キム・ギドク監督の映画『STOP』が、5月13日から東京・新宿のK's cinema、キネカ大森、6月25日から神奈川・横浜のシネマ・ジャック&ベティで公開される。
キム・ギドクが監督、撮影、照明、録音を全て手掛け、日本で制作した同作は、東日本大震災時に福島第一原発の5キロメートル圏内に居住し、震災後に東京に移住した妊娠中の妻と写真家の夫を描く物語。赤ん坊への放射能の影響に不安を抱え、正気を失いつつある妻の前に謎の役人が現れ、中絶を強引に促す一方で、妻を安心させようと故郷の写真を撮影しに単身で福島に戻った夫が、あるものを目撃する、というあらすじだ。
同作は2015年に制作され、昨年の『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016』で日本初上映。その内容から各国の映画祭でも物議を醸し、日本での公開は難しいとされていた。
キム・ギドクは同作について「私は、日本に友達がすごく多いのですが、みなさんとても良い方で優秀です。でも、日本と韓国は、過去の不幸な歴史の為に、あまり仲が良くない状況です。そんな中で作った、今回の『STOP』ですが、これは韓国人だとか日本人だとか、そういったことは関係なくて、人類の安全の問題だと思っています」とコメント。
また行定勲監督は「キム・ギドクが丸腰で日本で撮らなければならなかった『ストップ』は、彼が抱いている社会への危機感が怒りとなって牙をむいた力作である」とのコメントを寄せている。なお同作の作品収益の一部は、福島と熊本に寄付される。
キム・ギドク監督のコメント
私は、日本に友達がすごく多いのですが、みなさんとても良い方で優秀です。でも、日本と韓国は、過去の不幸な歴史の為に、あまり仲が良くない状況です。そんな中で作った、今回の「STOP」ですが、これは韓国人だとか日本人だとか、そういったことは関係なくて、人類の安全の問題だと思っています。そして、6年前の3月11日にはたくさんの方が亡くなりました。亡くなった方のご家族のことを考えると、非常に心が痛みます。そして、原発の問題は、終わっていません。終わっていないどころか、これからも、どんどん深刻なことになっていくかもしれません。世界中の技術者を集めてでも、早く自然な状態が戻ってくるようなことになればいいなと思っています。