防衛省の研究資金提供制度 大学で対応分かれる
日本学術会議が、軍事的な安全保障の技術研究に慎重な対応を求める声明を示すことを受けて、NHKが研究費の補助金が多い全国の大学を対象に、防衛省による研究資金の提供制度について、今後の対応をアンケートでたずねた結果、「応募を認める」が1大学だったのに対し、「応募を認めない」が16大学、「審査を行った上で判断する」が15大学となり、対応が分かれていることがわかりました。
NHKでは、国の科学研究費補助金の配分額が多い、全国の100の国公私立大学を対象に、日本学術会議の新たな声明に関するアンケートを行い、80の大学から回答を得ました。
まず、新たな声明で、軍事的な研究と見なされる可能性のある研究の適切性を審査する制度を、設けるべきだとしていることについて聞いたところ、「すでに設けている」が北海道大学や早稲田大学など11大学、「今後、設ける予定」が筑波大学や広島大学など10大学、「設けない」が法政大学と富山大学の2大学、「検討中」が京都大学や東北大学など55大学となっています。
次に、新たな声明を踏まえて、防衛省による研究資金の提供制度について、今後の対応をたずねたところ、「応募を認める」が東京農工大学の1大学、「応募を認めない」が九州大学や早稲田大学など16大学、「審査を行った上で判断する」が熊本大学や大阪府立大学など15大学、「対応は決まっていない」が京都大学や東北大学など47大学となっています。
また、最近5年間に、アメリカ軍など海外の軍事機関から、研究資金の提供を受けたことがある大学は、京都大学や九州大学など10の大学でした。
新たな声明を踏まえて、今後、海外の軍事機関からの研究資金の提供を認めるかどうかたずねたところ、「認める」がゼロ、「認めない」が九州大学や神戸大学など14大学、「審査を行った上で判断する」が熊本大学や大阪府立大学など16大学、「対応は決まっていない」が京都大学や東北大学など47大学となっています。
まず、新たな声明で、軍事的な研究と見なされる可能性のある研究の適切性を審査する制度を、設けるべきだとしていることについて聞いたところ、「すでに設けている」が北海道大学や早稲田大学など11大学、「今後、設ける予定」が筑波大学や広島大学など10大学、「設けない」が法政大学と富山大学の2大学、「検討中」が京都大学や東北大学など55大学となっています。
次に、新たな声明を踏まえて、防衛省による研究資金の提供制度について、今後の対応をたずねたところ、「応募を認める」が東京農工大学の1大学、「応募を認めない」が九州大学や早稲田大学など16大学、「審査を行った上で判断する」が熊本大学や大阪府立大学など15大学、「対応は決まっていない」が京都大学や東北大学など47大学となっています。
また、最近5年間に、アメリカ軍など海外の軍事機関から、研究資金の提供を受けたことがある大学は、京都大学や九州大学など10の大学でした。
新たな声明を踏まえて、今後、海外の軍事機関からの研究資金の提供を認めるかどうかたずねたところ、「認める」がゼロ、「認めない」が九州大学や神戸大学など14大学、「審査を行った上で判断する」が熊本大学や大阪府立大学など16大学、「対応は決まっていない」が京都大学や東北大学など47大学となっています。
認める・認めない 大学側の見解は
アンケートでは、それぞれの大学が、日本学術会議の新たな声明をどう受け止めているか、記述式でもたずねました。
このうち、防衛省の制度について、「応募を認める」と回答した東京農工大学は「審査する制度を設けるべきであると提言しているが、一方で軍事的な研究自体の是非などについては明言していない」としています。
また、防衛省の制度への対応について、「応募を認めない」と回答した九州大学は「過去の声明を踏襲することは評価している」としたうえで、研究が適切かどうか審査する制度を設けるべきだとしていることについては、「現実的に極めて困難であると感じている」としています。
このうち、防衛省の制度について、「応募を認める」と回答した東京農工大学は「審査する制度を設けるべきであると提言しているが、一方で軍事的な研究自体の是非などについては明言していない」としています。
また、防衛省の制度への対応について、「応募を認めない」と回答した九州大学は「過去の声明を踏襲することは評価している」としたうえで、研究が適切かどうか審査する制度を設けるべきだとしていることについては、「現実的に極めて困難であると感じている」としています。
「研究者一人一人の継続的な議論にかかっている」
科学史が専門で、科学者と軍事的な研究とのかかわりを調べている、東京工業高等専門学校の河村豊教授は、アンケートの結果について、「たとえ公的な資金であっても、軍事的な研究に絡めた形で大学に入ってくることに危機感を持つ大学が、国立・私立を問わず、共通して存在していることがわかる」としています。
そのうえで、「今回の声明は、50年ぶりの画期的なことだと思う。それを受けて大学も今、この問題に直面したといえる。ただ、今回の声明は、あくまで1つの方針にすぎず、これをどのように具体化し、有効なものにしていくかは、各大学の、さらに研究者一人一人の継続的な議論にかかっていると思う」と話しています。
そのうえで、「今回の声明は、50年ぶりの画期的なことだと思う。それを受けて大学も今、この問題に直面したといえる。ただ、今回の声明は、あくまで1つの方針にすぎず、これをどのように具体化し、有効なものにしていくかは、各大学の、さらに研究者一人一人の継続的な議論にかかっていると思う」と話しています。