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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


記憶メカニズムJ [2010年02月17日(Wed)]
記憶メカニズム そのB
 「記憶」は教育の中心課題である。3回目は現場で活かす視点

 生きるとはリズムを刻むこと。理研の山口陽子博士は「海馬θリズム」でトップを走る研究者。海馬の「場所ニューロン」を追跡し、「脳はリズムで経験を記憶する」ことを発見した。画期的な研究である。教育現場にとっては大貢献、「体験活動」の重要性とその根拠を明確にしてくれた。「揺るぎなき教育」の基礎ができた。本当に有り難い。問題は「リズムの乱れ・すれ違い」それをどう克服するかである。


 脳の基本はリズムです。脳幹リズム・体内リズム・生体リズムなど全てリズム、根拠は「生体リズムと引き込み」にあると山口博士は30年も前に発表している。また、理研上田博士(34才)は時計遺伝子研究で画期的な発見を次々と発表、睡眠や生命のリズムをつかさどる体内時計のシステムを生物学的に解明、体内時計の乱れが不眠症や鬱病といった多くのリズム障害と関係していることを突き止めた。視交叉上核の司令塔・親時計と全身に張り巡らされた子時計が連動し、ネットワークで生命を刻んでいるという。

 神経リズムの同期現象・周期活動が外部シグナルな内部の記憶に応じて、発生する場所や周波数を変え、さらにそれらが同期したり非同期したりして、柔軟にネットワークを作ったり壊したりできるという。海馬には「場所ニューロン」があり、場所の移動に従って(下図)赤→黄→緑→青ようにθ波が発生する。1秒間に5回くらいの周波数で規則正しくリズムを打つことを「θリズム」と呼んでいる。新しいものにであったり、初めての場所にいってあれこれ探索しているときθ波が活動する。θ波はシナプスの組み替え脳波だろうと言われてきたが、山口博士の研究によって更に明確になった。

 θ波は記憶しようという意志の現れ、興味をもって物事を見つめ考えるときにのみ発生する。記憶力を高めたければ、覚えたいものに興味を持ってθ波を発生させ海馬をより強く活動させればよいのです。

 文部省が文部科学省に変わって一番良かったことは、審議会に科学者が入るようになったことである。教育学・心理学に自然科学が加わり、「教育」を「科学」のステージにのせたことである。「脳科学と教育」研究班でも科学者が活躍、一般の書籍でも医学者の発言が多い。

 
課題はいずれも教育界の大問題であった。

@ 学習やパッションの根源(意欲・関心) 

A 学習可能な年齢(臨界期・感受性期) 

B 氏か育ちか(遺伝と環境) 

C 頭の柔らかさ(脳の可塑性) 

D 物覚え(記憶のメカニズム) 

E ご褒美の効果(脳の報償系) 

F リハビリテーション(脳の機能回復) 

G 健やかな老い(加齢と能力維持) 

いよいよ科学のメスが入るのである。ワクワク・ドキドキである。

 審議会のスケルトンの一部である。澤口博士はワーキングメモリーの重要性を指摘、特に社会性の発達・前頭前野を育てること、多賀博士は心の教育と体の問題は一体であること、ヘンシュ博士は臨界期と発達段階、仁木博士は海馬の機能、小泉博士は高次機能の研究には総合的な学問領域が必要と述べている。

 自然科学者が入ったことにより、「論より証拠」「仮説ー実験ー検証」が主流となりつつある。教育こそは国家の最重要課題、空回り・無為は許されない。

 「脳科学の知見を生かすー脳科学と教育実践ー」これは川口市立東本郷小学校と芝中央小学校の研究結果を踏まえて作成した基本構造図である。構造は単純であるが成果は確実である。本報告ブログのベースでもある。骨格は時実脳科学をうけている。具体的な実践では松本・澤口・森・山口博士などの研究に学んだ。 

 研究の経過はその都度本ブログに報告済みである。2008年の研究発表には埼玉県議会文教委員会も来校した。脳科学の時代がきている。検索数「脳科学」794万、「脳科学者 茂木」141万、「〃 森」112万、「〃 澤口」5万7千」です。「脳科学ブログ」だと2160万、小生の本「脳科学ブログ」12万八千、トップです。社会のニーズは凄いのです。しかし、学校現場はなかなか動きません。気づいた人から、気づいた学校から、できるところから、できる範囲から少しづつ始めようではありませんか。私はやります。全国どこにでも行きます。「脳科学と教育」の啓蒙・架橋のためならば・・・。今まで東京・埼玉・千葉・滋賀・福井・福岡の各県で講演しています。(048−255−8938 桑原)

           次回来週は実践報告の予定、お楽しみに
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