(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年4月10日付)

たんすに眠っていたリラ札100万円相当、ユーロ交換OK 伊裁判所

イタリアのリラ紙幣(左)とユーロ紙幣(2001年6月1日撮影、資料写真)。(c)AFP/ THOMAS COEX〔AFPBB News

 次のような新年の抱負のリストを想像してみてほしい。まず、チョコレートを断つ。次に、離婚する――。普通の人は当然、馬鹿げていると言うだろう。もし離婚について本気なら、リストに載せたりしないし、載せるほどこだわるのであれば、離婚は2番目の項目にはならないからだ。

 だが、これがまさに、フランスとイタリアのポピュリスト(大衆迎合主義者)が単一通貨ユーロに対する政策を打ち出したやり方だ。

 彼らはユーロ離脱を支持しているようだが、しばらくは決断を先送りし、その後、すべてを国民投票にかけたいと思っている。これはフランスの国民戦線(FN)とイタリアの五つ星運動をそれぞれ率いるマリーヌ・ルペン、ベッペ・グリッロ両氏が政権を担う準備が全くできていないことを物語っている。彼らは過激主義者というよりは、むしろペテン師だ。

 どちらの国でも、ユーロ離脱を是とする知的な主張を展開することは、容易ではないものの可能だ。だが、グリッロ氏もルペン氏も、それをやっていない。

 もしユーロ離脱について本気なら、これが非常に大きな出来事であり、自分が政権を担っている時期を決定づける問題になることを理解しているはずだ。何年も離脱手続き以外はほぼ何も手掛けられない。ユーロ離脱はブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)よりはるかに大きく、そのブレグジットでさえ、英国政府はすべての時間を割くことになるのだ。