米ロ シリアめぐり溝埋まらず 関係改善では一致
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米ロ外相会談がモスクワで行われ、焦点となっていたシリアで化学兵器が使用されたと見られる問題をめぐっては両国の溝は埋まらず、このあとニューヨークで開かれた国連の安全保障理事会で、ロシアは化学兵器の使用を非難する決議案に拒否権を行使しました。一方、双方は米ロ関係の改善に取り組む必要性では一致し、今後の展開が注目されます。
シリア北西部で今月4日、多数の死傷者が出て化学兵器が使用されたと見られている問題で、アメリカのトランプ政権はアサド政権に対してミサイル攻撃を実施し、アサド政権の後ろ盾のロシアと意見が対立しています。
こうした中、アメリカのティラーソン国務長官がロシアの首都モスクワを訪問し、12日、ラブロフ外相と会談しました。
続いて行われた共同会見で、ティラーソン長官は「アサド政権が化学兵器を使用した根拠がある」と述べ、攻撃の正当性を改めて主張したのに対し、ラブロフ外相は「証拠を示してほしい」と述べ、OPCW=化学兵器禁止機関による中立的な立場で綿密な調査が不可欠だとの考えを強調しました。
またティラーソン長官は、アサド大統領は退陣すべきだという考えを示したのに対し、ラブロフ外相は、イラクやリビアを例に挙げて、「独裁者が倒されたあとにうまくいったケースを覚えていない」と述べ、両国の溝は埋まりませんでした。
このあとニューヨークの国連本部では安全保障理事会の会合が開かれ、アメリカなどが提出した、化学兵器の使用を非難し、アサド政権に真相究明に向けた調査への協力を求める決議案が採決にかけられました。
その結果、欧米諸国や日本など10か国が賛成する一方、ロシアが拒否権を行使したため、採択されず、欧米とロシアが真っ向から対立する構図が改めて浮き彫りになりました。
一方、モスクワでの外相会談では、冷戦後最悪と言われるほど悪化した米ロ関係について、外交当局による作業グループを設置することが決まり、双方は関係改善に取り組む必要性では一致しました。
また、ティラーソン長官は、プーチン大統領とも2時間余りにわたって会談を行い、米ロ関係が今後どう展開していくか、注目されます。
こうした中、アメリカのティラーソン国務長官がロシアの首都モスクワを訪問し、12日、ラブロフ外相と会談しました。
続いて行われた共同会見で、ティラーソン長官は「アサド政権が化学兵器を使用した根拠がある」と述べ、攻撃の正当性を改めて主張したのに対し、ラブロフ外相は「証拠を示してほしい」と述べ、OPCW=化学兵器禁止機関による中立的な立場で綿密な調査が不可欠だとの考えを強調しました。
またティラーソン長官は、アサド大統領は退陣すべきだという考えを示したのに対し、ラブロフ外相は、イラクやリビアを例に挙げて、「独裁者が倒されたあとにうまくいったケースを覚えていない」と述べ、両国の溝は埋まりませんでした。
このあとニューヨークの国連本部では安全保障理事会の会合が開かれ、アメリカなどが提出した、化学兵器の使用を非難し、アサド政権に真相究明に向けた調査への協力を求める決議案が採決にかけられました。
その結果、欧米諸国や日本など10か国が賛成する一方、ロシアが拒否権を行使したため、採択されず、欧米とロシアが真っ向から対立する構図が改めて浮き彫りになりました。
一方、モスクワでの外相会談では、冷戦後最悪と言われるほど悪化した米ロ関係について、外交当局による作業グループを設置することが決まり、双方は関係改善に取り組む必要性では一致しました。
また、ティラーソン長官は、プーチン大統領とも2時間余りにわたって会談を行い、米ロ関係が今後どう展開していくか、注目されます。
安保理決議案 中国は棄権 その背景は
シリア情勢をめぐり、中国はこれまでロシアと歩調を合わせる形で、欧米が提出してきた決議案にたびたび拒否権を行使してきました。ところが今回は一転して棄権に回りました。
拒否権を持つ常任理事国が棄権するのは、事実上採択を容認する意思表示とも受け止められていて、中国の劉国連大使は会合で「安保理はこの問題で連帯し、一つの声を上げなければならない」と述べました。
さらに劉大使は、記者団に「今回はもう少しで全会一致になるところだった。この決議は全会一致で採択されるべきだったが、あと一歩努力が足りなかった」と述べ、中国が決議の採択に向けて外交努力を重ねたと強調しました。
一方で、採決を棄権した理由について、劉大使は「まだ修正されるべき点はある」と述べるにとどまり、具体的な説明はありませんでした。
ただ、中国は、習近平国家主席が、採決に先立つ12日午前、アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、中国外務省によりますと、習主席はシリア情勢について「国連の安保理が一致したメッセージを打ち出すことを望む」と述べたとしています。
アメリカのヘイリー国連大使は、採決のあと、「きょうの採決は転換点になったかもしれない」と述べて、決議案への支持が広がったことを評価しました。
国連外交筋からは、中国はアメリカに配慮する必要に迫られるとともに、決議案には修正すべき点があるとくぎを刺して、ロシアにも一定の配慮を示すために、棄権を選択したのではないかという見方が出ています。
拒否権を持つ常任理事国が棄権するのは、事実上採択を容認する意思表示とも受け止められていて、中国の劉国連大使は会合で「安保理はこの問題で連帯し、一つの声を上げなければならない」と述べました。
さらに劉大使は、記者団に「今回はもう少しで全会一致になるところだった。この決議は全会一致で採択されるべきだったが、あと一歩努力が足りなかった」と述べ、中国が決議の採択に向けて外交努力を重ねたと強調しました。
一方で、採決を棄権した理由について、劉大使は「まだ修正されるべき点はある」と述べるにとどまり、具体的な説明はありませんでした。
ただ、中国は、習近平国家主席が、採決に先立つ12日午前、アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、中国外務省によりますと、習主席はシリア情勢について「国連の安保理が一致したメッセージを打ち出すことを望む」と述べたとしています。
アメリカのヘイリー国連大使は、採決のあと、「きょうの採決は転換点になったかもしれない」と述べて、決議案への支持が広がったことを評価しました。
国連外交筋からは、中国はアメリカに配慮する必要に迫られるとともに、決議案には修正すべき点があるとくぎを刺して、ロシアにも一定の配慮を示すために、棄権を選択したのではないかという見方が出ています。