【社説】迫り来る危機に無防備状態の韓国

 米国のトランプ大統領と中国の習近平・国家主席が米国で首脳会談を行ってから5日後、二人は再び電話会談を行った。中国共産党の複数の宣伝機関によると、習主席はトランプ大統領に「中国は韓半島(朝鮮半島)非核化という目標を堅持しており、平和的方法で韓半島問題を解決し、米国との意思疎通と協力を望んでいる」と述べたという。互いに直接会って会談を行ってからわずか5日後に習主席が電話をかける必要があったとすれば、何か緊急かつ重大な事情があるか、あるいは少なくとも非常に懸念すべき問題が存在することを意味する。現在、空母カールビンソンを中心とする米艦隊が韓半島周辺海域に向かっており、その影響もあって米国が北朝鮮に対する先制攻撃を行うか、あるいは北朝鮮のミサイルを迎撃するといった懸念が浮上しているため、習主席が直接動いたとみられる。

 トランプ大統領は「中国が北朝鮮の核開発を阻止しないなら、われわれがやる」との考えを何度も表明してきた。また昨日もメディアとのインタビューで「(朝鮮労働党の)金正恩(キム・ジョンウン)委員長は大きな失敗をした」とした上で「米国は強力な無敵艦隊を(北朝鮮に)派遣している」と改めて警告した。複数の米政府関係者も北朝鮮に対する軍事行動について「選択肢の中にある」と何度も明言している。もちろん北朝鮮に対する軍事行動はそう簡単に実行に移せるものではない。米国の有力紙ニューヨーク・タイムズが指摘するように、北朝鮮への先制攻撃には現実問題として数々の制約があるのも事実だ。また韓国国内に居住するおよそ20万人の米国人の間に現時点で何の動きがないことを見ても、今すぐ先制攻撃が行われる可能性は非常に低いと言わざるを得ない。しかし米国がイージス艦を含む空母艦隊を韓半島周辺に向かわせていることから考えると、トランプ政権の考えをまだ深くは把握できていない中国としては、神経質な対応を取らざるを得なかったのだろう。

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