資料「サリン汚染をいかに処理するか」


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投稿者 Cicaくん 日時 1999 年 9 月 30 日 01:24:50:

「現代化学」1995年5月号 No.290、
「サリンと神経ガスの化学」−合成・毒性・解毒ー Anthony T.Tu 著
から抜粋して転載。

(ここまで略)

【神経ガスと有機リン系殺虫剤との類似点と相違点】
(略)
サリンやソマン、VXにはCH3ーPという結合があるが、殺虫剤にはそれがないことに注目されることと思う。CH3−Pという結合をもっている化合物はたいへん少ない。だから既存の有機リン系殺虫剤をすぐにサリンに変換することは化学的に不可能なことなのである。こういうわけでサリンはPCl3(三塩化リン)が第一の出発化合物であり、合成の過程でCH3を導入する必要がある。神経ガスの中で殺虫剤の一般式(図2*)に近いのはタブンだけである。
(略)
有機リン系殺虫剤はリン酸(H3PO4、図4*)のエステルであるのに対し、サリン、ソマン、VXはホスホン酸(H3PO3、図4*)の誘導体で、根本的な差異がある。
(略)


【蒸発性(揮発性)の重要性】
 サリンの融点は−57℃、沸点は147℃であるから、氷点でも常温でも液体である。毒ガスとして有効な条件は適当な蒸発性(揮発性)である。よく使われる毒ガスであるサリンやイペリット(マスタードガス)も、他の神経ガスであるソマンやVXも蒸発性がある。毒ガスの中でサリンは特に揮発性が高いことがFrankeのデータではっきりわかる(表1)。

表1  神経ガスの蒸発性(揮発性)(S.Franke(1994)による)
毒ガス名|蒸発(揮発)に必要な時間(秒)|
サリン_________0.0048
ソマン_________0.01
イペリット________0.16
VX________1800

Dr.Singfried Frankeの研究によると、風の弱い日や晴天の日、雲のある無風の状態では、強風や雨天の日よりも毒ガスの効果が長く保たれるという。
 ファックスで送られてきた日本の新聞をみると、地下鉄サリン事件では、アセトニトリル(CH3CN)が発見されたと書かれている。アセトニトリルの沸点は81.6℃でやはり揮発性が高い。またアセトニトリルは体内への侵入性が特に強いので、サリンと混ぜて皮膚からの体内への侵入を促進するために入れたのかも知れない。アセトニトリルはいろいろなものを溶かすので、場合によってはサリン製造の過程で溶媒として使われたのかもしれない。犯人が逮捕されたときには、この疑問も解決されることであろう。
(略)


【サリン汚染をいかに処理するか】
 サリンはホスホン酸(H3PO3)とアルコール(ROH)のエステルであるから
弱アルカリ性の溶液ですぐに分解される(図5)。

  アルカリ
サリン(GB)+H2O  →  フルオロメチルホスホン酸+イソプロピルアルコール
(図5)サリンのアルカリによる分解*

アルカリ溶液としてはカセイソーダ(水酸化ナトリウム。NaOH)の水溶液や炭酸ナトリウム(Na2CO3)の水溶液をつくればよい。こういう猛毒な物質でも、ごく普通のアルカリ水で比較的無毒な物質に分解できることは幸いなことである。
 だからサリンで汚染された場所を消毒するには、大量のこれらのアルカリ水で洗えばよい。もしカセイソーダも炭酸ナトリウムもないときは、ただの水でどんどん洗えばよい。サリンはただの水でも徐々に加水分解されるのである。  S.Frankeの屋外でのサリンの持続時間のテストでは、サリンは日射の強い晴天では半日から4日間毒ガスとしての効果が維持される。しかし雨天の日にはサリンは15分から1時間くらいで神経毒ガスとしての効果が消えてしまうことが実証されている。雨の降る日はよく風を伴うので、一つの原因はサリンが風で散らされるためであるが、もう一つはサリンは水で分解されるためである。
 以上述べた例は加水分解を促進する物質による消毒であるが、別な方法は強力な酸化剤や漂白剤を使用する事である。
次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)はサリンの消毒や、非活性化に有効だと言われている。次亜塩素酸ナトリウムはカセイソーダ水溶液に塩素ガスを通せばすぐにつくれる。

      NaOH(水溶液)+Cl2 → NaClO+HCl

 次塩素酸ナトリウムはアメリカでも日本でもいろいろな商品名で市販され、家庭でのお消毒剤・漂白剤・脱臭剤として使われる。効果がある理由は強力な酸化剤なので有機物を酸化してしまうためである。
 水での消毒は各国で化学防御方法として一番よく使用されている。簡単にいえば消火用のホースで強力な水圧をかけて洗い流すというものである。


【サリン中毒の予防と治療法】
(以下略)


注*:txtファイルで無理がある化学式を省略したため、各自適当にお調べください。

ΨこめんとΨ
そこのよい子!「なぜそんな本が手もとにあったの?」だと?
このカキコを予知していた真心だよ。サリン生成の関係の資料は現在発掘中。
知りたい人は、各自専門資料をお探しください。
No6336=666なんちって666なんちって666なんちって。(^^^;)




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