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第二話 もう俺、ディフェンサーズでいいや。
アマツ達の近くで突如発生した鰐型のエネミーは、ある方向に向かっていった。
それは東京の都心部......及びアマツの住んでいるアパートだ。
「そこへいくな......そこには俺のアパートが......俺の愛しい家が......」
「諦めろアマツ。家より自分の命が大事だろ?」
十郎は少し呆れた感じでそう言った。
しかし、アマツは十郎の言うことを聞くつもりはない。
そして、アマツは言った。
「そうだ、あいつ倒そう」
「はあ!?お前正気かよ!?」
十郎は冷や汗を垂らしながら言った。
「エネミーはディフエンサーズが倒してくれる。それまで俺たちは避難シェルターに避難してなければいけないんだぞ!」
「でもその前に俺のアパートが壊れてしまう。行かないと......」
アマツはエネミーの方向にむかって走り出そうとしたが、十郎に右腕を掴まれた。
「お前よく考えろ......アパートと自分の命、どっちが大事だ?」
「アパートや家具、そしてお金がなくなったらどのみち俺の人生は終わりだ......!」
アマツは十郎の腕を振り切り、エネミーのところへいってしまった。
「アマツ......」
* * *
「ぐっはっはっは! 建物を破壊するのは気持ちがいい!」
そのエネミーは、笑いながら都心部へと前進していく。
「ま、待て、そこの鰐!」
アマツは息切れをしながら言った。
鰐型のエネミーは、彼の方向に振り向き、顔を見下ろした。
「なんだ人間? 人間ごときが、このキングアリゲーター様にはむかうというのか?」
「そこの先には俺の大事なアパートがあるんだ! そのまま直進してみろ! この俺がお前を丸焼きにしてやる!」
アマツは自分が何を言っているのか分からなかった。
彼の炎は、キングアリゲーターを倒せるほどの力はないはずなのに。
「生意気な人間だな。おとなしく避難してればよかったものを。私を丸焼きにできるものならしてみろ!」
アマツはようやく自分が何を言っているのかがわかった。
自分の炎ではやつを倒せないのに、何を馬鹿げたことをいっているのか。
しかし、ここまできたなら引き返せない。
「じ、じゃあ見せてやる! うぉぉぉぉぉぉ......!」
アマツは両手に力を入れた。
彼は炎が出せないんじゃない、今まで出さなかったのだと思った。
「うおおおおおおお、喰らええええええええ!!」
彼は両手をエネミーの前に突き出した。
しかし、その両手から出たものは、やかんのお湯を沸かせることができるほどの炎だった。
「ぐわっはっはっは! そんなちっぽけな炎でこの私を倒そうとしたのか!? 私もなめられたものだな!」
エネミーはアマツを嘲笑した。
「お前を喰ってやる!」
エネミーは口を大きく開いて、アマツに向かっていった。
ああ、やっぱりだめだったか。
アマツは死を覚悟した。
・・・いや、まだあきらめないぞ。
せめてもう一発炎を出してやる。
そうやってアマツは再び両手をエネミーの前に出した。
今度は、体の全神経をその両手に集中させた。
すると、その両手から出てきた炎は、みるみると大きくなって、やがてそれは、両手からはみ出るほど大きくなった。
「な、何ぃ!?」
「行け、俺の炎!!」
アマツからでた炎は、ビームのように放たれて、エネミーのほうにむかっていった。
その炎がエネミーにあたると、瞬く間にやつの全身を覆った。
「ぐわああああああ、あ、熱いいいいいいいい!!」
「え、ええ? ま、まじででたのかよ......]
アマツは正直、本当に出るとは思ってなかった。
エネミーは、しばらくのたうちまわった後、動かなくなった。
「た、倒したのか......?」
アマツは、黒焦げになったエネミーをみつめた。
そして、こういった。
「......あのディフェンサーズのチラシ、まだ捨ててなかったかな?」
数分後......
ある一人の女性が、黒焦げになったエネミーの前に現れた。
白髪で、両手には包帯を巻いており、腰は黒いジャージで縛ってある。
「あれ、もうすでに倒されている......。別のディフェンサーズが倒したのかな? でもそういう連絡はないわね。ということは......」
そして女性はにやりと笑った。
「ふふ、これはかなりの逸材ね、ぜひともディフェンサーズに入ってほしいわ」
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