読書の効果(9)
[2010年05月07日(Fri)]
脳科学の知見を生かす(9)
1 読書を通して豊かな心をつくる
<読書から脳を活性化(前頭前野、右脳・左脳)させる>
東本郷小学校の読書活動である。朝読書を中心に、読み聞かせ・ブックトーク・委員会・保護者の活動等で構成されている。朝読書は週4回(月、火、水、金)、朝集はなし。打ち合わせは午後4時からである。「朝は金・昼は銀・午後は銅の時間」、子どもを教室に待たせて教員が打ち合わせをしているのは余りにももったいない。教師は教室に直行、子どもと一緒に黙って読書に専念する。月曜はロング朝読、教師や読書ボランテイアによる読み聞かせを20分間行っている。

子どもたちは先生の読み聞かせを喜ぶ。家ではお母さん、学校では担任の先生が一番である。安心して聞き入っている。至福の時である。

図書委員が読む。緊張の時である。1年生の前で間違えるわけには行かない。つっかかるわけにはいかない。弟もいる。妹もいる。メンツもある。プライドもある。十分に練習して本番に臨む。正に真剣勝負である。読み終わって大きな拍手。ほっと一安心、満足感が心に広がる。こうして6年生は育っていく。

学校は6年生が大事。良い学校は6年生が育っている。年間を通して存在感のある子どもに育っていく。「あの子はいい。この子はだめ」ではないのだ。どの子もどの子も育つのです。真剣勝負をこなしやり遂げ満足感を得ながら育っていくのです。
図書委員会では、本の紹介や読書アンケートなどの発表を児童集会で行う。読書に対する興味・関心を高め、その啓発に取り組む。先生方も自らの読書体験を披露する。単なる本の紹介ではない。主人公になって役者のように演じてみせるのだ。子どもに受けない筈がない。東本郷小学校の教師はみな演技者でもあった。邪気のない子どもに還っていた。

PTA読書ボランティアによる読み聞かせやブックトークはとりわけ見事であった。良い本を上手に読んでくれた。環境設定も見事であった。暗幕をはり蝋燭をともし振り付けも整え、時にはピアノを弾き子どもを物語の世界に引き込んでいった。楽しかったクリスマス読書会が思い出される。

川口市立中央図書館の高田館長がこっそり見に来た。「こんなにすごい学校があるとは知らなかった。」といった。学校全体が図書活動に包まれていた。名もない学校である。足立区に隣接した場末の学校である。「無名にして いい学校」を創ろうといいながらみんなでやってきた。それだけであった。東本郷小学校は地域みんなの学校、いい学校であった。
<読書の効果>
(1)朝読書の一番の効果は、学校に落ち着きが生まれたこと。静謐が支配するようになったこと。全校児童の心が家庭モードから学校モードに切り替わったことであった。一人一人の児童、学校全体が落ち着いた雰囲気で一日のスタートができるようになったことである。これは大きいことである。学校を訪問したジャーナリストは次のように伝えた。
・毎日新聞「ニュース アップ」で編集委員平野氏は、「小学校低学年
にしては私語も少なく、あまり似つかわしくない静けさがあった。」
・産経新聞「脳科学 学校導入で成果」で、石田記者は「週末に『家庭
モード』となってしまった子どもの脳を『学校モード』に切り替える
ウォーミングアップを果たし・・全校が水を打ったように・・・」
・女性自身の山内記者は「熱血校長10の教え」(全2ページ)で、
「校庭に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。子供たちはい
っせいに教室に走る。その後を追ってみると、すでに子供たちは着席
し、授業が始まると、水を打ったような静けさになった。」と書いた。
(2)生徒指導上大きな効果があった。遅刻はなくなり、児童間のトラブ
ルも目に見えて減り、ガラスが割れることもなくなった。欠席数も減
り、出席率100%のクラスがいくつも生まれた。当然ながら問題行
動も不登校もなく報告はゼロとなった。
(3)読書好きの児童が増えた。
Q「あなたは読書が好きですか」
→どの学年も80〜93%が好き
(H16・12 学習・生活に関するアンケート結果より)
(4)蔵書数が1・5倍近くにふえた。
・図書配当予算を増やす。
・川口市立図書館の放出図書をどんどん受け入れる。
・家庭から古本の寄贈をうける。
・図書室を改造・書架を整備する。
(5)読書力がついた。
・読書対象が漫画から物語・名作へ移っていった。
・図鑑をぺらぺらめくるだけの子が物語を読むようになった。
・教科書の「すらすら読み」ができるようになった。すらすら読める
子は読解力も高い。
(6)学力も向上した。
・全国学力テストで好結果を示した。国語・算数とも全国平均を
うわまった。
(7)子どもに品格が感じられるようになってきた。校外学習で訪問す
ると「先生の学校の子どもさん達はどこか違いますね。いい子です
ね。」としばしば言われた。校長として嬉しかった。
平成17年度1学期読書アンケート(H17・7・13)から
Q「1学期に面白い本や心に残る本に出会えましたか」
(2年生以上259人実施)
A 「はい」217人(84%)
「いいえ」42人(16%)
Q「本に出会えたきっかけは何ですか」
A ・図書室・学級文庫 137人
・読み聞かせ・ブックトークボランティア 30人、
・先生 18人
・書店 71人
・公立図書館 39人
・友だち 50人
・その他 27人
○友だちからの情報が、読んでみようと思う気持ちにつながった。
授業の中で子ども同士が本の紹介をしあう場面を増やした。
○手元や教室内近くに1冊の本を置いておく習慣づくりと環境を整えた。
●家庭でのゲームは15分以内に止める。ゲームの3倍、45分は読書
をする。読み終わったら感想文を書くこと。→出力することの大事
さを森教授はすすめた。
1 読書を通して豊かな心をつくる
<読書から脳を活性化(前頭前野、右脳・左脳)させる>
東本郷小学校の読書活動である。朝読書を中心に、読み聞かせ・ブックトーク・委員会・保護者の活動等で構成されている。朝読書は週4回(月、火、水、金)、朝集はなし。打ち合わせは午後4時からである。「朝は金・昼は銀・午後は銅の時間」、子どもを教室に待たせて教員が打ち合わせをしているのは余りにももったいない。教師は教室に直行、子どもと一緒に黙って読書に専念する。月曜はロング朝読、教師や読書ボランテイアによる読み聞かせを20分間行っている。
子どもたちは先生の読み聞かせを喜ぶ。家ではお母さん、学校では担任の先生が一番である。安心して聞き入っている。至福の時である。
図書委員が読む。緊張の時である。1年生の前で間違えるわけには行かない。つっかかるわけにはいかない。弟もいる。妹もいる。メンツもある。プライドもある。十分に練習して本番に臨む。正に真剣勝負である。読み終わって大きな拍手。ほっと一安心、満足感が心に広がる。こうして6年生は育っていく。
学校は6年生が大事。良い学校は6年生が育っている。年間を通して存在感のある子どもに育っていく。「あの子はいい。この子はだめ」ではないのだ。どの子もどの子も育つのです。真剣勝負をこなしやり遂げ満足感を得ながら育っていくのです。
図書委員会では、本の紹介や読書アンケートなどの発表を児童集会で行う。読書に対する興味・関心を高め、その啓発に取り組む。先生方も自らの読書体験を披露する。単なる本の紹介ではない。主人公になって役者のように演じてみせるのだ。子どもに受けない筈がない。東本郷小学校の教師はみな演技者でもあった。邪気のない子どもに還っていた。
PTA読書ボランティアによる読み聞かせやブックトークはとりわけ見事であった。良い本を上手に読んでくれた。環境設定も見事であった。暗幕をはり蝋燭をともし振り付けも整え、時にはピアノを弾き子どもを物語の世界に引き込んでいった。楽しかったクリスマス読書会が思い出される。
川口市立中央図書館の高田館長がこっそり見に来た。「こんなにすごい学校があるとは知らなかった。」といった。学校全体が図書活動に包まれていた。名もない学校である。足立区に隣接した場末の学校である。「無名にして いい学校」を創ろうといいながらみんなでやってきた。それだけであった。東本郷小学校は地域みんなの学校、いい学校であった。
<読書の効果>
(1)朝読書の一番の効果は、学校に落ち着きが生まれたこと。静謐が支配するようになったこと。全校児童の心が家庭モードから学校モードに切り替わったことであった。一人一人の児童、学校全体が落ち着いた雰囲気で一日のスタートができるようになったことである。これは大きいことである。学校を訪問したジャーナリストは次のように伝えた。
・毎日新聞「ニュース アップ」で編集委員平野氏は、「小学校低学年
にしては私語も少なく、あまり似つかわしくない静けさがあった。」
・産経新聞「脳科学 学校導入で成果」で、石田記者は「週末に『家庭
モード』となってしまった子どもの脳を『学校モード』に切り替える
ウォーミングアップを果たし・・全校が水を打ったように・・・」
・女性自身の山内記者は「熱血校長10の教え」(全2ページ)で、
「校庭に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。子供たちはい
っせいに教室に走る。その後を追ってみると、すでに子供たちは着席
し、授業が始まると、水を打ったような静けさになった。」と書いた。
(2)生徒指導上大きな効果があった。遅刻はなくなり、児童間のトラブ
ルも目に見えて減り、ガラスが割れることもなくなった。欠席数も減
り、出席率100%のクラスがいくつも生まれた。当然ながら問題行
動も不登校もなく報告はゼロとなった。
(3)読書好きの児童が増えた。
Q「あなたは読書が好きですか」
→どの学年も80〜93%が好き
(H16・12 学習・生活に関するアンケート結果より)
(4)蔵書数が1・5倍近くにふえた。
・図書配当予算を増やす。
・川口市立図書館の放出図書をどんどん受け入れる。
・家庭から古本の寄贈をうける。
・図書室を改造・書架を整備する。
(5)読書力がついた。
・読書対象が漫画から物語・名作へ移っていった。
・図鑑をぺらぺらめくるだけの子が物語を読むようになった。
・教科書の「すらすら読み」ができるようになった。すらすら読める
子は読解力も高い。
(6)学力も向上した。
・全国学力テストで好結果を示した。国語・算数とも全国平均を
うわまった。
(7)子どもに品格が感じられるようになってきた。校外学習で訪問す
ると「先生の学校の子どもさん達はどこか違いますね。いい子です
ね。」としばしば言われた。校長として嬉しかった。
平成17年度1学期読書アンケート(H17・7・13)から
Q「1学期に面白い本や心に残る本に出会えましたか」
(2年生以上259人実施)
A 「はい」217人(84%)
「いいえ」42人(16%)
Q「本に出会えたきっかけは何ですか」
A ・図書室・学級文庫 137人
・読み聞かせ・ブックトークボランティア 30人、
・先生 18人
・書店 71人
・公立図書館 39人
・友だち 50人
・その他 27人
○友だちからの情報が、読んでみようと思う気持ちにつながった。
授業の中で子ども同士が本の紹介をしあう場面を増やした。
○手元や教室内近くに1冊の本を置いておく習慣づくりと環境を整えた。
●家庭でのゲームは15分以内に止める。ゲームの3倍、45分は読書
をする。読み終わったら感想文を書くこと。→出力することの大事
さを森教授はすすめた。
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