【国頭】国頭村楚洲の県道70号のヤンバルクイナ事故防止重点区間で、ヤンバルクイナの確認数が4年間で約10分の1にまで減少していることが、環境省やんばる野生生物保護センターの調べで分かった。センターは2013年から毎月1回、職員が重点区間を歩いてヤンバルクイナの鳴き声を数えている。13年度は275羽、14年度は218羽、15年度は127羽、16年度は29羽と減少傾向にある。
山本以智人(いちひと)自然保護官によると「野犬の目撃情報も増えており、捕食された可能性がある」と推察。どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長は「けがや死んだヤンバルクイナを調べると、犬による咬傷(こうしょう)の痕があった」という。
野犬の目撃情報はここ3、4年、多く寄せられており、16年には楚洲集落で野犬5匹が散歩中の母親と幼児を囲む事例もあった。金城副理事長は「このままでは、やんばる固有の自然や動物、人間にまで被害を及ぼす」と警鐘を鳴らす。国頭村世界自然遺産対策室の宮城明正室長は「野犬対策など、関係機関と協力しながら早急に対策を取る必要がある」と話した。
本島北部全域に生息するヤンバルクイナの推定個体数は、16年度は約1370羽、前年度比で約350羽の減少。14年度は約1190羽、前年度比で約350羽減少していることから山本自然保護官は「減少は調査の誤差の範囲内なので、北部全体のヤンバルクイナが減少しているわけではない」と説明した。
北部全域の調査は楚洲との調査方法と異なり、録音したヤンバルクイナの鳴き声を約250地点で流し、返ってきた鳴き声を測定する方法。