10日に行われた韓国統一部(省に相当、以下同じ)の定例会見と当局者による非公開の懇談会では「米国による北朝鮮への先制攻撃」の見通しに関する質問が相次いだ。国防部の定例会見でも同様の質問が飛び出した。このところ、韓国の経済界や証券関係者の間で、韓半島(朝鮮半島)で近く戦争が起きるという情報が盛り込まれた「証券街情報誌(別名:チラシ)」が急速に出回り、一部の外国系企業が「避難計画」を立てるなど不安が広がっているからだ。しかし政府は「北朝鮮に打撃を加える計画も兆候もない」とうわさを否定した。
最近出回っている情報誌には「4月末までに中国が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の亡命を説得し、失敗した場合には米国が先制打撃を加える」といった内容が書かれている。ソウル市内にある外国企業の関係者は「最近、外国系の企業数社で『有事に備え、韓国国内の資産と人員の撤退計画を点検せよ』という指示があったという話が出回っている」と話した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「米軍の戦略物資が韓半島に向けて輸送されている」といった書き込みも広まっている。
さらに、海外メディアも韓半島の安全保障リスクについて頻繁に取り上げている。BBCとCNNは、前日にオーストラリアに向かっていた米国の原子力空母カール・ビンソンが韓半島方面に航路を変えたことを主要ニュースとして報じた。先週、米国のNBC放送が韓国から中継して韓半島の状況を伝えたこともSNSで話題になっている。ある外国系企業の役員は「CNNやNBCなどで韓国に関する不安なニュースが頻繁に流れるため、外国系の投資家たちが韓国の安全保障リスクと北朝鮮の状況に注目している」と話した。
しかし韓国政府は、米国による先制攻撃説について「そんなに心配する必要はない。米国は韓国の対北朝鮮政策を支持すると言っており、韓国政府はあらゆる問題を平和的に解決するという立場」(統一部報道官)と説明した。国防部のムン・サンギュン報道官も「カール・ビンソンの移動は、万が一の事態に備えてのこと」と話した。