北朝鮮情勢が最高レベルまで緊迫している。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は「6回目の核実験」をチラつかせ、ドナルド・トランプ大統領率いる世界最強の米軍が対峙している。中国の習近平国家主席は、米中首脳会談で米国のシリア攻撃に理解を示し、虚像が「崩壊」寸前だ。北朝鮮に近い中国人民解放軍部隊の進軍情報も流れた。こうしたなか、朝鮮半島有事が発生した際、日本には自国の防衛・治安強化とともに、拉致被害者救出に向けた準備と心構えが求められそうだ。ジャーナリストの加賀孝英氏による核心リポート。
「原子力空母『カール・ビンソン』を中心とする第1空母打撃群が、当初のオーストラリアへの寄港をとりやめ、朝鮮半島に近い、西太平洋に向かって航行している」
米海軍当局が8日、こう突然発表した。弾道ミサイル発射を繰り返し、国連安保理決議を無視して、近く「6回目の核実験」を行う構えを見せる、無法国家・北朝鮮をけん制するためだ。
第1空母打撃群とは、カール・ビンソンに最新鋭戦闘機など約90機を搭載し、ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦、原子力潜水艦などを従えた米海軍最強の攻撃艦隊だ。
旧知の米軍関係者は「北朝鮮が5日にミサイルを発射したとき、レックス・ティラーソン米国務長官は『もうこれ以上、言うことはない』と吐き捨てた。核実験をやれば『米国は先制攻撃する』という死刑宣告だ」といい、続けた。
「トランプ氏はすでに、正恩氏の『斬首作戦』(殺害)を含めた計画の最終選定に入った。特殊部隊は正恩氏の居場所、移動式ミサイル発射台の隠し場所など、詳細なデータを作成している。正恩氏の側にいる協力者、スパイ衛星のデータもある。正恩氏は『日米韓を火の海にする』と言うが、火の海は向こうだ」