでは活性型カスパーゼ-3を含む細胞
   はメスにおいてオスよりも多い。AVPVでは、SDN-POA
   とは反対に、活性型カスパーゼ-3を含む細胞はオスに多
   い。
 B このことから、カスパーゼー3の活性化を介したアポト
   ーシスによって、死滅細胞数の性差が生じるのだと考え
   られる。
 C さらに、発達ラットのAVPVとSDN-POAでは、カスパー
   ゼ-3の活性調節に関与するBcl-2とBaxの発現に性差があ
   ることも明らかになった。
 D SDN-POAでは、アポトーシスを抑制するBcl-2の発現は
   オスにおいて高く、アポトーシスを促進するBaxの発現
   はメスにおいて高い。
 E AVPVでは、Bcl-2の発現はメスにおいて高く、Baxの発
   現はオスにおいて高い。
 F Bcl-2とBaxの発現の性差によって、最終的にはアポトー
   シスを実行するカスパーゼ3の活性に性差が生じる。

10 脳の性決定・まとめ
 @ 脳の性決定には発達期の精巣から分泌されるアンドロゲ
   ンが重要であり、ラットやマウスでは、周生期において
   脳内のアロマターゼによって芳香化したアンドロゲン、
   すなわちエストロゲンが作用することで脳がオス型に分
   化する。
 A SDN-POAやAVPVをはじめとする性的二型核の形成もエ
   ストロゲン(芳香化アンドロゲン)が大きく影響を与え
   ている。
 B 出生直後に去勢された成熟オスラットのSDN-POAは成
   熟メスラットのSDN-POAのように小さくなり、出生後
   間もなくエストロゲンを投与された成熟メスラットの
   SDN-POAは成熟オスのSDN-POAと同程度にまで大き
   くなる。
 C 発達期の性的二型核のアポトーシス細胞数もエストロゲ
   ンの影響によって変化し、エストロゲンを投与したメス
   ラットのSDN-POAにおけるアポトーシス細胞数は減少
   することが知られている。
 D 生後間もないメスラットにエストロゲンを投与して、
   SDN-POAのBcl-2とBaxの発現を調べた結果、エストロ
   ゲンを投与しなかったメスラットに比べてBcl-2の発現
   は高くなり、Baxの発現は低くなる。
 E エストロゲンを投与したメスラットのBc-2とBaxの発現
   量はオスラットと同程度になっていた。
 F 以上のことから、発達期の精巣から分泌されたアンドロ
   ゲン由来のエストロゲンは、オスラットのSDN-POAに
   おけるBcl-2とBaxの発現量を調節する働きがあり、これ
   によってカスパーゼ-3の活性化を介したアポトーシス細
   胞死がメスラットのSDN-POAに比べて抑えられるのだと
   考えられます。その結果、発達オスのSDN-POAにおける
   アポトーシス細胞数はメスに比べて少なくなるのだと考
   えられる。

参考図書 ◎研究向き ○実践向き ・一般書
 ◎『脳と人間』 時実利彦著 (雷鳥社)
 ◎『脳の話』 時実利彦著 (岩波新書)
 ◎『人間であること』 時実利彦著 (岩波新書)
 ◎『情操・意志・創造性の教育』 時実利彦著(第一法規) 
 ◎『目で見る脳』 時実利彦著 (東大出版会)
 ◎『脳の生理学』 時実利彦編集 (朝倉書店)
 ◎『愛は脳を活性化する』松本元著(岩波科学ライブラリー)
 ◎『脳科学が築く21世紀』理化学研究所BSI編集
 ◎『HQ論 人間性の脳科学』 澤口俊之著(海鳴社)
 ○『セロトニン欠乏症』 有田秀穂著 (NHK出版)
 ◎『私の脳科学講義』 利根川進著 (岩波新書)
 ◎『脳を育てる』 高木貞敬著 (岩波新書)
 ○『進化しすぎた脳』池谷裕二著 (講談社ブルーブ)
 ◎『男脳と女脳 こんなに違う』新井康充著(河出書房新社)
 ◎『脳から見た男と女』 新井康充著(講談社)
 ○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
 ○『右脳と左脳』角田忠信著 (小学館ライブラリー)
 ○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
 ○『したたかな脳』 澤口俊之著 (日本文芸社)
 ◎『女の脳・男の脳』田中冨久子著 (NHK出版)
 ○『男が学ぶ「女脳」の医学』 米山公啓著(ちくま新書)
 ◎『脳と心をあやつる物質』生田哲著(講談社)
 ○『子どもの健全な脳と心は親の愛情が育てる』高田明和著 
                      (PHP研究所)
 ○『話を聞かない男、地図が読めない女』アランバーバラ著 
                      (主婦の友社)
 ○『やわらかな脳の作り方』吉成真由美著 (新潮社)
 ○『ゲノムを支配するものは誰か』グレイグ・ベンター著 
                     (日本経済新聞社)
 ○『DNAとの対話』ロバート・ポラック著 (早川書房)
 ・『日本古典に見る性と愛』中村真一郎著 (新潮社)
 ・『江戸艶本ベストセラー』林美一著 (新潮社)
 ・『性の花伝書』 武智鉄二著 (祥伝社)
 ・『教育と家庭』 内村鑑三著 (岩波書店)
 ・『夫婦この不思議な関係』 曽野綾子著(PHP研究所)
 ・『武士道』新渡戸稲造著 押龍一郎訳 (PHP研究所)
 ・『男と女の迷信の真相500』 運命の謎を探る会編
                   (河出書房新社)
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