酒田講演C レジメ
[2012年10月17日(Wed)]
「第一回家庭教育力アップセミナー」講演レジメ
脳科学に学ぶ子育て
脳科学教育研究所
所長 桑原清四郎
1 はじめに
・ 教育は愛、愛こそ教育!
・ 愛されると脳は全開する。愛されないと脳は閉じる。
・ 教育=愛の実践、ダイナミックな教育活動
・ 愛がいのち!即座核=愛情核
・ ほめる:叱る=7:1(愛と義)
・ 上手なほめ方・叱り方
・ 成功=成功経験+脳の知見・質問に触れて
2 脳科学の時代
・ 世界が脳科学に注目、小泉博士前ローマ法王に謁見、天
皇・皇后両陛下理研訪問
・ ジョージ・プライス:いのちの原理ー愛の方程式ー発見
・「教育研究」から「脳科学教育研究へ
・ 文科省中央は「脳科学」を推進
・ 山中教授(ノーベル賞)・茂木健一郎・加藤俊徳・澤口
俊之 ・池谷 裕二
3 脳の仕組みと働きー配線構造+増幅作用―
@ 人間の尊厳(進化の最先端)
A 脳の発達・発達曲線8才で95%、感受期、多重知能
B ニューロン結合と伸びた樹状突起
C DNA発現とシナプス増強
D 正常な神経と混乱・混線した神経
E 正常な脳・未発達な脳・こわれた脳
F 心の3要素・潜在する心
G 脳の配線4原則
H 脳は配線構造のネットワ−ク
I 多くのニューロンを潜り抜けて、標的細胞に向かう神経
線維
4 脳科学と教育
@ DNA+環境+チョイス、心と体と脳は一体、情の安定・
意志意欲・体験学習
A 学力はイメージ・アレゴリズム・トレニング、特にイメ
ージが勝負!
B 脳幹が一番大事ーアンバランスはダメ
C 無意識の世界・「腹の虫」・9割以上
D 全生命の叡智・DNAと遺伝子の発現
E 純愛の座・物質の座・神の座
F 過度のゲームで脳が欠損
G 脳障害とその現れ方
@ 愛着障害 A 微細脳障害
B 睡眠障害 C 被曝障害
・ 脳障害の現れ方
@ 微細脳障害・・・胎児・乳幼児期
A 注意欠陥多動障害・・・児童期
B 行為障害・・・思春期
C 反社会的人格障害・・・成人期
5 脳科学の知見をいかした教育実践
・ 構造図
・ 人間行動の基本
・ 脳幹を育てるー生きているー
・ 大脳辺縁系を育てるー逞しく生きるー
・ 大脳新皮質を育てるーうまく生きるー
・ 前頭前野を育てるー良く生きるー
6 脳科学の知見を生かした子育て10カ条
1条 教育は愛、愛こそ教育
1-2. 教育は愛、褒めて育てる。
2条 早寝・早起き・朝ごはん
2-2 寝る子は育つ。
3条.ゲーム・ケイタイは少ないほど良い。
4条 マ・ゴ・タ・チ・ワ・ヤ・サシイ
5条外遊びのすすめ
5-2 遊び不足が進んでいる
5-3 遊びが子どもを育てる
5-4 ダメはダメ!規範形成は「厳格」に
6条 手は脳の出先機関、足は脳と一体
6-2 立体が基本・・・砂・粘土で造る
7条-1.学力は・イメージ
7-2.脳の叡智が正誤を即判別する
8条 やったとおりになる。(言葉づかい・運動・勉強、
感じ方・考え方)
9条 もう一歩の努力、それが勝負
10条 豊かな経験が人格を作る
7 おわりに
・教育は愛・子育ても愛・愛が命
・愛が子どもの可能性を引き出す
参考資料
1 脳の機能・働き
@ 人間は「新しい脳」が発達している動物
・ 進化の最先端に位置している。
・ 爬虫類脳から哺乳類脳、霊長類ヒト脳など全部含んで
いるのが人間
・ 神経細胞はシナプスを発火させ、結合させ、増強(LT
D)する。
・ 長期増強には3つの特徴がある。
・特異性(興奮したものだけ強化する)
・協同性(全部刺激)
・連合性(組み合わせ)
A 脳の役割は「知・情・意」のバランスある働きである。
・知・・・中心溝から後半部分、
脳全体の約60% 後頭葉15%、頭頂葉2
0%、側頭葉25%
・情・・・脳幹の最前部、古い脳で大脳辺縁系と呼ぶ。
脳全体の5%、体積は少ないが働きは強力、
情動の中枢となる。
・意・・・前頭葉 脳全体の35%、促進と抑制のバラ
ンス役。意思の中枢となる。
B 高度な働きをするのは連合野である。
・全ての体験知識は感覚や知覚の組み合わせで起こる。
・純然たる感覚野・運動野・視覚野は少なく大半は連動
野である。
C 明らかになった大脳の役割分担
・大脳皮質は機能ごとに分類できる。加藤博士は120
領野に分類
・全身地図 ・脳地図 ・音地図
D 円柱状(コラム)にまとまって機能している。
・更に細分化して機能ごとに分類する。
・円柱コラム構造、直径1ミリ以内0.8ミリ程度が多
い。
・6層構造 入力は4層、出力(運動)はX層とV層、
皮質間連絡はV層、古皮質と原皮質では6層を形成し
ない。発生過程でも6層をとることはない。
E 脳の働きは脳波でわかる。
・脳はニューロンの集合体
・活動は電気現象を伴う。光トポ、血流、脳波、MRI、
fMRI、PET
・α波とβ波が重なると痴呆状態を示す。
・α波・・・落ち着き 出来上がった神経回路の日常的
な活動状況を示す。
・β波・・・活動中・興奮
・θ波・・・眠気 樹状突起の細かい枝がどんどん伸び
、つなぎ変えている状況を示す。
・δ波・・・深い眠り 遺伝子プログラムに従って神経
回路がどんどん発現する状況。
F 画像情報は前頭前野(PQ)に行かない。
・ワニ脳回路に止まる。動物脳や哺乳類脳の回路にいか
ない
G 人間、特に子どもの教育は、「脳全体を育てる」こと
が重要、PQに偏ってはダメ
2 脳科学の知見を教育に生かす原理
(1)脳はスポンジ、どんどん吸収する。
(2)脳は二進法法、やるかやらないか。暑いか寒いか。「
生ぬるい」は脳が混乱する。
(3)脳は思った方向、願った方向に伸びる。脳は刺激で発
育する。刺激がないと育ない。
(4)脳はネットワークである。シナプスが人格をつくって
いる。
(5)シナプスは発火し、結合し、増強する。
(6)授業を生かす視点
@ がばっと喰らいつくこと。
A 脳みそ絞りをすること。頭が痛くなるほど・・・。
B どんどん書くこと、どんどん発表すること。
3 脳科学と教育の架橋ー実践のヒントー
(1)脳は開放系である。
(2)経験の束がその人である。「君の人格は君のニューロ
ンである。」
(3)情動が大事、「知・情・意」でななく、「情・意・知
」の順である。
・ 脳幹(生きている)価値系回路が重要
・ 大脳辺縁系ー情動の中枢ー(たくましく生きる)
・ 大脳新皮質ー知性の中枢ー(かしこく生きる)
・ 前頭前野ー人間性の中枢ー(人間らしく生きる)
を一体としてとらえることが大事である。
(4)愛され可愛がられないと育たない。
ー『愛は脳を活性化するー松本元博士ー』
・ 側座核は愛情・安心・意欲、扁桃体は快・不快・自己
防衛
・ 虐待と脳の萎縮・発達障害と脳(残存能力を生かすこ
と)
(5)ニュロン・樹状突起は使えば伸びるし使わないと衰え
る。
(6)教育の目的は情動のコントロ−ルである。前頭前野の
開発とも言える。
・我慢中枢・思いめぐらし中枢・人間関係中枢などがあ
る。
・扁桃体や視床下部からの本能や情動を前頭前野を使っ
てコントロールする。
・教育の要締は意志を鍛えること。
(7)脳は進化の所産、最高傑作である。
・ヒト脳に生命38億の歴史が込められている。
・脳・体・遺伝子が三位一体で今の自己を創っている。
脳細胞から自己の総体へ
・シナプスが人格をつくる。
(8)実践の優劣は、活動が脳の機能と順行していること。
・脳に順行するとうまくいくし、逆行すると脳が混乱を
起こし人間がダメになる。
(9)こたえは脳に隠されている。探り当てるのがプロの仕
事である。
・ 脳は自動回答発見機・成功が成功の元、小さな成功を
繋げていこう。
・ what回路・How To回路・Why回路
(10)指導要領は脳の中にある。
・ 指導要領は日本の教師が生み出した最高の財産
・ いずれにしろ子どもに合わないのは成功しない。
(11)教職の専門性とは、脳の回路を探り当てることである。
4 研究との関わり
(1)研究主題を脳科学と関連させる。
(2)授業展開の基本
@ 課題のイメージ化ー大脳新皮質ー
A アレゴリズム(解法の手順・方法)の明確化ー海馬・
扁桃体・側頭葉ー
B トレニングによる習熟化ー小脳・大脳基底核・脳幹ー
の3つである。
(3)「意欲と感動」を生むために
@「教育は愛」愛されなければ、安心が生まれない。安心
が意欲の源泉
A 扁桃体は、好き嫌いを支配し、側座核は安心と意欲をう
む。
安心のない所に教育は生まれない。
B 意欲が高まると意欲満々の「やる気」がでる。
C「やる気」は脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質の3つが連
携して強力に起こる。脳幹が出発である。
D「やる気」の妙薬は成功体験・「ヤッター体験」である。
感動は成功体験から生まれる。
E 小さな成功体験を積み重ねることが大事。成功が成功を
生む。
F 脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質を一体のものとして捉え
鍛え、育むこと。
G やる気を起こさせる7箇条
・ 褒める。
・ 目的意識や目標を強く持つ。
・ 対象などを好きになる。
・ 快感を味わう。
・ 集中力を高める。
・ 適度な運動を心がける。
・ 十分な休息をとる。(質のよい眠りや休息)
5<上手な褒め方>
・成功が成功の元、成功させてほめる。
・・・成功なければ褒てもむなしい。
・間髪入れずに褒める。
・・・報償回路は瞬時に作動、後追いは効果半減。
・全身で褒める。
・・・よかった・100点・花丸・頭撫ぜ・肩車で教室
一周
・お母さんも嬉しいと言う。・・・喜びの伝染・伝播
・一歩の努力を褒める。・・・褒め効果はショートステッ
プ
・褒めるのに理屈はいらない。ただ喜べばいい。
6<上手な叱り方>
・ 間髪いれず叱る。・・・回路の遮断、理屈はいらない。
・ 見せしめ・人前は注意・・・他人への効果なら別の場で。
・ 理由は一言で・・・善、悪は分かっている。長いとくど
い。
・ 説明は具体的、要点は絞る。・・・言い訳回路を発達させ
る。
・ 子どもの「言い分」に日常の不満や願いが投影されている。
・・・ヘドロのように心の底にたまっている。それが出る。
・ 興奮させない。・・・混乱・混戦の防止。
・ 叱りっぱなしで話を終えない。・・・叱りは愛の表出。
・「注意する・叱る・罰を加える」は教育の範疇、いじめ・暴
力・暴行は反教育である。
7 脳の原則8カ条
@ 脳はオープンマインド
A 脳は全体最適
B 9脳はは相互補完
C 脳は脳の目的は幸せ
D 脳はやった通りになる
E 脳はネットワーク
F 愛が脳を活性化する
G 脳はウソをつかない
H 合脳性が勝負
8 良くできる子の特長
@ 早く寝る。寝る子は育つ。
A 朝ご飯は大事、運動能力も学力も高い。
B 夜も早い。
C 家庭の努力が凄い。
D 長くない家庭学習時間
E 家族に対話がある。
F 長くないテレビ視聴時間
9 子育ての基本
@「早寝・早起き・朝ごはん」が鉄則、メリハリが大事。
A テレビ、ゲーム、携帯電話は少なければ少ないほど良
い。
B 昼間思いっきり活動し、夜は「バタン キュッ」と寝
る。
C 脳は使えば使うほど発達する。そして体は丈夫になる。
D 褒める:叱るの割合は、7:1 。
10 発達8つの関門
@ なめるほど可愛がること。
*愛着・情動形成に決定的な影響
A 早寝・早起き・朝ご飯を身に付けること。
*脳幹・生体リズムとエネルギー
B 3度3度の食事をきちんととらせること。
*心身の発達の基盤
C 外遊びは十分させること。
*脳幹・辺縁系・新皮質を総合的に育てる。
D テレビ・ゲームに子育てを任せないこと。
*前頭前夜(PQ)発達に弊害、1人遊びや一方通行は
ダメ
E 両親と祖父母の愛情と役割を十分にすること。
*両親の愛情、祖父母の見守り・交流は大脳を発達さ
せる。
F 5才くらいまでに十分な情動を体験してきたか。
*喜怒哀楽の情動体験は辺縁系を豊かに逞しく育てる。
G 8才くらいまで豊かな環境で育まれたか。
*総合的に人格の基盤を形成
「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」
(文部科学省)
11 人間としての土台が育っていますか。(子育て七つの
宝物)
@ 精神が安定していること。
A エネルギーに溢れていること。
B 好奇心が旺盛であること。
C 柔軟で広い価値観を持っていること。
D 良いプライドを持っていること。
E 社会性が育っていること。
F 感性が豊かであること。
12 《脳の発達に大事なこと》 岡本道雄(京都大学)
脳の発達は刺激によって促される。脳は刺激で発達する。
@ 初は模倣が大事
A 愛情に裏打ちされた教え込みが大事
B しつけの時の叱責と賞賛
C 忍耐の要請の必要
D 情操教育やコミュニケーションの大切さ
E 感受精期(最も発達しやすい時期)を生かす
13 《これじゃ子どもは育たない》
村上光男(なかよし保育園)
暖房効かせて寒さがない 冷房効かせて暑さがない
おやつが過ぎて空腹がない 歩かせないで疲れがない
おもちゃやり過ぎで興味がない テレビ見過ぎで考えない
ホイホイ与えて我慢がない 点数以外は関心がない
判っているけど行わない これではまともに育たない
14 東本郷小・芝中央小の実践
(1)脳幹を鍛え、大脳辺縁系を育て、新皮質を育む
@ やっぱり「早寝・早起き・朝ご飯」
早寝・・・寝る子は育つ、脳も心も
早起き・・・起床は2時間前
朝ご飯・・・4時間で
A ダイナミックな活動
・外遊びのすすめ・・・「バタン キュッ」で寝る。
B 猛烈に勉強する、心身を鍛える、仕事する
C 風雨・寒暖に負けない。
D リズム・テンポ・メリハリ(善し悪し)をつける。
E 集団の規律・秩序、朝礼でビシッ
(2)前頭連合野を育てる(我慢・思いめぐらし・人間関係)
・夢や目標をもつ(志と気概)
・多様な人間関係(両親・兄弟姉妹・祖父母・友達・部活)
・直接体験・本もの志向(土遊び・砂遊び・お絵かき・農
園・うどん・ハイブリッド発電)
・やりたいことをやる(積み木・パズル・外遊び・群れ遊び
・フットコ・サッカー)
・朝読 音読(全校読書・ウオーミングアップー各クラスで
工夫)
・単純な計算・漢字の繰り返し
・乳幼児の世話(6年と1年の読み聞かせ)
・ボタンテイア(老人ホーム・盲導犬・赤い羽根など)
・野外キャンプ(全校仲好し遠足)
*IQよりEQ、EQよりPQ、PQよりHQである。
15 参考図書
◎『脳と人間』 時実利彦著 (雷鳥社580円)
◎『脳の話』 時実利彦著 (岩波新書430円)
◎『人間であること』 時実利彦著 (岩波新書380円)
◎『情操・意志・創造性の教育』時実利彦著(第一法規850円)
◎『目で見る脳』 時実利彦著 (東大出版会1200円)
◎『脳の生理学』 時実利彦編集 (朝倉書店3000円)
◎『愛は脳を活性化する』 松本元著(岩波科学ライブラリー
1000円)
◎『HQ論 人間性の脳科学』 澤口俊之著 (海鳴社3000円)
◎『セロトニン欠乏症』 有田秀穂著 (NHK出版680円)
○『ゲーム脳の恐怖』 森昭雄著 (NHK出版660円)
○『脳の仕組み科学的勉強法』 池谷裕二著(ライオン社714円)
○『元気な脳のつくり方』 森昭雄著(少年写真新聞社1000円)
◎『私の脳科学講義』 利根川進著 (岩波新書700円)
◎『脳を育てる』 高木貞敬著 (岩波新書650円)
◎『進化しすぎた脳』池谷裕二著 (講談社ブルーブック1000円)
○『自分の脳を自分で育てる』川島隆太著 (くもん出版1200円)
○『頭のいい子ってなぜなの』ヘンシュ貴雄(海竜社1400円)
◎『人間になれない子どもたち』清川輝基著(えい出版社1500円)
◎『男脳と女脳 こんなに違う』新井 康充著(河出書房新社)
○『脳内汚染』岡田尊司著 (文藝春秋1600円)
脳科学に学ぶ子育て
脳科学教育研究所
所長 桑原清四郎
1 はじめに
・ 教育は愛、愛こそ教育!
・ 愛されると脳は全開する。愛されないと脳は閉じる。
・ 教育=愛の実践、ダイナミックな教育活動
・ 愛がいのち!即座核=愛情核
・ ほめる:叱る=7:1(愛と義)
・ 上手なほめ方・叱り方
・ 成功=成功経験+脳の知見・質問に触れて
2 脳科学の時代
・ 世界が脳科学に注目、小泉博士前ローマ法王に謁見、天
皇・皇后両陛下理研訪問
・ ジョージ・プライス:いのちの原理ー愛の方程式ー発見
・「教育研究」から「脳科学教育研究へ
・ 文科省中央は「脳科学」を推進
・ 山中教授(ノーベル賞)・茂木健一郎・加藤俊徳・澤口
俊之 ・池谷 裕二
3 脳の仕組みと働きー配線構造+増幅作用―
@ 人間の尊厳(進化の最先端)
A 脳の発達・発達曲線8才で95%、感受期、多重知能
B ニューロン結合と伸びた樹状突起
C DNA発現とシナプス増強
D 正常な神経と混乱・混線した神経
E 正常な脳・未発達な脳・こわれた脳
F 心の3要素・潜在する心
G 脳の配線4原則
H 脳は配線構造のネットワ−ク
I 多くのニューロンを潜り抜けて、標的細胞に向かう神経
線維
4 脳科学と教育
@ DNA+環境+チョイス、心と体と脳は一体、情の安定・
意志意欲・体験学習
A 学力はイメージ・アレゴリズム・トレニング、特にイメ
ージが勝負!
B 脳幹が一番大事ーアンバランスはダメ
C 無意識の世界・「腹の虫」・9割以上
D 全生命の叡智・DNAと遺伝子の発現
E 純愛の座・物質の座・神の座
F 過度のゲームで脳が欠損
G 脳障害とその現れ方
@ 愛着障害 A 微細脳障害
B 睡眠障害 C 被曝障害
・ 脳障害の現れ方
@ 微細脳障害・・・胎児・乳幼児期
A 注意欠陥多動障害・・・児童期
B 行為障害・・・思春期
C 反社会的人格障害・・・成人期
5 脳科学の知見をいかした教育実践
・ 構造図
・ 人間行動の基本
・ 脳幹を育てるー生きているー
・ 大脳辺縁系を育てるー逞しく生きるー
・ 大脳新皮質を育てるーうまく生きるー
・ 前頭前野を育てるー良く生きるー
6 脳科学の知見を生かした子育て10カ条
1条 教育は愛、愛こそ教育
1-2. 教育は愛、褒めて育てる。
2条 早寝・早起き・朝ごはん
2-2 寝る子は育つ。
3条.ゲーム・ケイタイは少ないほど良い。
4条 マ・ゴ・タ・チ・ワ・ヤ・サシイ
5条外遊びのすすめ
5-2 遊び不足が進んでいる
5-3 遊びが子どもを育てる
5-4 ダメはダメ!規範形成は「厳格」に
6条 手は脳の出先機関、足は脳と一体
6-2 立体が基本・・・砂・粘土で造る
7条-1.学力は・イメージ
7-2.脳の叡智が正誤を即判別する
8条 やったとおりになる。(言葉づかい・運動・勉強、
感じ方・考え方)
9条 もう一歩の努力、それが勝負
10条 豊かな経験が人格を作る
7 おわりに
・教育は愛・子育ても愛・愛が命
・愛が子どもの可能性を引き出す
参考資料
1 脳の機能・働き
@ 人間は「新しい脳」が発達している動物
・ 進化の最先端に位置している。
・ 爬虫類脳から哺乳類脳、霊長類ヒト脳など全部含んで
いるのが人間
・ 神経細胞はシナプスを発火させ、結合させ、増強(LT
D)する。
・ 長期増強には3つの特徴がある。
・特異性(興奮したものだけ強化する)
・協同性(全部刺激)
・連合性(組み合わせ)
A 脳の役割は「知・情・意」のバランスある働きである。
・知・・・中心溝から後半部分、
脳全体の約60% 後頭葉15%、頭頂葉2
0%、側頭葉25%
・情・・・脳幹の最前部、古い脳で大脳辺縁系と呼ぶ。
脳全体の5%、体積は少ないが働きは強力、
情動の中枢となる。
・意・・・前頭葉 脳全体の35%、促進と抑制のバラ
ンス役。意思の中枢となる。
B 高度な働きをするのは連合野である。
・全ての体験知識は感覚や知覚の組み合わせで起こる。
・純然たる感覚野・運動野・視覚野は少なく大半は連動
野である。
C 明らかになった大脳の役割分担
・大脳皮質は機能ごとに分類できる。加藤博士は120
領野に分類
・全身地図 ・脳地図 ・音地図
D 円柱状(コラム)にまとまって機能している。
・更に細分化して機能ごとに分類する。
・円柱コラム構造、直径1ミリ以内0.8ミリ程度が多
い。
・6層構造 入力は4層、出力(運動)はX層とV層、
皮質間連絡はV層、古皮質と原皮質では6層を形成し
ない。発生過程でも6層をとることはない。
E 脳の働きは脳波でわかる。
・脳はニューロンの集合体
・活動は電気現象を伴う。光トポ、血流、脳波、MRI、
fMRI、PET
・α波とβ波が重なると痴呆状態を示す。
・α波・・・落ち着き 出来上がった神経回路の日常的
な活動状況を示す。
・β波・・・活動中・興奮
・θ波・・・眠気 樹状突起の細かい枝がどんどん伸び
、つなぎ変えている状況を示す。
・δ波・・・深い眠り 遺伝子プログラムに従って神経
回路がどんどん発現する状況。
F 画像情報は前頭前野(PQ)に行かない。
・ワニ脳回路に止まる。動物脳や哺乳類脳の回路にいか
ない
G 人間、特に子どもの教育は、「脳全体を育てる」こと
が重要、PQに偏ってはダメ
2 脳科学の知見を教育に生かす原理
(1)脳はスポンジ、どんどん吸収する。
(2)脳は二進法法、やるかやらないか。暑いか寒いか。「
生ぬるい」は脳が混乱する。
(3)脳は思った方向、願った方向に伸びる。脳は刺激で発
育する。刺激がないと育ない。
(4)脳はネットワークである。シナプスが人格をつくって
いる。
(5)シナプスは発火し、結合し、増強する。
(6)授業を生かす視点
@ がばっと喰らいつくこと。
A 脳みそ絞りをすること。頭が痛くなるほど・・・。
B どんどん書くこと、どんどん発表すること。
3 脳科学と教育の架橋ー実践のヒントー
(1)脳は開放系である。
(2)経験の束がその人である。「君の人格は君のニューロ
ンである。」
(3)情動が大事、「知・情・意」でななく、「情・意・知
」の順である。
・ 脳幹(生きている)価値系回路が重要
・ 大脳辺縁系ー情動の中枢ー(たくましく生きる)
・ 大脳新皮質ー知性の中枢ー(かしこく生きる)
・ 前頭前野ー人間性の中枢ー(人間らしく生きる)
を一体としてとらえることが大事である。
(4)愛され可愛がられないと育たない。
ー『愛は脳を活性化するー松本元博士ー』
・ 側座核は愛情・安心・意欲、扁桃体は快・不快・自己
防衛
・ 虐待と脳の萎縮・発達障害と脳(残存能力を生かすこ
と)
(5)ニュロン・樹状突起は使えば伸びるし使わないと衰え
る。
(6)教育の目的は情動のコントロ−ルである。前頭前野の
開発とも言える。
・我慢中枢・思いめぐらし中枢・人間関係中枢などがあ
る。
・扁桃体や視床下部からの本能や情動を前頭前野を使っ
てコントロールする。
・教育の要締は意志を鍛えること。
(7)脳は進化の所産、最高傑作である。
・ヒト脳に生命38億の歴史が込められている。
・脳・体・遺伝子が三位一体で今の自己を創っている。
脳細胞から自己の総体へ
・シナプスが人格をつくる。
(8)実践の優劣は、活動が脳の機能と順行していること。
・脳に順行するとうまくいくし、逆行すると脳が混乱を
起こし人間がダメになる。
(9)こたえは脳に隠されている。探り当てるのがプロの仕
事である。
・ 脳は自動回答発見機・成功が成功の元、小さな成功を
繋げていこう。
・ what回路・How To回路・Why回路
(10)指導要領は脳の中にある。
・ 指導要領は日本の教師が生み出した最高の財産
・ いずれにしろ子どもに合わないのは成功しない。
(11)教職の専門性とは、脳の回路を探り当てることである。
4 研究との関わり
(1)研究主題を脳科学と関連させる。
(2)授業展開の基本
@ 課題のイメージ化ー大脳新皮質ー
A アレゴリズム(解法の手順・方法)の明確化ー海馬・
扁桃体・側頭葉ー
B トレニングによる習熟化ー小脳・大脳基底核・脳幹ー
の3つである。
(3)「意欲と感動」を生むために
@「教育は愛」愛されなければ、安心が生まれない。安心
が意欲の源泉
A 扁桃体は、好き嫌いを支配し、側座核は安心と意欲をう
む。
安心のない所に教育は生まれない。
B 意欲が高まると意欲満々の「やる気」がでる。
C「やる気」は脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質の3つが連
携して強力に起こる。脳幹が出発である。
D「やる気」の妙薬は成功体験・「ヤッター体験」である。
感動は成功体験から生まれる。
E 小さな成功体験を積み重ねることが大事。成功が成功を
生む。
F 脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質を一体のものとして捉え
鍛え、育むこと。
G やる気を起こさせる7箇条
・ 褒める。
・ 目的意識や目標を強く持つ。
・ 対象などを好きになる。
・ 快感を味わう。
・ 集中力を高める。
・ 適度な運動を心がける。
・ 十分な休息をとる。(質のよい眠りや休息)
5<上手な褒め方>
・成功が成功の元、成功させてほめる。
・・・成功なければ褒てもむなしい。
・間髪入れずに褒める。
・・・報償回路は瞬時に作動、後追いは効果半減。
・全身で褒める。
・・・よかった・100点・花丸・頭撫ぜ・肩車で教室
一周
・お母さんも嬉しいと言う。・・・喜びの伝染・伝播
・一歩の努力を褒める。・・・褒め効果はショートステッ
プ
・褒めるのに理屈はいらない。ただ喜べばいい。
6<上手な叱り方>
・ 間髪いれず叱る。・・・回路の遮断、理屈はいらない。
・ 見せしめ・人前は注意・・・他人への効果なら別の場で。
・ 理由は一言で・・・善、悪は分かっている。長いとくど
い。
・ 説明は具体的、要点は絞る。・・・言い訳回路を発達させ
る。
・ 子どもの「言い分」に日常の不満や願いが投影されている。
・・・ヘドロのように心の底にたまっている。それが出る。
・ 興奮させない。・・・混乱・混戦の防止。
・ 叱りっぱなしで話を終えない。・・・叱りは愛の表出。
・「注意する・叱る・罰を加える」は教育の範疇、いじめ・暴
力・暴行は反教育である。
7 脳の原則8カ条
@ 脳はオープンマインド
A 脳は全体最適
B 9脳はは相互補完
C 脳は脳の目的は幸せ
D 脳はやった通りになる
E 脳はネットワーク
F 愛が脳を活性化する
G 脳はウソをつかない
H 合脳性が勝負
8 良くできる子の特長
@ 早く寝る。寝る子は育つ。
A 朝ご飯は大事、運動能力も学力も高い。
B 夜も早い。
C 家庭の努力が凄い。
D 長くない家庭学習時間
E 家族に対話がある。
F 長くないテレビ視聴時間
9 子育ての基本
@「早寝・早起き・朝ごはん」が鉄則、メリハリが大事。
A テレビ、ゲーム、携帯電話は少なければ少ないほど良
い。
B 昼間思いっきり活動し、夜は「バタン キュッ」と寝
る。
C 脳は使えば使うほど発達する。そして体は丈夫になる。
D 褒める:叱るの割合は、7:1 。
10 発達8つの関門
@ なめるほど可愛がること。
*愛着・情動形成に決定的な影響
A 早寝・早起き・朝ご飯を身に付けること。
*脳幹・生体リズムとエネルギー
B 3度3度の食事をきちんととらせること。
*心身の発達の基盤
C 外遊びは十分させること。
*脳幹・辺縁系・新皮質を総合的に育てる。
D テレビ・ゲームに子育てを任せないこと。
*前頭前夜(PQ)発達に弊害、1人遊びや一方通行は
ダメ
E 両親と祖父母の愛情と役割を十分にすること。
*両親の愛情、祖父母の見守り・交流は大脳を発達さ
せる。
F 5才くらいまでに十分な情動を体験してきたか。
*喜怒哀楽の情動体験は辺縁系を豊かに逞しく育てる。
G 8才くらいまで豊かな環境で育まれたか。
*総合的に人格の基盤を形成
「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」
(文部科学省)
11 人間としての土台が育っていますか。(子育て七つの
宝物)
@ 精神が安定していること。
A エネルギーに溢れていること。
B 好奇心が旺盛であること。
C 柔軟で広い価値観を持っていること。
D 良いプライドを持っていること。
E 社会性が育っていること。
F 感性が豊かであること。
12 《脳の発達に大事なこと》 岡本道雄(京都大学)
脳の発達は刺激によって促される。脳は刺激で発達する。
@ 初は模倣が大事
A 愛情に裏打ちされた教え込みが大事
B しつけの時の叱責と賞賛
C 忍耐の要請の必要
D 情操教育やコミュニケーションの大切さ
E 感受精期(最も発達しやすい時期)を生かす
13 《これじゃ子どもは育たない》
村上光男(なかよし保育園)
暖房効かせて寒さがない 冷房効かせて暑さがない
おやつが過ぎて空腹がない 歩かせないで疲れがない
おもちゃやり過ぎで興味がない テレビ見過ぎで考えない
ホイホイ与えて我慢がない 点数以外は関心がない
判っているけど行わない これではまともに育たない
14 東本郷小・芝中央小の実践
(1)脳幹を鍛え、大脳辺縁系を育て、新皮質を育む
@ やっぱり「早寝・早起き・朝ご飯」
早寝・・・寝る子は育つ、脳も心も
早起き・・・起床は2時間前
朝ご飯・・・4時間で
A ダイナミックな活動
・外遊びのすすめ・・・「バタン キュッ」で寝る。
B 猛烈に勉強する、心身を鍛える、仕事する
C 風雨・寒暖に負けない。
D リズム・テンポ・メリハリ(善し悪し)をつける。
E 集団の規律・秩序、朝礼でビシッ
(2)前頭連合野を育てる(我慢・思いめぐらし・人間関係)
・夢や目標をもつ(志と気概)
・多様な人間関係(両親・兄弟姉妹・祖父母・友達・部活)
・直接体験・本もの志向(土遊び・砂遊び・お絵かき・農
園・うどん・ハイブリッド発電)
・やりたいことをやる(積み木・パズル・外遊び・群れ遊び
・フットコ・サッカー)
・朝読 音読(全校読書・ウオーミングアップー各クラスで
工夫)
・単純な計算・漢字の繰り返し
・乳幼児の世話(6年と1年の読み聞かせ)
・ボタンテイア(老人ホーム・盲導犬・赤い羽根など)
・野外キャンプ(全校仲好し遠足)
*IQよりEQ、EQよりPQ、PQよりHQである。
15 参考図書
◎『脳と人間』 時実利彦著 (雷鳥社580円)
◎『脳の話』 時実利彦著 (岩波新書430円)
◎『人間であること』 時実利彦著 (岩波新書380円)
◎『情操・意志・創造性の教育』時実利彦著(第一法規850円)
◎『目で見る脳』 時実利彦著 (東大出版会1200円)
◎『脳の生理学』 時実利彦編集 (朝倉書店3000円)
◎『愛は脳を活性化する』 松本元著(岩波科学ライブラリー
1000円)
◎『HQ論 人間性の脳科学』 澤口俊之著 (海鳴社3000円)
◎『セロトニン欠乏症』 有田秀穂著 (NHK出版680円)
○『ゲーム脳の恐怖』 森昭雄著 (NHK出版660円)
○『脳の仕組み科学的勉強法』 池谷裕二著(ライオン社714円)
○『元気な脳のつくり方』 森昭雄著(少年写真新聞社1000円)
◎『私の脳科学講義』 利根川進著 (岩波新書700円)
◎『脳を育てる』 高木貞敬著 (岩波新書650円)
◎『進化しすぎた脳』池谷裕二著 (講談社ブルーブック1000円)
○『自分の脳を自分で育てる』川島隆太著 (くもん出版1200円)
○『頭のいい子ってなぜなの』ヘンシュ貴雄(海竜社1400円)
◎『人間になれない子どもたち』清川輝基著(えい出版社1500円)
◎『男脳と女脳 こんなに違う』新井 康充著(河出書房新社)
○『脳内汚染』岡田尊司著 (文藝春秋1600円)
【桑原清四郎の現場報告の最新記事】