2017年4月11日、韓国・朝鮮日報によると、国のために犠牲になった英雄を祭る韓国の国立墓地・ソウル顕忠院にとんだ花見客が大挙し、敬虔(けいけん)な雰囲気がぶち壊しになっている。
しだれ桜が有名な顕忠院は、桜の季節になると多くの訪問客でにぎわい、特に若者の間では「自撮りがきれいに撮れる」とのうわさも立つほど。顕忠院側も「全国民に開放され、いつでも訪ねられる護国公園になろう」いう趣旨の下、2008年からは「しだれ桜と共にする開かれた顕忠院」イベントを始めた。今年は今月6〜12日までで、週末の8、9日には、通常の10倍に当たる20万人近くが訪れたという。
しかし、一部訪問客の行動に追悼に訪れた人たちは眉をひそめる。顕忠院側は飲酒や喫煙などを禁止し、芝生などに寝そべらないよう勧告しているが、シートに座って酒盛りをする市民や、自撮りに夢中になって周りの目を気にしないカップルが後を絶たない。
9日には顕忠院のあちこちに設置されたスピーカーから「ここは国や社会のために犠牲になった方を称え追悼する所です。厳粛で敬虔な雰囲気を守ってください」という案内放送が流れたが、効き目はほとんどないようだ。ある警備員の話では「桜の季節は、酒を飲んで大声を上げたり寝そべったりする人たちに注意して回るのが仕事」になっているが、「罰金などの処罰規定がないため大概無視される」とのこと。
顕忠院側はこの事態に「敬虔な雰囲気を守ろうにも、市民が従わなければ制止する方法がない」「桜祭り期間中は人が多過ぎて注意が難しい」と頭を抱えている。
報道を受け韓国のネットユーザーからは、「そもそも顕忠院での桜祭りを企画した人がおかしい」「顕忠院はテーマパークじゃない」とイベントを開催する顕忠院側を非難するコメントや、「普段は寂しいところだから、ちょっと騒ぐくらいなら英雄の魂も許してくれるはず。ただ横に寝そべるのはひどい。礼儀はしっかりわきまえよう」「来年からは開放しない方がよさそうだ。先進国の市民意識に追い付くにはまだまだだよ」「詰め込み式の勉強よりも、家庭や学校で公衆の道徳をもっと重視して教えるべき」と市民のマナーの悪さを指摘するコメント、「解決法は簡単。顕忠院らしいイベントを開いて、遺族以外からは入場料を取ればいい。そして雰囲気を壊す人がいたら、すぐさま退出させて出入り禁止にしろ」「顕忠院の桜の木を引っこ抜いて、(韓国の国花)ムクゲを植えよう」と解決策を講じるコメントなど、さまざまなコメントが集まった。
一方で、「日本人も靖国神社でそんなことしない。国を守ったご先祖様の前で何のまねだ!」「こういうのを見ると、韓国も中国も変わらないように感じる」と日本や中国と比較するコメントも寄せられた。(翻訳・編集/松村)