鉄道ファンの筆者にとって、2017年度最初のビッグイベントの日が近づいてきた。東京都心部を1周するJR山手線で、間もなく新型車両「E235系」が増備されるのだ。
E235系は車両制御や車内のデジタルサイネージなどにITを駆使した新型車両である。これまでは量産先行車1編成のみが運用されていたが、間もなく量産車の2編成目以降が増備される。東日本旅客鉄道(JR東日本)はこの春から順次増備し、2020年春ごろまでに49編成(539両)の投入を完了させる計画を立てている。
しかし、ここに至るまでの道のりは平たんではなかった。量産先行車は2015年11月30日に営業運転を開始したが、大崎駅と目黒駅、大塚駅で相次いでトラブルを起こし、当日中に運転打ち切りになった。
次世代制御システムにバグ
トラブルの原因は、E235系の目玉で、営業車両として初めて搭載された次世代車両制御システム「INTEROS(インテロス)」のソフトウエア不具合(バグ)だった。
バグを克服できなければ、量産に至らない事態も危惧された。その後、JR東日本は山手線の激しい混雑を再現するために重りを積んで試運転を実施するなどして、動作の再検証を急いだ。
そして、2016年3月にトラブルを起こした量産先行車が営業運転に復帰した。JR東日本鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター車両システムグループの山下雅徳氏は「営業運転再開以降は、目立ったトラブルは発生していない」と説明する。
この2016年3月までに大きなバグは出し尽くしたという。こうして固めた仕様が今後増備される量産車に反映される。