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●概要
6TBくらいで容量が止まっていたHDD業界に新しく8TBが加わりました
しかも既存の容量アップからするとかなり安い
ところがこの8TB HDDは今までのHDDとは毛色が大きく違います
お買得に見えて安いことには安いなりの訳がある
端的に言うと以下の点に難ありな製品なのです
・OS用ドライブには向かない
・失くなって困るデータ保存には向かない
どういうことかという説明は各セクションにて解説しますが
まずその肝たる技術SMRという書き込み方式を知る必要があります
その前にひとまず結論
●結論
大容量で安いSMRのHDDは1年待とういろいろ難ありな技術なので
1年ほど使用したユーザーから
阿鼻叫喚のレビューが出ないか待ってから
購入したほうが身のためかと思われます
●新技術SMR(Shingled Magnetic Recording)
直訳すると瓦状磁気記録方式です通常のHDDは記録マス目ごとに書かれるため
マスごとに余白領域が広くとられたタイル状に書き込まれています
磁気記録なので書き込み時に隣のマスに干渉しないような配慮となります
※タイル状という表現は後述の比較例のためとなります
※実際にはディスクに渦巻き状に書かれています
SMRでは256MBを書き込み単位としてその256MB内の余白を小さくしています
256MBまとめて書き込むからその中でなら干渉は小さく済むので余白狭め
隣の256MBとは通常通り安全を見て広い余白となっています
※SMRも256MB単位ではありますが渦巻き状に書かれています
この仕組みを屋根に例えて
通常のHDDをタイル張りの屋根(平書き込み)
SMRを瓦(256MB単位)を重ねた屋根(重ね書き込み)
といった名づけ方をしています
こうして256MB単位で余白を狭めることで
今まで以上の高密度を可能としています
ただしその代償としていくつかの難点を抱えています
●OS用ドライブには向かない
SMRは256MB単位でデータを書き込むので細かなファイルの塊であるOSやユーザー設定ファイルなどの
書き込みが頻繁な用途には向きません
1kBのファイルを書き込むにも256MB単位となるので
書き込み時間が長くなります
256MB単位内に空き領域があった場合にも
256MB単位で読み出して1kBデータ分を書き換えて
256MB単位で書き戻すという手順が必要となるためです
このため大きな画像や動画データなどの
あまり書き換えをせず新たにファイルを追加保存しておくような
記録保管庫的な用途に向けたディスクとなります
●失くなって困るデータ保存には向かない
書き込み単位が256MBと大きいためたとえ1kBのファイルを書き込みであっても
既存の256MB単位で読み出して1kBデータ分を書き換え
256MB単位で書き戻すという手順が必要となります
もしこの書き込み時に
OSがクラッシュしたり停電で落ちたりした場合どうなるか
1kBファイルは壊れるのは仕方ないでのですが
なんと既存の256MB単位で書き込まれたデータも壊れます
256MB単位で書き戻す際に元のデータも巻き添えになるのです
●憶測交じりの余談
NAS用のHDDとの触れ込みですが大事なデータを保存する用途には
現時点ではまだまだ信頼性が足りていない新技術です
人柱上等な人以外は避けたほうがいいでしょう
買った当初は新規書き込みなのでいいでしょうが
使っていくうちに書き換えが頻出してくると
泣きを見ることになってきそうです
用途的には
低容量で高いBlu-Ray書き込み保存の代替として
ごっついが大容量で安いSMRのHDDを
1回書き込み or データ追記専用メディアにするくらいかと思います
# 個人的には要らんわそんなもんみたいな
追記:2016/02/29
さてはてこの記事から一年ほど経ちましたってことでちょうど検証ネタがでてたのでご紹介
AKIBA PC Hotline!
最安の8TB HDD「ST8000AS0002」をテスト、SMR技術を再確認
・ベンチで測ると問題はなさげ
・ただし実用的な使い方すると使い物にならない
・とはいえ上書きのない追記式の記録領域としてなら有用
と、当初の予想通りの検証結果が上がっていました
ポイントは「上書きのない追記式の記録領域」
つまりどういうこと?ってなことなのですが
たとえばバックアップ
ユーザーデータ領域などのバックアップの場合
既存のデータに変更が加わるため
バックアップを上書きして更新していくことになります
この用途だとめっさ遅くて使い物にならない
PCのフルバックアップなんかもダメですね
よい使い方は画像や動画の保管庫
上書きせずに追加されていくので
既存のバックアップで使われたセクタを書き換える必要がない
これなら速度的に十分に使い物になります
実は昨年秋ごろからすでに
ST8000AS0002を利用していまして
実体験的にも確認済みだったりします
1ファイル送り込むのに数秒で済みますが
試しにやってみた上書きだと呆れるくらい遅いです
てなわけで
日々HDDの肥やしが増えていく紳士な方々には向いているかもです
おまけ:SEAGATE製品ファームウェア検索
※型番ではなくシリアル番号で検索
シリアル番号はCrystalDiskInfoとかで確認
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