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もう俺の職業、化け物退治でいいや。 ~炎使いが今更才能の凄さに気付いたようです~ 作者:スカンディー(旧名:エル)

入隊

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第三話 入隊試験でロボット破壊

 第二話からおよそ一週間後・・・。

 場所は16区。
 都心部ということもあり、そこは賑やかだった。

 アマツはディフェンサーズに入るための試験会場へいった。

 『第○○回ディフェンサーズ入隊試験』

 こう書かれた看板が立っていた。

 「お、ここで間違いないようだな」

 アマツは少しテンション高めに言った。

 彼はこの試験に合格する自信があった。
 何故ならあの日、あのエネミーを倒したからだ。

 「おっし、さっさと合格してしまおうか!」

 彼は自信に満ちた声でそう言った。

 彼は試験の受付場所に行った。
 並んでいるのは、体が大きな筋肉で覆われている者、柄の悪そうな者が大半だ。

 「おい見ろよあいつ、なんだあのヒョロヒョロの体は!?」
 「あれじゃあエネミーを一体も倒せねえぜ!!あひゃひゃひゃひゃ!!」

 何処からか声が聞こえた。
 それはアマツに対するものだった。

 が、アマツはそれを聞こえなかったふりをして無視した。
 彼は学生時代は筋力はそこそこある方だった。別に気にする事ではない。
 それに彼には炎がある。
 声の主が誰なのかは分からなかったが、今の彼ならここにいるやつらになら誰にも負けない自信があった。

 大会のエントリーを終えたあと、彼は会場の中に入っていく。

 「確か、ロボットを相手に戦うんだっけ......? どれくらいの強さなのかな?」
 「......それ、二次試験なんだけど」

 アマツが独り言を言っていると、女の声がした。
 振り返って見ると、そこには金髪の女が一人いた。
 腕にはアーマーのようなものを着けている。

 「一次試験は長距離走やソフトボール投げ等の体力テストと、筆記テストよ。新聞のチラシをよく見たのかしら?」
 「え、あ、そうですか! あ、ありがとうございます......」

 女の迫力に彼は思わず敬語になってしまった。
 情けない。

 「あとついでにいっておくと、二次試験はこの近くにある避難シェルターの中でやるから」
 「そ、そうか......」

 これも知らなかったなんてアマツは言うことが出来なかった。

 「あ、あと10分程度で一次試験が始まるわね。私たちも早くいかなければ」
 「もうそんな時間か」
 「二次試験でまた会おうか......"あなた"が合格できたらの話だけどね」

 女は会場の方へと去っていった。

 ("あなた"ということは、あいつは必ず合格できるという自信があるということかな?生意気な餓鬼だな。まあ、それなら俺もおなじだけどな)

 そして、一次試験が始まった。

 体力テストで100点、筆記テストで100点、合計で200点。
 合計で120点以上とればとりあえず一次試験は合格である。

 アマツは体力テストでは受験者の中では平均の記録を出し、筆記テストは難なくこなすことができた。

 そして結果は、体力60点、筆記80点の、合計140点で、一次試験合格した。

 「体力テストはもうちょっと行くと思ったんだけどなぁー......まあ俺には炎で補えるからいいや」

 アマツは待機室のベンチに腰掛けながらそう言った。

 「さて、次は二次試験か......あの餓鬼はいるかな?」

 と、その時。
 部屋の天井のスピーカーからアナウンスが聞こえた。

 『一次試験合格の皆様へお知らせします。午後2時より二次試験を行いますので、16区の第二避難シェルターへ移動をお願い致します。繰り返します――』

 「お、そろそろか。じゃあいくか」

 そして数十分後、彼は避難シェルターに入った。

 シェルターはかなり広いドーム状の建物で、全面コンクリートで覆われている。
 中には一次試験を合格した者や、スタッフがいた。

 「う~ん、あの餓鬼はいないなぁ......落ちたのかな? いや、あんな自身満々のこといってたしなぁやっぱ合格したのかな?」

アマツはそんなことを考えながらロボットと戦う舞台へスタッフに誘導されながら進んでいった。

 その舞台の中は、やはりコンクリートで覆われている。
 そして、その相手となるだろうロボットがすでに30体ほど配置されていた。
 そのロボットは、大体人並みの大きさで、二足歩行の、単純なロボットだった。
 このロボットは受験者が先頭不能と判断した場合は攻撃せず、失格とするらしい。

 その時、

 「あ」

 彼は例の女を見つけた。

 (やっぱり合格してたっか......)

 と、彼女はアマツへ振り向いた。

 が、声をかけることもなく、すぐにロボットの方向へ向いた。

 (あの餓鬼、緊張してるのかな? 全然そういうイメージないけど)

 と、あと1分で始まるという合図がされた。

 「ん、いよいよ始まるか」

 あと30秒、あと20秒、10秒、9、8、......2、1......

 GO!

 受験者が一斉にロボットへ走っていった。

 ロボットも一斉に動き出した。

 「喰らえ! この日のために練習しておいた技!」

 彼は右手から炎をだし、その手を覆った。

 「ブレイバーフレイム!!」
 そして、彼はロボットの頭を殴りつけた。
 ロボットは頭を大きくへこませ、倒れていった。

 更にもう一体。

 「ネックアッシュ!!」

 今度はロボットの首をつかみ、炎で焼き払った。


 他の人達も続々とロボットを倒していってる。

 そして、ロボットはすべて倒された。
 その後、第二波のロボットが現れた。
 アマツはそれを難なく倒せたが、ここから脱落者が出てきた。

 そして第三波、ここが合格ラインとなる。

 そのロボットは両肩にミサイルランチャーをつけていた。

 「ミサイルって、死ぬんじゃねーのか!?」

 とアマツが言った途端、ミサイルが飛んできた。

 「ファイアウォール!!」

 アマツは自分の周りに炎の壁を築き、ミサイルを防いだ。
 その後すかさず、ブレイバーフレイムで倒した。

 が、他の人達のほとんどがそのロボット達にやられていった。

 残ったのは、アマツとあの女と、他数人のみであった。

 ここからの第四波はアマツ達の実力を確かめるためのテストとなる。

 すると、奥から出てきたのは、かなり巨大なロボットだった。
 背中からはかなりの数のアームが出ていた。
 2、30本はあった。 

 それを見たアマツと彼女以外の人々は、恐れて舞台の外へ逃げていった。

 「はぁ、情けないやつらだな......」

 彼女がそう言った瞬間、巨大なロボットは全ての手に握り拳を作りながら彼女に迫っていった。

 が、彼女は焦る事もなく

 「......インシネレーション」

 と言い、右手の掌からビームを放出してきた。
 そのビームは轟音と共にロボットを覆った。

 アマツはやったかと思ったが、ビームの中から、一本のアームが勢いよく飛び出してきた。

 「そんなっ!?」

 そのアームは、ビームを出しているほうと反対の左腕を千切っていった。

 アマツは呆然としていた。何しろ、目の前で人の腕が千切れたのだから。
 しかし、彼女は痛がる様子もなく、

 「く、威力が足りなかったか......」

 と、悔しそうにしているだけだった。

 「お、おい、大丈夫なのか、それ?」
 「ああ、この腕か。私の両腕は機械だから、命には関わらない」
 「そ、そうなのか......」

 アマツ達が会話している間に、ロボットはギギギと音を立てながらこちら側に移動してきた。
 が、さっきのインシネレーションの効果はあったようで、アームが数本ぶら下がっており、煙を吹いていた。

 「おお、さっきのビームでダメージがあったようだな」
 「じゃあ、あともう一発だ!」

 彼女は再び右手をロボットにかざしたが、そこからビームは出なかった。

 「......燃料切れだ......」
 「まじかよ......」

 すると、ロボットはアマツ達に向かって、動ける文のアームを一斉に動かしてきた。
 アマツはそれをファイアーフォールで防いだ。

 「この千手観音もどきめ! おれがとどめを刺してやる!」

 そういうと、アマツは両手から炎をだし、その両手をロボットに向けた。
 あの日見せたあの技を出すのだ。

 「これは、俺が初めてエネミーを倒した時に使った技だ。だから名前は......ファースト・ファイアだ!!」

 アマツは両手から勢いよく炎をだし、その炎は、ビームのように一直線にロボットに向かっていった。

 その炎がロボットにあたると、瞬く間にロボットを覆った。

 ジュワジュワと、ロボットが溶けていく音がした。

 暫くすると、炎が消えた。
 残ったのは、ロボットの残骸らしきものだけだった。

 少女がゆっくりとよってきた。

 「......まさか、そんなすごい能力を持っていたなんてね......名前はなんていうのかしら?」
 「赤城アマツだ。この能力は最近使いこなせたばっかりだ。」
 「私は、アリアス・ドロワーよ」
 「アリアスか。餓鬼のくせによくあんなのが出せるよ。」
 「あら、20歳は餓鬼とは言わないと思うけど?」
 「......え?」

 アマツは驚愕した。

(し、身長俺より明らかに低いのに俺より年上だああああああああああああ!?)

 アマツは体長は173cmだが、アリアスはアマツから見れば160cm程である。

 「なにをボーっとしているのかしら?早く合格者セミナーに行きましょ」

 そしてアリアスは、千切れた左腕を持って、舞台を出て行った。

 「あ、そうだ。俺も行かなきゃ」

 そういってアマツも、この舞台をあとにした。
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