『男と女・夫婦・家族の幸福の知恵』
[2014年11月22日(Sat)]
前回、浦安市日の出公民館の男女参画課題学習
講演をした。以下講演レジメを報告する。
脳科学に学ぶ『男と女・夫婦・家族の幸福の知恵』
はじめに
・男と女ーこの不可思議な関係
・脳の仕組みを知ろう!
・脳は幸せになるようにプログラムされている。
・幸せになるまで満足しないしできない。
1 脳のしくみ
・脳も夫婦も愛「つながりと深まり」
・脳は3層 (力強く愛し、激しく愛し、優しく愛す)
・脳全体・体全体を使って人格の完成に至る。「結婚人格が
核」
・心の安定・学ぶ意欲・人間性
・人間力は総合、8知能をまとめて使えば使うほどよくなる。
・幼少期が最重要!幸せの基礎・土台
・原理は愛!いのちの原理は愛
・愛されたら嬉しい。真っ赤に染まる。(別紙)
・疎まれたら切ない。憂鬱で心は晴れない。(別紙)
・愛の始まりは繋がること(ニューロン結合)
・日々伸ばす新しい発見
・関心の強さが愛情を増強する。
・優れた夫婦はスッキリつながる。
・優れた夫婦は、混線させない。
・正常な神経と混乱・混線した神経
・脳もバランス・夫婦もバランス
・だれにも欠損がある。残存能力を生かす。補完と支援
・ヒトは野生型が基本、過度に人工的にならないこと。
・ヒトは誰でも「腹の虫」で動く。
2. 男の脳・女の脳
・外からみたらほとんど変わらない。
・しかし、内部をのぞくと・・・
・違いが多い、男脳と女脳(神経核の大きさ・神経細胞の数
・どこと繫がっているか・シナプス・伝達物質・経験や環
境への反応度)*反応差が構造差を生む。
・女性が優位、優位脳は女性が多い。女性の生命力が強い。
・男性は右脳(イメージ立体)、女性は左脳(言語・近傍)
・減量・運動・減塩・節酒、男・女に違い、レセプター?
・性差医療の導入
・年齢別に見た脳重量の性差
・生殖器官の重量変化
・視床下部の性中枢
・性的二型核(SDN-POA)
・INAH(1〜4)・PVN(室傍核)・SO(視索上核)
・脳の性分化臨界期(アンドロゲン)
・男脳・女脳の特徴をまとめると・・・(別紙)
3. 脳科学から見た「夫婦のすれ違い」
・違いを生かすー脳の原則8カ条ー・・(別紙)
・前頭前野:男女の違い
・ホルモンの作用
・男はダメージに弱い、ダメージを受ける範囲が広い。
・見方・考え方・話し方まで違いが・・男が想像さえしない
ことまで・・・。
・会話の中の性差
・性行動にも育て方にも・・・
・ホルモンの流れ
・視床下部の性中枢 A10快感中枢→第一次性欲中枢→第
二次性欲中枢(男)・第二次性欲中枢(女)
・ヒトの分界条床核(BST)の性差・・・男は女の2〜3倍
・性行為に楽しみを見出せない性差率・・・女は男2〜3倍
おわりに
・脳も夫婦も愛、力強く・激しく・優しく
参照(別紙)
1 愛されると脳は全開する。
@ 安定した良い子になります。
A 先生の話をよく聞き、進んでやる子になります。
B 忍耐強く親切で、優しい子になります。
C 当然、勉強のできる子になります。(桑原作成)
2 愛されないと脳は閉じる。
@ 寂しく、やる気のない子になります。
A 短気で、意地悪な子になります。
B 不安定で、自分勝手な子になります。
C 妬んだり、やっかんだりする子になります。(桑原)
3 男脳・女脳の特徴のまとめ
@ 男よりネオテニー的(幼児的特徴を持つ)
A 脳重の比率 女2.2%vs男2.0%
B 脳梁膨大部が男より大きい。(言語機能)
C 前交連が12%大きい。退化しにくい。
D 皮質の厚さに左右有意差がない。
E 雄ラットでは性的二型核がメスの5倍もある。
F 視交叉上核は若者2倍、70歳以上は変わらず
G 男:テストステロン 女:エストロジェン(抗鬱、記憶)
H 子サルの男はメスの5〜10倍も遊びの喧嘩が好き
I アルツハイマー病:男性より約3倍かかりやすい。
4 脳の原則8カ条
@ 脳はオープンマインドである。
*脳が閉じれば閉じるほど、人格がゆがんでくる。表情も
自然でなくなる。秘密が多ければ多いほど公明正大でな
くなる。
A 脳は全体最適を求めて機能する。
*脳は全体で機能する。社会事象も全体で機能する。家長
は家庭全体を考え、校長は学校全体を考える。市長は市
民全体を考え、知事は県民全体を考える。当然国会議員
は国全体を考える。組織の長が全体を忘れたら必ず組織
はおかしくなる。
B 脳は相互補完で働く。
*目的と相互補完を忘れた時、個人も組織も機能しなくな
る。強い者中心・弱いものいじめ、攻撃・排除が組織を
破壊する。
C 脳の目的は「幸せ」である。
*脳は満足を求めて機能する。個人にとっても社会にとっ
ても「幸せ」が目的である。当然ながら政治の目的は「
国民の幸福度」を一歩でも上げることである。
D 脳は出力に依存する。
*脳は入力よりも出力に依存して発達する。入力しても出
力しなければ回路として完了しない。読書したらメモ・
感想を書く。一日が終わったら日記を書く。情報が書類
のように積み重なって想起できなくなる。脳が錆つく。
E 脳はネットワークで機能する。
*家庭も学校も会社もネットワークで機能する。ネットワ
ークが良い会社は業績が上がる。社員は生き生きしてい
る。
活気がある。フットワークもよい。仕事も早い。混乱や
混線がない。逆の場合は大変、逆の現象が次々に出てく
る。
F 愛が脳を活性化する。
*教育は愛!愛こそ教育、教育・人材育成の大原則である
。テクニックがどんなに優れていても愛がなければ無に
等しい。「よくできる」先生が、いつの間にか、子ども
が嫌いになり距離をおき、子どもから離れていく。愛の
ある先生はどの先生も子どもを大事にし、粘り強く技術
を磨き良い先生になっていく。
G 脳はウソをつけない。
*脳はやったとおりになる。脳の回路を誤魔化すことがで
きない。痕跡が残る。ヒトは生きた通り死んでいく。ウ
ソをつけない時代がやって来た。
仮説 合脳性が高いほど優れた人間になる。
*脳の原理に合った行動が優れた人間を生む。合脳性が高
いほど優れた人間になる。
5 夫婦を生かす5つの愛情表現
@ ほめる。
・事実をほめる。褒めることはいくらでもある。
・「かわいいね」・「愛してる」・「あなたのおかげ」
・「一緒で良かった。」
A 優しくそっと触る。
・握手する。・手を添える。・はぐをする。
B 情動中枢(心の底)に話しかける。
・「○○さん、今日もありがとう。いてくれてありがと
う。うれしいよ。」
C 黙ってほほ笑む。
・喜びがジワッとくる。脳内にセロトニンが分泌する。
・セロトニンは「癒し系」
・「怒鳴る・けなす・ケチ・嫌味」は、セロトニン神経
を閉じさせる。
・誰でも表情に敏感、豊かな表情を好む。
D 優しく見つめる。
6 脳構造の性差形成
@ 脳構造の性差形成は発達期より開始され、発達期の精巣
から分泌されたアンドロゲンが作用すると、性的に未分
化な脳がオス型に分化する。
A 一方、メスは発達期にアンドロゲンが作用しないので脳
がメス型になる。
B アンドロゲンが作用して脳の性分化の方向性が決定され
る時期(脳の性分化臨界期)は動物種によって異なり、
ラットの場合、出生前5日頃から出生後5日頃である。
C ヒトの性分化臨界期は胎生12週から22週頃と推定され
ている。
D 発達期のメスラットにアンドロゲンを与えると遺伝的に
はメス(XX)であっても脳がオス型になる。
E 発達期にアンドロゲンの働きが阻害された遺伝的オス
(XY)は脳がメス型になってしまい、遺伝子と脳の性
の不一致が起こる。
F 発達期に分泌されるアンドロゲンは脳の性分化におい
て極めて重要な働きがある。
G ラットやマウスの場合、精巣から分泌されたアンドロ
ゲンは、脳内で芳香化酵素(アロマターゼ)によって
エストロゲンに変換されて作用することがあり、オス
型脳の形成には芳香化したアンドロゲン、すなわち、
エストロゲンが主要な役割を果たす。
7 埼玉大学の性分化研究
@ 脳の性分化はホルモンに対する依存性が高く、臨界期
におけるホルモン作用のかく乱は、脳の性分化に影響
を及ぼす恐れがある。
A 内分泌かく乱物質による脳の性分化への影響は動物実
験によって確かめられた。
B 加えて、内分泌器官のホルモン分泌に対する化学物質
曝露の影響が、脳の性分化の異常を引き起こす原因に
なることも考えられる。。
C 脳構造の性差はヒトの脳にもあります。ヒトでは性指
向性(異性愛、同性愛)や性同一性(自身の性別に対
する認識)に関係すると考えられる性的二型核が存在
し、神経解剖学的にはそれらに相同する部分が動物の
脳にもある。
D 動物をモデルに脳の性分化研究を通し、健康リスク低
減に向けた環境化学物質の影響評価の取り組みや男ら
しさと女らしさを形作る脳の実体解明に貢献してゆき
たい。 (埼玉大学理学部)
8 発達期の性的二型核におけるアポトーシス
@ 発生初期の脳では、過剰にニューロンが産生されてい
る。
A ニューロンはその発生部位である神経上皮から移動し
て最終定位置に辿り着くと、神経突起を伸ばしてシナ
プスを形成し、神経ネットワークを構築する。
B この一連過程の中で、ニューロンの半数以上がアポト
ーシスという細胞死の現象によって脳の構成要素から
脱落する。
C 発達段階の性的二型核では、ニューロンの発生、移動
、アポトーシスなどに性差が生じると考えらる。
D ラットの視索前野にあるSDN-POA(Sexually
dimorphic nucleus of the preoptic a rea)
は内側視索前核のニューロン群であり、オスのSDN-
POAはメスのSDN-POAよりも大きく、多くのニュー
ロンが含まれている。
E 終板器官の直後から第三脳室を取り囲むように存在す
る前腹側脳室周囲核(anteroventral periventricular
nucleus: AVPV)は、大きさやニューロン数がメス
において優位な性的二型核である。(排卵に関与)
F 発達期のSDN-POAとAVPVでは、アポトーシスを起こ
して死んでゆく細胞数に性差があり、その性差は成熟
期のニューロン数の性差と全く正反対であることが知
られている。
G メスのSDN-POAとオスのAVPVのアポトーシス細胞数
は異性に比べて多い。
H ミトコンドリアのチトクロムc放出調節を介したアポト
ーシス経路が性的二型核の形成に関与すると考えられ
る。Bcl-2ファミリーに属するBcl-2はチトクロムc放
出を抑制してアポトーシスによる細胞死を防いでいま
す。反対に、Baxはチトクロムc放出を促進してアポト
ーシスの誘導を促す。
9 アポトーシスの性差
@ ミトコンドリアからチトクロムcが細胞質へ放出される
と、カスパーゼという一群のタンパク質分解酵素が次々
と活性化されてアポトーシスが実行される。
A 発達期のSDN-POAでは活性型カスパーゼ-3を含む細胞
はメスにおいてオスよりも多い。AVPVでは、SDN-POA
とは反対に、活性型カスパーゼ-3を含む細胞はオスに多
い。
B このことから、カスパーゼー3の活性化を介したアポト
ーシスによって、死滅細胞数の性差が生じるのだと考え
られる。
C さらに、発達ラットのAVPVとSDN-POAでは、カスパー
ゼ-3の活性調節に関与するBcl-2とBaxの発現に性差があ
ることも明らかになった。
D SDN-POAでは、アポトーシスを抑制するBcl-2の発現は
オスにおいて高く、アポトーシスを促進するBaxの発現
はメスにおいて高い。
E AVPVでは、Bcl-2の発現はメスにおいて高く、Baxの発
現はオスにおいて高い。
F Bcl-2とBaxの発現の性差によって、最終的にはアポトー
シスを実行するカスパーゼ3の活性に性差が生じる。
10 脳の性決定・まとめ
@ 脳の性決定には発達期の精巣から分泌されるアンドロゲ
ンが重要であり、ラットやマウスでは、周生期において
脳内のアロマターゼによって芳香化したアンドロゲン、
すなわちエストロゲンが作用することで脳がオス型に分
化する。
A SDN-POAやAVPVをはじめとする性的二型核の形成もエ
ストロゲン(芳香化アンドロゲン)が大きく影響を与え
ている。
B 出生直後に去勢された成熟オスラットのSDN-POAは成
熟メスラットのSDN-POAのように小さくなり、出生後
間もなくエストロゲンを投与された成熟メスラットの
SDN-POAは成熟オスのSDN-POAと同程度にまで大き
くなる。
C 発達期の性的二型核のアポトーシス細胞数もエストロゲ
ンの影響によって変化し、エストロゲンを投与したメス
ラットのSDN-POAにおけるアポトーシス細胞数は減少
することが知られている。
D 生後間もないメスラットにエストロゲンを投与して、
SDN-POAのBcl-2とBaxの発現を調べた結果、エストロ
ゲンを投与しなかったメスラットに比べてBcl-2の発現
は高くなり、Baxの発現は低くなる。
E エストロゲンを投与したメスラットのBc-2とBaxの発現
量はオスラットと同程度になっていた。
F 以上のことから、発達期の精巣から分泌されたアンドロ
ゲン由来のエストロゲンは、オスラットのSDN-POAに
おけるBcl-2とBaxの発現量を調節する働きがあり、これ
によってカスパーゼ-3の活性化を介したアポトーシス細
胞死がメスラットのSDN-POAに比べて抑えられるのだと
考えられます。その結果、発達オスのSDN-POAにおける
アポトーシス細胞数はメスに比べて少なくなるのだと考
えられる。
参考図書 ◎研究向き ○実践向き ・一般書
◎『脳と人間』 時実利彦著 (雷鳥社)
◎『脳の話』 時実利彦著 (岩波新書)
◎『人間であること』 時実利彦著 (岩波新書)
◎『情操・意志・創造性の教育』 時実利彦著(第一法規)
◎『目で見る脳』 時実利彦著 (東大出版会)
◎『脳の生理学』 時実利彦編集 (朝倉書店)
◎『愛は脳を活性化する』松本元著(岩波科学ライブラリー)
◎『脳科学が築く21世紀』理化学研究所BSI編集
◎『HQ論 人間性の脳科学』 澤口俊之著(海鳴社)
○『セロトニン欠乏症』 有田秀穂著 (NHK出版)
◎『私の脳科学講義』 利根川進著 (岩波新書)
◎『脳を育てる』 高木貞敬著 (岩波新書)
○『進化しすぎた脳』池谷裕二著 (講談社ブルーブ)
◎『男脳と女脳 こんなに違う』新井康充著(河出書房新社)
◎『脳から見た男と女』 新井康充著(講談社)
○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
○『右脳と左脳』角田忠信著 (小学館ライブラリー)
○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
○『したたかな脳』 澤口俊之著 (日本文芸社)
◎『女の脳・男の脳』田中冨久子著 (NHK出版)
○『男が学ぶ「女脳」の医学』 米山公啓著(ちくま新書)
◎『脳と心をあやつる物質』生田哲著(講談社)
○『子どもの健全な脳と心は親の愛情が育てる』高田明和著
(PHP研究所)
○『話を聞かない男、地図が読めない女』アランバーバラ著
(主婦の友社)
○『やわらかな脳の作り方』吉成真由美著 (新潮社)
○『ゲノムを支配するものは誰か』グレイグ・ベンター著
(日本経済新聞社)
○『DNAとの対話』ロバート・ポラック著 (早川書房)
・『日本古典に見る性と愛』中村真一郎著 (新潮社)
・『江戸艶本ベストセラー』林美一著 (新潮社)
・『性の花伝書』 武智鉄二著 (祥伝社)
・『教育と家庭』 内村鑑三著 (岩波書店)
・『夫婦この不思議な関係』 曽野綾子著(PHP研究所)
・『武士道』新渡戸稲造著 押龍一郎訳 (PHP研究所)
・『男と女の迷信の真相500』 運命の謎を探る会編
(河出書房新社)
講演をした。以下講演レジメを報告する。
脳科学に学ぶ『男と女・夫婦・家族の幸福の知恵』
はじめに
・男と女ーこの不可思議な関係
・脳の仕組みを知ろう!
・脳は幸せになるようにプログラムされている。
・幸せになるまで満足しないしできない。
1 脳のしくみ
・脳も夫婦も愛「つながりと深まり」
・脳は3層 (力強く愛し、激しく愛し、優しく愛す)
・脳全体・体全体を使って人格の完成に至る。「結婚人格が
核」
・心の安定・学ぶ意欲・人間性
・人間力は総合、8知能をまとめて使えば使うほどよくなる。
・幼少期が最重要!幸せの基礎・土台
・原理は愛!いのちの原理は愛
・愛されたら嬉しい。真っ赤に染まる。(別紙)
・疎まれたら切ない。憂鬱で心は晴れない。(別紙)
・愛の始まりは繋がること(ニューロン結合)
・日々伸ばす新しい発見
・関心の強さが愛情を増強する。
・優れた夫婦はスッキリつながる。
・優れた夫婦は、混線させない。
・正常な神経と混乱・混線した神経
・脳もバランス・夫婦もバランス
・だれにも欠損がある。残存能力を生かす。補完と支援
・ヒトは野生型が基本、過度に人工的にならないこと。
・ヒトは誰でも「腹の虫」で動く。
2. 男の脳・女の脳
・外からみたらほとんど変わらない。
・しかし、内部をのぞくと・・・
・違いが多い、男脳と女脳(神経核の大きさ・神経細胞の数
・どこと繫がっているか・シナプス・伝達物質・経験や環
境への反応度)*反応差が構造差を生む。
・女性が優位、優位脳は女性が多い。女性の生命力が強い。
・男性は右脳(イメージ立体)、女性は左脳(言語・近傍)
・減量・運動・減塩・節酒、男・女に違い、レセプター?
・性差医療の導入
・年齢別に見た脳重量の性差
・生殖器官の重量変化
・視床下部の性中枢
・性的二型核(SDN-POA)
・INAH(1〜4)・PVN(室傍核)・SO(視索上核)
・脳の性分化臨界期(アンドロゲン)
・男脳・女脳の特徴をまとめると・・・(別紙)
3. 脳科学から見た「夫婦のすれ違い」
・違いを生かすー脳の原則8カ条ー・・(別紙)
・前頭前野:男女の違い
・ホルモンの作用
・男はダメージに弱い、ダメージを受ける範囲が広い。
・見方・考え方・話し方まで違いが・・男が想像さえしない
ことまで・・・。
・会話の中の性差
・性行動にも育て方にも・・・
・ホルモンの流れ
・視床下部の性中枢 A10快感中枢→第一次性欲中枢→第
二次性欲中枢(男)・第二次性欲中枢(女)
・ヒトの分界条床核(BST)の性差・・・男は女の2〜3倍
・性行為に楽しみを見出せない性差率・・・女は男2〜3倍
おわりに
・脳も夫婦も愛、力強く・激しく・優しく
参照(別紙)
1 愛されると脳は全開する。
@ 安定した良い子になります。
A 先生の話をよく聞き、進んでやる子になります。
B 忍耐強く親切で、優しい子になります。
C 当然、勉強のできる子になります。(桑原作成)
2 愛されないと脳は閉じる。
@ 寂しく、やる気のない子になります。
A 短気で、意地悪な子になります。
B 不安定で、自分勝手な子になります。
C 妬んだり、やっかんだりする子になります。(桑原)
3 男脳・女脳の特徴のまとめ
@ 男よりネオテニー的(幼児的特徴を持つ)
A 脳重の比率 女2.2%vs男2.0%
B 脳梁膨大部が男より大きい。(言語機能)
C 前交連が12%大きい。退化しにくい。
D 皮質の厚さに左右有意差がない。
E 雄ラットでは性的二型核がメスの5倍もある。
F 視交叉上核は若者2倍、70歳以上は変わらず
G 男:テストステロン 女:エストロジェン(抗鬱、記憶)
H 子サルの男はメスの5〜10倍も遊びの喧嘩が好き
I アルツハイマー病:男性より約3倍かかりやすい。
4 脳の原則8カ条
@ 脳はオープンマインドである。
*脳が閉じれば閉じるほど、人格がゆがんでくる。表情も
自然でなくなる。秘密が多ければ多いほど公明正大でな
くなる。
A 脳は全体最適を求めて機能する。
*脳は全体で機能する。社会事象も全体で機能する。家長
は家庭全体を考え、校長は学校全体を考える。市長は市
民全体を考え、知事は県民全体を考える。当然国会議員
は国全体を考える。組織の長が全体を忘れたら必ず組織
はおかしくなる。
B 脳は相互補完で働く。
*目的と相互補完を忘れた時、個人も組織も機能しなくな
る。強い者中心・弱いものいじめ、攻撃・排除が組織を
破壊する。
C 脳の目的は「幸せ」である。
*脳は満足を求めて機能する。個人にとっても社会にとっ
ても「幸せ」が目的である。当然ながら政治の目的は「
国民の幸福度」を一歩でも上げることである。
D 脳は出力に依存する。
*脳は入力よりも出力に依存して発達する。入力しても出
力しなければ回路として完了しない。読書したらメモ・
感想を書く。一日が終わったら日記を書く。情報が書類
のように積み重なって想起できなくなる。脳が錆つく。
E 脳はネットワークで機能する。
*家庭も学校も会社もネットワークで機能する。ネットワ
ークが良い会社は業績が上がる。社員は生き生きしてい
る。
活気がある。フットワークもよい。仕事も早い。混乱や
混線がない。逆の場合は大変、逆の現象が次々に出てく
る。
F 愛が脳を活性化する。
*教育は愛!愛こそ教育、教育・人材育成の大原則である
。テクニックがどんなに優れていても愛がなければ無に
等しい。「よくできる」先生が、いつの間にか、子ども
が嫌いになり距離をおき、子どもから離れていく。愛の
ある先生はどの先生も子どもを大事にし、粘り強く技術
を磨き良い先生になっていく。
G 脳はウソをつけない。
*脳はやったとおりになる。脳の回路を誤魔化すことがで
きない。痕跡が残る。ヒトは生きた通り死んでいく。ウ
ソをつけない時代がやって来た。
仮説 合脳性が高いほど優れた人間になる。
*脳の原理に合った行動が優れた人間を生む。合脳性が高
いほど優れた人間になる。
5 夫婦を生かす5つの愛情表現
@ ほめる。
・事実をほめる。褒めることはいくらでもある。
・「かわいいね」・「愛してる」・「あなたのおかげ」
・「一緒で良かった。」
A 優しくそっと触る。
・握手する。・手を添える。・はぐをする。
B 情動中枢(心の底)に話しかける。
・「○○さん、今日もありがとう。いてくれてありがと
う。うれしいよ。」
C 黙ってほほ笑む。
・喜びがジワッとくる。脳内にセロトニンが分泌する。
・セロトニンは「癒し系」
・「怒鳴る・けなす・ケチ・嫌味」は、セロトニン神経
を閉じさせる。
・誰でも表情に敏感、豊かな表情を好む。
D 優しく見つめる。
6 脳構造の性差形成
@ 脳構造の性差形成は発達期より開始され、発達期の精巣
から分泌されたアンドロゲンが作用すると、性的に未分
化な脳がオス型に分化する。
A 一方、メスは発達期にアンドロゲンが作用しないので脳
がメス型になる。
B アンドロゲンが作用して脳の性分化の方向性が決定され
る時期(脳の性分化臨界期)は動物種によって異なり、
ラットの場合、出生前5日頃から出生後5日頃である。
C ヒトの性分化臨界期は胎生12週から22週頃と推定され
ている。
D 発達期のメスラットにアンドロゲンを与えると遺伝的に
はメス(XX)であっても脳がオス型になる。
E 発達期にアンドロゲンの働きが阻害された遺伝的オス
(XY)は脳がメス型になってしまい、遺伝子と脳の性
の不一致が起こる。
F 発達期に分泌されるアンドロゲンは脳の性分化におい
て極めて重要な働きがある。
G ラットやマウスの場合、精巣から分泌されたアンドロ
ゲンは、脳内で芳香化酵素(アロマターゼ)によって
エストロゲンに変換されて作用することがあり、オス
型脳の形成には芳香化したアンドロゲン、すなわち、
エストロゲンが主要な役割を果たす。
7 埼玉大学の性分化研究
@ 脳の性分化はホルモンに対する依存性が高く、臨界期
におけるホルモン作用のかく乱は、脳の性分化に影響
を及ぼす恐れがある。
A 内分泌かく乱物質による脳の性分化への影響は動物実
験によって確かめられた。
B 加えて、内分泌器官のホルモン分泌に対する化学物質
曝露の影響が、脳の性分化の異常を引き起こす原因に
なることも考えられる。。
C 脳構造の性差はヒトの脳にもあります。ヒトでは性指
向性(異性愛、同性愛)や性同一性(自身の性別に対
する認識)に関係すると考えられる性的二型核が存在
し、神経解剖学的にはそれらに相同する部分が動物の
脳にもある。
D 動物をモデルに脳の性分化研究を通し、健康リスク低
減に向けた環境化学物質の影響評価の取り組みや男ら
しさと女らしさを形作る脳の実体解明に貢献してゆき
たい。 (埼玉大学理学部)
8 発達期の性的二型核におけるアポトーシス
@ 発生初期の脳では、過剰にニューロンが産生されてい
る。
A ニューロンはその発生部位である神経上皮から移動し
て最終定位置に辿り着くと、神経突起を伸ばしてシナ
プスを形成し、神経ネットワークを構築する。
B この一連過程の中で、ニューロンの半数以上がアポト
ーシスという細胞死の現象によって脳の構成要素から
脱落する。
C 発達段階の性的二型核では、ニューロンの発生、移動
、アポトーシスなどに性差が生じると考えらる。
D ラットの視索前野にあるSDN-POA(Sexually
dimorphic nucleus of the preoptic a rea)
は内側視索前核のニューロン群であり、オスのSDN-
POAはメスのSDN-POAよりも大きく、多くのニュー
ロンが含まれている。
E 終板器官の直後から第三脳室を取り囲むように存在す
る前腹側脳室周囲核(anteroventral periventricular
nucleus: AVPV)は、大きさやニューロン数がメス
において優位な性的二型核である。(排卵に関与)
F 発達期のSDN-POAとAVPVでは、アポトーシスを起こ
して死んでゆく細胞数に性差があり、その性差は成熟
期のニューロン数の性差と全く正反対であることが知
られている。
G メスのSDN-POAとオスのAVPVのアポトーシス細胞数
は異性に比べて多い。
H ミトコンドリアのチトクロムc放出調節を介したアポト
ーシス経路が性的二型核の形成に関与すると考えられ
る。Bcl-2ファミリーに属するBcl-2はチトクロムc放
出を抑制してアポトーシスによる細胞死を防いでいま
す。反対に、Baxはチトクロムc放出を促進してアポト
ーシスの誘導を促す。
9 アポトーシスの性差
@ ミトコンドリアからチトクロムcが細胞質へ放出される
と、カスパーゼという一群のタンパク質分解酵素が次々
と活性化されてアポトーシスが実行される。
A 発達期のSDN-POAでは活性型カスパーゼ-3を含む細胞
はメスにおいてオスよりも多い。AVPVでは、SDN-POA
とは反対に、活性型カスパーゼ-3を含む細胞はオスに多
い。
B このことから、カスパーゼー3の活性化を介したアポト
ーシスによって、死滅細胞数の性差が生じるのだと考え
られる。
C さらに、発達ラットのAVPVとSDN-POAでは、カスパー
ゼ-3の活性調節に関与するBcl-2とBaxの発現に性差があ
ることも明らかになった。
D SDN-POAでは、アポトーシスを抑制するBcl-2の発現は
オスにおいて高く、アポトーシスを促進するBaxの発現
はメスにおいて高い。
E AVPVでは、Bcl-2の発現はメスにおいて高く、Baxの発
現はオスにおいて高い。
F Bcl-2とBaxの発現の性差によって、最終的にはアポトー
シスを実行するカスパーゼ3の活性に性差が生じる。
10 脳の性決定・まとめ
@ 脳の性決定には発達期の精巣から分泌されるアンドロゲ
ンが重要であり、ラットやマウスでは、周生期において
脳内のアロマターゼによって芳香化したアンドロゲン、
すなわちエストロゲンが作用することで脳がオス型に分
化する。
A SDN-POAやAVPVをはじめとする性的二型核の形成もエ
ストロゲン(芳香化アンドロゲン)が大きく影響を与え
ている。
B 出生直後に去勢された成熟オスラットのSDN-POAは成
熟メスラットのSDN-POAのように小さくなり、出生後
間もなくエストロゲンを投与された成熟メスラットの
SDN-POAは成熟オスのSDN-POAと同程度にまで大き
くなる。
C 発達期の性的二型核のアポトーシス細胞数もエストロゲ
ンの影響によって変化し、エストロゲンを投与したメス
ラットのSDN-POAにおけるアポトーシス細胞数は減少
することが知られている。
D 生後間もないメスラットにエストロゲンを投与して、
SDN-POAのBcl-2とBaxの発現を調べた結果、エストロ
ゲンを投与しなかったメスラットに比べてBcl-2の発現
は高くなり、Baxの発現は低くなる。
E エストロゲンを投与したメスラットのBc-2とBaxの発現
量はオスラットと同程度になっていた。
F 以上のことから、発達期の精巣から分泌されたアンドロ
ゲン由来のエストロゲンは、オスラットのSDN-POAに
おけるBcl-2とBaxの発現量を調節する働きがあり、これ
によってカスパーゼ-3の活性化を介したアポトーシス細
胞死がメスラットのSDN-POAに比べて抑えられるのだと
考えられます。その結果、発達オスのSDN-POAにおける
アポトーシス細胞数はメスに比べて少なくなるのだと考
えられる。
参考図書 ◎研究向き ○実践向き ・一般書
◎『脳と人間』 時実利彦著 (雷鳥社)
◎『脳の話』 時実利彦著 (岩波新書)
◎『人間であること』 時実利彦著 (岩波新書)
◎『情操・意志・創造性の教育』 時実利彦著(第一法規)
◎『目で見る脳』 時実利彦著 (東大出版会)
◎『脳の生理学』 時実利彦編集 (朝倉書店)
◎『愛は脳を活性化する』松本元著(岩波科学ライブラリー)
◎『脳科学が築く21世紀』理化学研究所BSI編集
◎『HQ論 人間性の脳科学』 澤口俊之著(海鳴社)
○『セロトニン欠乏症』 有田秀穂著 (NHK出版)
◎『私の脳科学講義』 利根川進著 (岩波新書)
◎『脳を育てる』 高木貞敬著 (岩波新書)
○『進化しすぎた脳』池谷裕二著 (講談社ブルーブ)
◎『男脳と女脳 こんなに違う』新井康充著(河出書房新社)
◎『脳から見た男と女』 新井康充著(講談社)
○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
○『右脳と左脳』角田忠信著 (小学館ライブラリー)
○『性感体の科学』大島清著 (ごま書房)
○『したたかな脳』 澤口俊之著 (日本文芸社)
◎『女の脳・男の脳』田中冨久子著 (NHK出版)
○『男が学ぶ「女脳」の医学』 米山公啓著(ちくま新書)
◎『脳と心をあやつる物質』生田哲著(講談社)
○『子どもの健全な脳と心は親の愛情が育てる』高田明和著
(PHP研究所)
○『話を聞かない男、地図が読めない女』アランバーバラ著
(主婦の友社)
○『やわらかな脳の作り方』吉成真由美著 (新潮社)
○『ゲノムを支配するものは誰か』グレイグ・ベンター著
(日本経済新聞社)
○『DNAとの対話』ロバート・ポラック著 (早川書房)
・『日本古典に見る性と愛』中村真一郎著 (新潮社)
・『江戸艶本ベストセラー』林美一著 (新潮社)
・『性の花伝書』 武智鉄二著 (祥伝社)
・『教育と家庭』 内村鑑三著 (岩波書店)
・『夫婦この不思議な関係』 曽野綾子著(PHP研究所)
・『武士道』新渡戸稲造著 押龍一郎訳 (PHP研究所)
・『男と女の迷信の真相500』 運命の謎を探る会編
(河出書房新社)
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