備忘録:8TB HDDは1年待とう
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備忘録:8TB HDDは1年待とう

2015-02-14 18:59

    ●概要

     6TBくらいで容量が止まっていたHDD業界に
     新しく8TBが加わりました
     しかも既存の容量アップからするとかなり安い

     ところがこの8TB HDDは今までのHDDとは毛色が大きく違います
     お買得に見えて安いことには安いなりの訳がある
     端的に言うと以下の点に難ありな製品なのです

     ・OS用ドライブには向かない

     ・失くなって困るデータ保存には向かない

     どういうことかという説明は各セクションにて解説しますが
     まずその肝たる技術SMRという書き込み方式を知る必要があります

     その前にひとまず結論


    ●結論

     大容量で安いSMRのHDDは1年待とう
     いろいろ難ありな技術なので
     1年ほど使用したユーザーから
     阿鼻叫喚のレビューが出ないか待ってから
     購入したほうが身のためかと思われます


    ●新技術SMR(Shingled Magnetic Recording)

     直訳すると瓦状磁気記録方式です

     通常のHDDは記録マス目ごとに書かれるため
     マスごとに余白領域が広くとられたタイル状に書き込まれています
     磁気記録なので書き込み時に隣のマスに干渉しないような配慮となります
     ※タイル状という表現は後述の比較例のためとなります
     ※実際にはディスクに渦巻き状に書かれています

     SMRでは256MBを書き込み単位としてその256MB内の余白を小さくしています
     256MBまとめて書き込むからその中でなら干渉は小さく済むので余白狭め
     隣の256MBとは通常通り安全を見て広い余白となっています
     ※SMRも256MB単位ではありますが渦巻き状に書かれています

     この仕組みを屋根に例えて
     通常のHDDをタイル張りの屋根(平書き込み)
     SMRを瓦(256MB単位)を重ねた屋根(重ね書き込み)
     といった名づけ方をしています

     こうして256MB単位で余白を狭めることで
     今まで以上の高密度を可能としています
     ただしその代償としていくつかの難点を抱えています


    ●OS用ドライブには向かない

     SMRは256MB単位でデータを書き込むので
     細かなファイルの塊であるOSやユーザー設定ファイルなどの
     書き込みが頻繁な用途には向きません

     1kBのファイルを書き込むにも256MB単位となるので
     書き込み時間が長くなります

     256MB単位内に空き領域があった場合にも
     256MB単位で読み出して1kBデータ分を書き換えて
     256MB単位で書き戻すという手順が必要となるためです

     このため大きな画像や動画データなどの
     あまり書き換えをせず新たにファイルを追加保存しておくような
     記録保管庫的な用途に向けたディスクとなります

    ●失くなって困るデータ保存には向かない

     書き込み単位が256MBと大きいため
     たとえ1kBのファイルを書き込みであっても
     既存の256MB単位で読み出して1kBデータ分を書き換え
     256MB単位で書き戻すという手順が必要となります

     もしこの書き込み時に
     OSがクラッシュしたり停電で落ちたりした場合どうなるか

     1kBファイルは壊れるのは仕方ないでのですが
     なんと既存の256MB単位で書き込まれたデータも壊れます
     256MB単位で書き戻す際に元のデータも巻き添えになるのです


    ●憶測交じりの余談

     NAS用のHDDとの触れ込みですが
     大事なデータを保存する用途には
     現時点ではまだまだ信頼性が足りていない新技術です
     人柱上等な人以外は避けたほうがいいでしょう

     買った当初は新規書き込みなのでいいでしょうが
     使っていくうちに書き換えが頻出してくると
     泣きを見ることになってきそうです

     用途的には
     低容量で高いBlu-Ray書き込み保存の代替として
     ごっついが大容量で安いSMRのHDDを
     1回書き込み or データ追記専用メディアにするくらいかと思います
     # 個人的には要らんわそんなもんみたいな

    追記:2016/02/29

     さてはてこの記事から一年ほど経ちました
     ってことでちょうど検証ネタがでてたのでご紹介
     AKIBA PC Hotline!
     最安の8TB HDD「ST8000AS0002」をテスト、SMR技術を再確認

     ・ベンチで測ると問題はなさげ

     ・ただし実用的な使い方すると使い物にならない

     ・とはいえ上書きのない追記式の記録領域としてなら有用

     と、当初の予想通りの検証結果が上がっていました

     ポイントは「上書きのない追記式の記録領域」
     つまりどういうこと?ってなことなのですが
     たとえばバックアップ

     ユーザーデータ領域などのバックアップの場合
     既存のデータに変更が加わるため
     バックアップを上書きして更新していくことになります
     この用途だとめっさ遅くて使い物にならない
     PCのフルバックアップなんかもダメですね

     よい使い方は画像や動画の保管庫
     上書きせずに追加されていくので
     既存のバックアップで使われたセクタを書き換える必要がない
     これなら速度的に十分に使い物になります

     実は昨年秋ごろからすでに
     ST8000AS0002を利用していまして
     実体験的にも確認済みだったりします

     TS テストデータを日々数GB追記していっているのですが
     1ファイル送り込むのに数秒で済みますが
     試しにやってみた上書きだと呆れるくらい遅いです
     てなわけで
     日々HDDの肥やしが増えていく紳士な方々には向いているかもです

     おまけ:SEAGATE製品ファームウェア検索
     ※型番ではなくシリアル番号で検索
      シリアル番号はCrystalDiskInfoとかで確認
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