韓国に事前通知せずに米国が北朝鮮を攻撃できない3つの理由

(1)韓米同盟軍の統帥体系上、両国大統領の事前協議が必須

(2)北朝鮮が反撃のため首都圏砲撃なら駐韓米国人にも犠牲者

(3)全面戦に備え米の戦闘機移動なら韓国軍に分からないはずない

 米国の奇襲的なシリア空襲以降、北朝鮮に対する予防的先制攻撃の可能性が取りざたされている中、一部では「米国は韓国側に事前通知することなく北朝鮮を攻撃する可能性もあるのではないか」という懸念も浮上している。韓国政府・韓国軍が何度も「米国が北朝鮮に対して先制攻撃をする際は、韓国と事前協議せざるを得ない」と説明しているのにもかかわらず、こうした懸念の声が相次いでいるのだ。

 国防部(省に相当)の文尚均(ムン・サンギュン)報道官は11日の記者会見で、米国が北朝鮮に対して先制攻撃をする際、韓国が事前に知ることができるかどうかについて、「それ(先制攻撃)は韓米間の緊密な共助に基づいた堅固な韓米連合防衛態勢の下で行われることだ」と述べた。

 米軍が北朝鮮を攻撃する際に、在韓米軍を活用しないのは難しい。しかも現在の韓米同盟軍統帥体系は、両国大統領・国防長官・合同参謀本部議長からなる国家統帥・軍事指揮機構(NCMA)->韓米安保協議会議(SCM)->韓米軍事委員会(MCM)->韓米連合司令部という系統を踏むようになっている。先制攻撃は両国大統領・国防長官らの事前協議と指示の下に実行するしかない。

 専門家らは「このような制度的装置のほかに現実的にも米国が韓国に通知せずに攻撃するのは事実上、不可能だ」と言う。シリアの場合、戦争拡大や米国人に被害が出る可能性を懸念する必要がなく攻撃できたが、北朝鮮の場合はそうはいかないということだ。北朝鮮に対しては全面戦を展開しなくても340門の長射程砲が首都圏と米軍基地を攻撃可能で、1000発に及ぶスカッドやノドンなどのミサイルで韓国全域を攻撃することもできる。これに対する備えは在韓米軍のみでは不可能であり、韓国軍の砲兵、玄武第2・第3ミサイル部隊などの支援を受けなければならない。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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