臨界期と脳の可塑性(8)
[2010年05月03日(Mon)]
脳科学の知見を生かす(8)
1 子どものバランスのよい育ちのために
○子どもの成長に大切な時期
<臨界期を踏まえた子育てと教育>
ヘンシュ・貴雄博士(理研)が臨界期を発見した。脳の発達にと
って、最重要の時期があること。学ぶに時があること。チャンスを
逃がすと取り戻すことが困難であること。抑制が外れて発現するこ
となどであった。
言語にしても運動にしてもその臨界期の多くが幼少期にあり、幼保
育園・小学校時代の重要性を示唆している。

視覚にも聴覚にも臨界期がある。運動にも言語にもある。絶対音感
は幼児期である。日本には「三つ子の魂 百までも」という諺があ
った。
旧約聖書・伝道の書3章には「天の下の萬の事には期あり、萬のわ
ざには時あり。生まるるに時あり。死ぬるに時あり。植るに時あり。
・・・」と「時・タイミング」の大切さが記録されている。

脳の回路は経験依存的に形成される。入力されても出力しないと回
路は回らない。回らないと学習効果は生じない。脳の中では入力情
報が引き金となって既存の膨大な情報を検索し、求める解答を出力
させるしくみになっている。
単純な言動でも原理が同じである。返事をする。板書を写す。そろ
ばんを弾くなどなど、実際の行動によって学習は身に付いていく。
聞くだけ、見るだけ、やったつもり、やったふりはダメである。

脳科学と学校教育の連携を探る研究が少しづつだが進められている。
兵庫教育大では、脳のメカニズムから、
@ 学習の適時性
A 子どもの問題の解決
B 教師の指導力の向上を探っている。

子どもの問題が山積し、解決が迫られている。しかし、多くの学校
は、時と場合により、成功したり、失敗したり苦戦を強いられてい
る。堂々巡りやモグラたたきを繰り返しているのが現状である。
是非脳科学の知見を生かしてほしい。わたしが関係した学校、東本
郷小学校5年間、芝中央小学校3年間、両校とも同様に成果が上が
った。
東本郷小学校での成果は、
@ いじめは激減
A キレル子も激減
B 不登校はゼロ
C 出席率の向上、皆勤賞の増加
D 平成16年度6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞26名(36
%)、平成17年度は6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞22
名(46%)であった。
E 川口市立47校平均(9.5%)、本校の皆勤率は4倍〜5
倍。学校全体でも116名が皆勤であった。(38%ー4倍)
F 喧噪から静粛に変化、チャイム3分後には全校が水を打った
ように静かになる。
G 授業に集中するようになった。(メリハリのある授業となっ
た)
H 教師・生徒一体の授業が生まれた。
I 全国学力テストで好結果又は改善が見られた。
J 教職員の異動希望4年間なし。赴任1年目1名転出希望あり。
いずれも一寸信じられないようなことだが本当である。
K これらの成果は芝中央小でも同じ傾向であった。芝中央小学
校には県議会文教委員会が視察に来た。成果に驚いていた。

○ 分かってきたこと・大事なこと
・脳科学の知見をいかすことで教育の効果があがる。
・課題解決に希望が見いだされる。
・脳の「基本的な神経回路」はその時々の環境に応じて作られる。
・子どもは五感(目、耳、花、舌、身)から得る刺激によって成長
配線の仕方が違ってくる。
・母親の声、動き、表情、拳の感覚、身の回りの全ての刺激を吸収
し成長していく。
・幼児の発達を考える際に大切なことは、2歳までに60%、4歳
までに75%、そして6歳までに90%と、脳細胞間の配線が完
了し、その構造が出来上がってしまうこと。そして残りの10%
は、20歳位までに緩やかに成長していく。
・赤ちゃんの神経回路は、母親がつくる。遺伝子のスイッチをONに
する。
・模範とスキンシップが赤ちゃんを育てる。母親との応答・交流で
育つ。
・育みのまなざし、可愛がることが大事。愛が脳を活性化する。
・赤ちゃんでは、母親と目線が合わない、表情が乏しい(自閉症、
ADHD)などサイレントベイビーが出現している。
・テレビをかけっぱなし、子守がわりになっている家庭もある。
・応答的な環境がなく、言葉が喋れない、笑わない、遊べない子が
増えている。
・実体験が五感を刺激し、子どもを成長させる。テレビをつけっぱ
なしだと人間の声が子どもに入らず、表情や言葉を表出させない。
・聴覚の臨界期は3歳から5歳で就学前である。
・就学前の自然体験学習(水遊び、群れ遊び)が大事。
・言葉は過去に体験がないと育たない。
↓(H16・10・2 日本健康行動科学会講演 片岡直樹教授)
○「三つ子の魂百まで」の諺は、脳の発達における臨
界期をしめしているようで、言い得て妙である。
・ヒトの脳は8歳で殆ど完成に近い。しかし、脳は可塑性(シナプ
スの可塑変化)に富むので少々遅れても努力を怠らないことが肝
心である。
・乳幼児から小学校教育の大切さはどんなに力説してもしすぎる事
はない。
・虐待は脳を壊す。萎縮させる。トラウマを生む。不幸の土壌をつ
くる。
・豊かな人間関係が大事。家庭・地域・学校で生みだすこと。
******
暖房効かせて 寒さがない
テレビの見過ぎで 考えない
冷房効かせて 暑さがない
何でもホイホイ 我慢がない
おやつが過ぎて 空腹がない
点数以外は 関心がない
歩かせないで 疲れがない
判っているけど 行わない
おもちゃのやり過ぎで 興味がない
これではまともに 育たない
(H17・10・1 第3回感性・脳科学教育研究会講演 村上光男園長)
1 子どものバランスのよい育ちのために
○子どもの成長に大切な時期
<臨界期を踏まえた子育てと教育>
ヘンシュ・貴雄博士(理研)が臨界期を発見した。脳の発達にと
って、最重要の時期があること。学ぶに時があること。チャンスを
逃がすと取り戻すことが困難であること。抑制が外れて発現するこ
となどであった。
言語にしても運動にしてもその臨界期の多くが幼少期にあり、幼保
育園・小学校時代の重要性を示唆している。
視覚にも聴覚にも臨界期がある。運動にも言語にもある。絶対音感
は幼児期である。日本には「三つ子の魂 百までも」という諺があ
った。
旧約聖書・伝道の書3章には「天の下の萬の事には期あり、萬のわ
ざには時あり。生まるるに時あり。死ぬるに時あり。植るに時あり。
・・・」と「時・タイミング」の大切さが記録されている。
脳の回路は経験依存的に形成される。入力されても出力しないと回
路は回らない。回らないと学習効果は生じない。脳の中では入力情
報が引き金となって既存の膨大な情報を検索し、求める解答を出力
させるしくみになっている。
単純な言動でも原理が同じである。返事をする。板書を写す。そろ
ばんを弾くなどなど、実際の行動によって学習は身に付いていく。
聞くだけ、見るだけ、やったつもり、やったふりはダメである。
脳科学と学校教育の連携を探る研究が少しづつだが進められている。
兵庫教育大では、脳のメカニズムから、
@ 学習の適時性
A 子どもの問題の解決
B 教師の指導力の向上を探っている。
子どもの問題が山積し、解決が迫られている。しかし、多くの学校
は、時と場合により、成功したり、失敗したり苦戦を強いられてい
る。堂々巡りやモグラたたきを繰り返しているのが現状である。
是非脳科学の知見を生かしてほしい。わたしが関係した学校、東本
郷小学校5年間、芝中央小学校3年間、両校とも同様に成果が上が
った。
東本郷小学校での成果は、
@ いじめは激減
A キレル子も激減
B 不登校はゼロ
C 出席率の向上、皆勤賞の増加
D 平成16年度6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞26名(36
%)、平成17年度は6ヵ年皆勤賞2名、1ヵ年皆勤賞22
名(46%)であった。
E 川口市立47校平均(9.5%)、本校の皆勤率は4倍〜5
倍。学校全体でも116名が皆勤であった。(38%ー4倍)
F 喧噪から静粛に変化、チャイム3分後には全校が水を打った
ように静かになる。
G 授業に集中するようになった。(メリハリのある授業となっ
た)
H 教師・生徒一体の授業が生まれた。
I 全国学力テストで好結果又は改善が見られた。
J 教職員の異動希望4年間なし。赴任1年目1名転出希望あり。
いずれも一寸信じられないようなことだが本当である。
K これらの成果は芝中央小でも同じ傾向であった。芝中央小学
校には県議会文教委員会が視察に来た。成果に驚いていた。
○ 分かってきたこと・大事なこと
・脳科学の知見をいかすことで教育の効果があがる。
・課題解決に希望が見いだされる。
・脳の「基本的な神経回路」はその時々の環境に応じて作られる。
・子どもは五感(目、耳、花、舌、身)から得る刺激によって成長
配線の仕方が違ってくる。
・母親の声、動き、表情、拳の感覚、身の回りの全ての刺激を吸収
し成長していく。
・幼児の発達を考える際に大切なことは、2歳までに60%、4歳
までに75%、そして6歳までに90%と、脳細胞間の配線が完
了し、その構造が出来上がってしまうこと。そして残りの10%
は、20歳位までに緩やかに成長していく。
・赤ちゃんの神経回路は、母親がつくる。遺伝子のスイッチをONに
する。
・模範とスキンシップが赤ちゃんを育てる。母親との応答・交流で
育つ。
・育みのまなざし、可愛がることが大事。愛が脳を活性化する。
・赤ちゃんでは、母親と目線が合わない、表情が乏しい(自閉症、
ADHD)などサイレントベイビーが出現している。
・テレビをかけっぱなし、子守がわりになっている家庭もある。
・応答的な環境がなく、言葉が喋れない、笑わない、遊べない子が
増えている。
・実体験が五感を刺激し、子どもを成長させる。テレビをつけっぱ
なしだと人間の声が子どもに入らず、表情や言葉を表出させない。
・聴覚の臨界期は3歳から5歳で就学前である。
・就学前の自然体験学習(水遊び、群れ遊び)が大事。
・言葉は過去に体験がないと育たない。
↓(H16・10・2 日本健康行動科学会講演 片岡直樹教授)
○「三つ子の魂百まで」の諺は、脳の発達における臨
界期をしめしているようで、言い得て妙である。
・ヒトの脳は8歳で殆ど完成に近い。しかし、脳は可塑性(シナプ
スの可塑変化)に富むので少々遅れても努力を怠らないことが肝
心である。
・乳幼児から小学校教育の大切さはどんなに力説してもしすぎる事
はない。
・虐待は脳を壊す。萎縮させる。トラウマを生む。不幸の土壌をつ
くる。
・豊かな人間関係が大事。家庭・地域・学校で生みだすこと。
******
暖房効かせて 寒さがない
テレビの見過ぎで 考えない
冷房効かせて 暑さがない
何でもホイホイ 我慢がない
おやつが過ぎて 空腹がない
点数以外は 関心がない
歩かせないで 疲れがない
判っているけど 行わない
おもちゃのやり過ぎで 興味がない
これではまともに 育たない
(H17・10・1 第3回感性・脳科学教育研究会講演 村上光男園長)
【「知見を生かす」の最新記事】
【茂木・池田、騙しの手口】
茂木健一郎と池田大作(創価学会)に対する私の疑問、批判を読んでいた
だきましたが、念のためお断りしておかねばならないことがあります。
それは、私は茂木健一郎の人格や性格などを問題にしているのではない、
ということです。私が批判しているのは、茂木が自分は脳科学者と自称して
いること、それがただ一つです。
自分は文芸評論家、宗教評論家、オカルト推進者、心理学者などと自称して
おれば、私はこの人にはまったく興味はありません。しかし、彼は自分が科
学者であるかのように錯覚して、某有名大学の非常勤教