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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


教育の不易は脳科学(17) [2010年07月26日(Mon)]
脳科学の知見を生かす(17)

1 教育の不易は脳科学にあり

 臨教審で会長(京大総長)岡本博士が、「教育の基本は『
不易と流行』のバランスにある。教育の不易は、脳科学なの
だ」といったのは1985年であった。
1971年の四六答申・1978年大平正芳の政策研究グル
ープ報告など優れた研究成果を受けついでいる。文部科学省
が「脳科学と教育に関する検討会」の報告書を出したのが2
003年7月であった。
今年は2010年である。時実博士・松本元博士はじめ多く
の研究者が脳科学の教育応用への重要性を指摘したのに、こ
の遅々たる歩み、脳科学研究の先駆者たちはどんな思いで見
ておられるであろうか。
文部科学省が「学習指導要領を脳科学で改訂しよう」と考え
ている、そういう大きな流れの中にありながら、現場は全く
と言っていいほど無関心であり続けた。脳科学研究は飛躍的
に進み、医療や工学でどんどん応用されているのに教育界は
いったいどうしているのであろうか。
脳神経回路の発達が3歳で60パーセント、8歳で90パーセン
ト以上ということが分かっているのに、その大事な時期に、
どうかかわるかということが研究されないとしたらあまりに
も不見識といえるのではないだろうか。
私たちは2003年研究開始、2004年1月・2005年1月
に研究発表をした。平成17年(2005年)7月2日、「埼
玉感性・脳科学教育研究会」を発足させた。臨教審委員だっ
た明星大学高橋史朗教授が講演した。私は東本郷小学校の実
践報告をした。
 
 講演する高橋教授 

 側面・後面には実践報告の写真を掲示した。

 真剣に聞き入る参会者

 参会した東本郷小学校の職員たち 教頭森一夫が司会進行
を担った。

 学習会はコツコツ続けられ、25回を数えた。岡村川口市
長も陰ながら応援して下さった。(前列左から3番目、隣が
小生)退職し現場を離れると継続がむずかしい。思案中であ
る。


 内容のポイントは
1 脳科学の知見を生かし、「しっかり抱いて、下に降ろし
  て、歩かせろ」・・・しっかり抱いて(3歳までは受容)、
  下に降ろして(分離)、歩かせる(自立)ことが大切で
  ある。
2 「守 破 離」(千利休の言葉)を教育に生かす。
3 守は基本の型を他律的に身につけること。例えば華道、
  茶道、柔道など型を継承すること。破は型を破ること、
  離は独自のものをつくること。他律から自立へと導くと
  いうこと。
4 手間ひまかけての子育てが大事。合理化、効率化は子育
  てにはそぐわない。
5 「教育とは欲望を抑止する訓練である」(時実利彦博士)
6 人づくりのポイントは「前頭前野」を育てることである。
7 キレルのは我慢力や抑止力が十分に育ってないからであ
  る。
8 「育む」とは「羽含む」で思いやり、対人関係能力を育
  てること。
9 ‘Understand’は頭で分かること(知的理解)、‘Realize’
  は意味や価値を実感すること、気づき分かること。
10 ともに涙をながすことで心・魂が触れ合うことができる。
11 「主体変容」で 教育する主体(親、教師)の
   @ 子ども観
   A かかわり方
   B 感じ方(感性)  を変えていくことが大切である。
12 なぜ「いじめ」がおきるのか。自尊感情の未熟がおおき
  い。
13 「知・徳・体」の土壌となるものは、感性(思いやり)
  である。感性の土壌は思いやり、思いやりから弱さの共
  感性が出てくる。
14 幸福の原点は親と子のふれあい・心のつながりにある。
15 言辞施(ごんじせ)→肯定的な言葉かけが子どもを育て
  る。  
16 子どもは、危機に対し父親の「大丈夫」という言葉に励
  まされる。
17 脳科学で教育の不易流行を探り当てる。
18 脳神経回路は3歳で6割以上、8歳で9割以上組み上が
  る。
19 脳は心の発達段階に合わせて脳神経を発達させる。
20 生涯学習は脳の可塑性を生かし、一生かかって脳(心)
  を育むこと。
21 脳科学の知見を生かした教育を推進して欲しい。
  
 <PQ・前頭前野を育てる8つのポイント(澤口俊之)>
 
 @ 夢、目標をもたせる。
 A 多様な人間関係をもたせる。 
 B 原体験、本物を体験する。 
 C 自分が選んだ体験をする。 
 D 読書特に音読をする。 
 E 暗算、単純な計算をする。 
 F 乳幼児の世話をする。 
 G 野外キャンプをする。

 昔から「教育の要諦は意思を鍛えること」と言われてきた。
箴言・金言・諺など先人の知恵が脳科学研究の進展によって
裏付けられてきた。
日本文化の不易に堅くたち、大胆に現状を変革する勇気を持
って欲しい。先人に学べ、先輩に学べ。歴史に学べ。学ぶべ
 きことは山ほどある。 

参考 臨教審委員 (総理大臣ー中曽根康弘)
 会   長 岡本道雄
 会長代理 石川忠雄
 会長代理 中山素平
○第一部会
 天谷直弘、内田健三、金杉秀信、香山健一、中内功、水上
 忠、菊池幸子、木田宏、高橋史朗、俵孝太郎、山本七平
○第二部会
 石井威望、木村治美、斉藤斗志二、堂垣内尚弘、三浦知寿
 子(曽野綾子)、宮田義二、石井公一郎、高梨昌、坪内嘉
 雄、矢口光子、屋山太郎
○第三部会
 有田一壽、岡野俊一郎、小林登、斎藤正、溜昭代、戸張敦
 雄、石野清治、大沼淳、河野重男、下河原五郎、千石保
○第四部会
 飯島宗一、須之部量三、瀬島龍三、細見卓、公文俊平、黒
 羽亮一、佐久間彊、戸田修三、渡部昇一

 臨教審は先見性があった。先の総理大平正芳は先見性も哲
学もあった。活かされないのが惜しい。 
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