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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


脳科学の知見を生かそう [2012年10月11日(Thu)]

 全国の皆さん、子育て・人材育成に邁進しておられる皆さん、脳科学の知見を生かした実践をしてみませんか。是非してみてください。10月8日、山中教授がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。おめでたいことです。私の願いは、脳科学と教育の架橋・融合です。生物学・生理学を基盤にした、脳科学教育学の誕生・発展です。拙いものですが、現役時代の実践の一部を報告いたします。ご覧下さい。研究の一助にご活用ください。ご感想・コメントもお寄せ下さい。

教育という営みはは心・体・心・脳を一体として育てることである。脳の面からみると脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質・前頭前野扁をそれぞれ育み・鍛え・育てることである。ここでは教育の場で特に大事な「脳の可塑性」について述べてみたい。是非参考にして欲しい。


1 子どものバランスのよい育ちのために

○子どもの成長に大切な時期

<臨界期を踏まえた子育てと教育>

ヘンシュ・貴雄博士(理研)が臨界期を発見した。脳の発達にと
って、最重要の時期があること。学ぶに時があること。チャンス
を逃がすと取り戻すことが困難であること。抑制が外れて発現す
ることなどであった。

言語にしても運動にしてもその臨界期の多くが幼少期にあり、幼
保育園・小学校時代の重要性を示唆している。


視覚にも聴覚にも臨界期がある。運動にも言語にもある。絶対音
感は幼児期である。日本には「三つ子の魂 百までも」という諺
があった。

旧約聖書・伝道の書3章には「天の下の萬の事には期あり、萬の
わざには時あり。生まるるに時あり。死ぬるに時あり。植るに時
あり。
・・・」と「時・タイミング」の大切さが記録されている。


脳の回路は経験依存的に形成される。入力されても出力しないと
回路は回らない。回らないと学習効果は生じない。脳の中では入
力情報が引き金となって既存の膨大な情報を検索し、求める解答
を出力させるしくみになっている。

単純な言動でも原理が同じである。返事をする。板書を写す。そ
ろばんを弾くなどなど、実際の行動によって学習は身に付いてい
く。
聞くだけ、見るだけ、やったつもり、やったふりはダメである。


脳科学と学校教育の連携を探る研究が少しづつだが進められてい
る。兵庫教育大では、脳のメカニズムから、
 @ 学習の適時性 
 A 子どもの問題の解決 
 B 教師の指導力の向上を探っている。 

 
子どもの問題が山積し、解決が迫られている。しかし、多くの学
校は、時と場合により、成功したり、失敗したり苦戦を強いられ
ている。堂々巡りやモグラたたきを繰り返しているのが現状であ
る。

是非脳科学の知見を生かしてほしい。わたしが関係した学校、東
本郷小学校5年間、芝中央小学校3年間、両校とも同様に成果が
上がった。
東本郷小学校での成果は、
 @ いじめは激減 
 A キレル子も激減 
 B 不登校はゼロ 
 C 出席率の向上、皆勤賞の増加 
 D 平成16年度6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞26名(3
   6%)、平成17年度は6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞
   22名(46%)であった。
 E 川口市立47校平均(9.5%)、本校の皆勤率は4倍〜
   5倍。学校全体でも116名が皆勤であった。(38%ー
   4倍)
 F 喧噪から静粛に変化、チャイム3分後には全校が水を打っ
   たように静かになる。
 G 授業に集中するようになった。(メリハリのある授業とな
   った)
 H 教師・生徒一体の授業が生まれた。 
 I 全国学力テストで好結果又は改善が見られた。
 J 教職員の異動希望4年間なし。赴任1年目1名のみ転出希
   望。いずれも一寸信じられないことだが本当である。
 K これらの成果は芝中央小でも同じ傾向であった。芝中央小
   学校には県議会文教委員会が視察に来た。成果に驚いてい
   た。

 
○ 分かってきたこと・大事なこと
・脳科学の知見をいかすことで教育の効果があがる。
・課題解決に希望が見いだされる。
・脳の「基本的な神経回路」はその時々の対応によって作られる。
・子どもは五感(目、耳、花、舌、身)から得る刺激によって成
 長配線の仕方が違ってくる。
・母親の声、動き、表情、拳の感覚、身の回りの全ての刺激を吸
 収し成長していく。
・幼児の発達を考える際に大切なことは、2歳までに60%、4
 歳までに75%、そして6歳までに90%と、脳細胞間の配線
 が完了し、その構造が出来上がってしまうこと。そして残りの
 10%は、20歳位までに緩やかに成長していく。
・赤ちゃんの神経回路は、母親がつくる。遺伝子のスイッチをO
 Nにする。
・模範とスキンシップが赤ちゃんを育てる。母親との応答・交流
 で育つ。
・育みのまなざし、可愛がることが大事。愛が脳を活性化する。
・赤ちゃんでは、母親と目線が合わない、表情が乏しい(自閉症
 、ADHD)などサイレントベイビーが出現している。
・テレビをかけっぱなし、子守がわりになっている家庭もある。
・応答的な環境がなく、言葉が喋れない、笑わない、遊べない子
 が増えている。
・実体験が五感を刺激し、子どもを成長させる。テレビをつけっ
 ぱなしだと人間の声が子どもに入らず、表情や言葉を表出させ
 ない。
・聴覚の臨界期は3歳から5歳で就学前である。
・就学前の自然体験学習(水遊び、群れ遊び)が大事。
・言葉は過去に体験がないと育たない。
  ↓(H16・10・2日本健康行動科学会講演 片岡直樹教授)
○「三つ子の魂百まで」の諺は、脳の発達における臨
界期をしめしているようで、言い得て妙である。
・ヒトの脳は8歳で殆ど完成に近い。しかし、脳は可塑性(シナ
 プスの可塑変化)に富むので少々遅れても努力を怠らないこと
 が肝心である。
・乳幼児から小学校教育の大切さはどんなに力説してもしすぎる
 事はない。
・虐待は脳を壊す。萎縮させる。トラウマを生む。不幸の土壌を
 つくる。
・豊かな人間関係が大事。家庭・地域・学校で生みだすこと。

******
 暖房効かせて 寒さがない
 テレビの見過ぎで 考えない
 冷房効かせて 暑さがない  
 何でもホイホイ 我慢がない
 おやつが過ぎて 空腹がない 
 点数以外は 関心がない
 歩かせないで 疲れがない 
 判っているけど 行わない
 おもちゃのやり過ぎで 興味がない 
 これではまともに 育たない
(H17・10・1 第3回感性・脳科学教育研究会講演 村上光男園
 長)
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