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INUUNITED(いぬゆな)がサッカー以外の話をする場所です

さようなら、plenty

音楽
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plentyが解散を発表した。

 

www.plenty-web.net

 

僕が彼らのライブをはじめて観たのは、2008年の「COUNTDOWN JAPAN 08/09」。ロッキングオンが主催する音楽フェスとしては初となる、オーディション枠での出演だった。

その枠での出演者は6組。12月31日の年越しアクトを終えた後、25時40分から27時50分まで、それぞれ10分ずつの持ち時間で慌ただしく演奏していく。

 

カウントダウンジャパンでは例年、年越しアクトが終わると一気に客数が減る。大晦日は電車も終日運転で、そのまま初詣に行ったり、帰ったりする参加者は多い。メインステージは封鎖され、残るのは深夜に出演するバンドが目当ての者と、本当にコアな(マニアックな)音楽ファンと、フードエリアで飲み明かそうというタイプに大きく分かれる。

 

僕はどれでもなかった。自分がやっていたバンドで、このオーディションに落ちた。一次選考さえ通過しなかった。だから、優勝するようなバンドはどんなもんなのかと、値踏みしに行ったのだ。我ながら暇だなあと思ったり、同じ時間にやっていたダイノジのDJを気にしながら、僕はオーディション枠で出演した全バンドのライブを観た。

 

終わってみれば、結果的に僕は、彼らのステージに嫉妬と羨望の目を向けていた。要は、悔しかった。

 

 一瞬で、他の6バンドと格が違うことを悟った

時間が時間だけに、どのバンドのライブ中もフロアはスカスカ。彼らが出演するのは一番小さいステージだが、それでもキャパシティ数千人クラスの大きさで、駆け出しのアマチュアバンドが埋めるのは不可能。集まったのはせいぜい数百人。

 

……逆に、数百人もの人間が、2009年のあの段階で、plentyを観ようと思ったことは、そう思わせるだけのパワーを持っていたからだと、今になって思う。

 

そのときのライブ映像と、コンテストに応募したバージョンの『後悔』はここで聴ける。

rojack.jp

なんでもない普通の青年たちが、なんでもない普通の歌を歌っているだけで、十分だった。昼の1時からフェスを楽しんでいた僕たちは疲れ果てていたけど、plentyの歌はスルリと心に入り込んでくる。

年が明けてすぐ、深夜3時の話だ。

 

www.youtube.com

『後悔』と『ボクのために歌う吟』を披露して、彼らの出番は終わった。他のオーディション枠出演者には悪いが、格が違うと思った。もちろん、そのオーディションの一次審査も通らない自分のバンドとも。ライブをやる側ではなく、観ている側にいる自分自身が心底みじめだった。

後日メンバーと「お前がなんか凄そうって言ってたplenty、どうだった?」と聞かれたとき、ライブを観て感じた情けなさを、できるだけ顔に出さないようにした記憶がある。

 

 

このオーディションで優勝したことをきっかけに、plentyは一気に知名度を上げ、CDを発売し、ツアーを回る、一般的な"インディーズバンド"になった。いわゆる鬱ロックというジャンルにカテゴライズされ、syrup16gの後継者扱いして持ち上げるリスナーなどもそれなりにいた。syrup16gのドラム中畑大樹がサポートしていたということもあるだろう。

そういえば、plentyがオーディション枠で出演したカウントダウンジャパン、その日のトップバッターはsyrup16gのボーカル五十嵐隆がやっていた「犬が吠える」だった。(結局あのプロジェクトはなんだったんだ?)

 

 

しかしplentyは、syrup16gの後継者なんかにはならなかった。スリーピースでちょっと暗い曲をやってることが共通してるだけで、一聴して全く違うバンドだとわかるからだ。どちらかというとGRAPEVINEの後継者と言われたほうがしっくりくる。延々メロウな曲が続いて、たまにゾクッとするようなサビがあるんだけど、それもちょっと捻ってあって……

 

でも結局、plentyは、したり顔の音楽ファンに"ポストシロップ"などと言われるところから脱却できなかった。plentyが誰かの後継者になるのではなく、"ポストplenty"が大量に生まれるだけの力を持っているバンドだったはずだったのに。

 

<悪くないな 悪くないな>

<キミはボクに期待しすぎた>

 

カウントダウンジャパンで披露した初期の名曲、『後悔』と『ボクのために歌う吟』が頭から離れない。悪くない、で終わるようなバンドじゃない。もっと期待してよかったはずだったのに。もっと凄いバンドのはずだったのに。

自分が足元にも及ばないくらい、凄くいてほしかったのに。

 

 

なんて勝手な話だ。彼らは僕のためにバンドをやっているわけではない。会ったことも話したこともない。僕はただ、彼らのはじめての大舞台に立ち会っただけの他人だ。その場にいた数百人の中のただの一人だ。そこには何の特別さもない。

 

 

それでも、やっぱり、今は寂しい。さようなら、plenty。

拝啓。皆さま

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