大地震で倒壊の可能性が指摘される東京電力福島第一原発1、2号機の排気筒で、支柱の1カ所に新たな破断が見つかった。本紙の写真分析で判明し、通報を受けた東電は、現場写真を撮り直して確認した。
排気筒は高さが約120メートル。これまでの東電の調査では、筒の真ん中辺り(高さ66メートル地点)の4カ所8本の支柱で接合部に破断や変形が見つかっている。
本紙は2月13日に原発内を取材した際、排気筒を入念に撮影し分析。45メートル付近で破断1カ所を見つけ、東電に通報した。
問題の支柱は、煙突(筒身)周りにある4本の主柱に、家の筋交いのように取り付けられている斜め材。これがないと、地震や強風の力を受け止めきれなくなる恐れがある。東電は2019年ごろに排気筒の上半分を撤去する方針。
ただ、リスクが高いと分かっている排気筒を、3年間もそのままにしておいていいのか疑問がある。1、2号機では使用済み核燃料の取り出しに向けた準備作業が進められている。多くの作業員が働いている。高い排気筒だけに、解体には困難も予想されるが、現場の安全を保つのは東電の責務だ。(文・山川剛史、荒井六貴、写真・平野皓士朗)