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 経営が振るわない名古屋のしにせ百貨店、丸栄は12日、テナント中心の業態に転換する方針を発表した。従業員を減らし、百貨店事業からの完全な撤退も視野に入れるという。親会社で医薬品も手がける商社、興和の完全子会社となり、東証と名証への1部上場は廃止される見込み。

 上場廃止によって、興和以外の株主にリスクを負わせず再建を急ぐ。現在、株式の約7割をもつ興和が5月29日までに丸栄株の公開買い付けを行い、完全子会社にする。買い付け費用は51億円を見込む。パートを含めて約300人いる従業員は減らし、丸栄の店名は当面は維持する方針だ。

 12日発表した2017年2月期決算は、8億円の純損失(前年は5億円の純損失)。純損失は3年連続となり、野原太二雄社長は5月31日付で引責辞任。興和出身の浜島吉充常務が社長に昇格する。売上高は前年比10・5%減の186億円だった。

 野原氏は記者会見で「百貨店業界は個人消費の低迷などで厳しい。従来型百貨店から脱し、テナント型事業へ転換する」と述べた。

 興和は、保有する丸栄や周辺のビルを一体で再開発する方針を11年に公表しているが、業態の転換や再開発の具体的なスケジュールは示さなかった。(高橋諒子)

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