【動画】大友克洋さんが「バベルの塔」を大胆に新解釈した絵画作品を制作
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 「AKIRA」「童夢」などで知られる漫画家・映画監督の大友克洋さんが、18日から東京・上野の東京都美術館で始まる「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」に合わせて、原画を大胆に新解釈した絵画作品「INSIDE(インサイド) BABEL(バベル)」を発表する。塔にざっくりと切り込みを入れて、構造や中でうごめく人々、建設作業を想像し、ちみつに描き出した。完成作の展示を前に、大友さんが語った。

 ブリューゲルのこの「バベルの塔」は、建築物としてかなり完成に近づいている。「中はどうなっているのか。カットして中を見たら面白いんじゃないか?」と考えたのが始まりです。

 準備のため、オランダ・ロッテルダムのボイマンス美術館で原画をつぶさに観察し、学芸員に話を聞きました。ウィーンの美術史美術館でも、ブリューゲルが描いたもう一つの「バベルの塔」(1563年作)を見、ベルギー・ブリュッセルの王立美術館でも、他のブリューゲル作品をたくさん見てきました。

 2点の「バベルの塔」は(ブリューゲルが実際に見た)ローマのコロセウムに基づいたと言われてはいますが、想像で補っているはずです。架空の建物を主役にしてここまで描き込む想像力のすごさ。建築物について相当の知識を持って、構造を考えて描いたのだと思います。

 僕が発見したのは、塔の下には川が流れているのではないかということ。ウィーンの作品もそうなんですが、左側から川が流れ込み、手前に出てきているように見えます。ボイマンス美術館の学芸員に聞いたら、(ブリューゲルが住んでいた)ネーデルラントでは、川の上によく建物を建てているんですね。面白い発想じゃないかと言われました。川があれば建造のためのれんがや石を舟で運んで、内部で荷下ろしすることができます。

 学芸員も気づかなかった塔の登り口の「門」も見つけました。塔へ入る人間を制限するという、そういう設定までブリューゲルは考えたのでしょう。

 塔の内部は空洞になっていると考えました。これだけの大きな建築物は空洞がある方が、構造的にも楽なんじゃないかと。

 下絵はボールペンで描いています。制作にあたっては、まず原画をトレースし、どこに切り込みを入れるかを考えた。初めは塔を正円だと仮定しましたが、描いてみると前後につぶれた楕円(だえん)だと分かりました。たぶんブリューゲルは、こういう少し扁平(へんぺい)した円の方が、構図として、絵的にいいと思ったんでしょう。

 塔を登るらせんを描いていくのが一番大変でした。正円を積み上げていくのは難しくないんですが、楕円のらせんを計算していくのがすごく難しかった。

 内部には住居があったのでしょ…

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