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 福島県発注のダム工事をめぐる汚職事件で有罪が確定した佐藤栄佐久・元福島県知事の事件を描いたドキュメンタリー映画「『知事抹殺』の真実」(2016年、1時間20分)の上映会が8日夜、新潟市中央区の万代市民会館で開かれた。上映後、佐藤氏が泉田裕彦・前新潟県知事と対談し「悪いことは一切やっていない」と潔白を訴えた。

 佐藤氏は06年に東京地検特捜部に逮捕され、捜査段階で罪を認めたが、公判では「激しい取り調べが支持者に及ばないよう虚偽の自白をした」と否認し無罪を主張。控訴審では金銭授受が認定されず収賄額は「0円」だが収賄罪で有罪とする判決が出され、最高裁で懲役2年執行猶予4年の有罪が確定した。

 映画は佐藤氏の著書や関係者の証言をもとに取り調べや公判の場面を再現。「原発問題などで国策に逆らったため、冤罪(えんざい)で政治生命を絶たれた」との佐藤氏の主張を伝えている。

 上映会は泉田前知事の支援者らでつくる「おむすびの会」が主催。佐藤氏は知事時代、東京電力の原発トラブル隠しなどを厳しくただしたことに触れ「原発の安全や市町村合併について常に問題提起し、うるさい邪魔な知事だと国に思われたのではないか」と述べた。泉田氏も、東日本大震災発生後の福島第一原発事故で、東電がメルトダウン(炉心溶融)をなかなか認めなかったと明かし「技術者なら知っている真実を伝えてくれないということを直接経験した」と語った。(編集委員・北野隆一