特集
2017年4月12日
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氷点下のオホーツク海に響く貝音!
北海道の東、野付半島の海の恵みはサケだけではない。無数の漁船が流氷をかいくぐってレーダーに軌跡を描き、でかいホタテをでかい熊手でぐわーっと捕るのだ。何が言いたいかというと、ホタテ漁船に乗せてもらったのだ。
> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー 押し寄せる流氷野付半島は3月になってもまだ俄然冬で、見渡す限り一面の虚無に飲まれそうな雪景色。
かんたんに思慮深そうな写真が撮れるぞ!
ただただ白くて、エゾシカのつぶらな瞳がこちらを見ているシンプルな世界。表計算ソフトエクセルのワークシートの果てはきっとこんな世界なのではないか。シカとかがいそうな気がしてたんですよ、エクセルの外側。
表計算の世界へ帰れ。
人に慣れすぎているキタキツネ。エサはやったらいかんというのに、マジで。
海を見るとシルキーな杏仁豆腐のような、上質感のある流氷ががんがん押し寄せている。
うわーこれはやばい。
氷たちが微妙に動き、ぶつかり、ポジションを取り合っている。湘南国際マラソンのスタート地点のようなにぎわい。
まどろむオジロワシ。
のっけから、流氷見てきたんですよいいでしょう、すごくないですかみたいな感じになったが、冬の野付半島を堪能しながらも私の小さな胸には一抹の不安がよぎっていた。
「船、出られるのかな」 翌朝のホタテ漁船に乗りに来た。昨年の秋、鮭漁体験をさせてくれたオホーツクのゴルフ漁師、小崎さんの乗る船である。 暴走したゴルフ愛が自宅に作らせたゴルフ部屋。
バーカウンターも併設されていた。快楽の場だ、堕落の園だ。
この時期、漁は流氷に激しく影響される。ロシアのアムール川からやってくる流氷は野付の速い潮と風に乗り、ひと晩でかなり動くので予測が難しい。沖に出たところで流氷に阻まれて引き返す事もあるそうだ。
「まあ、とりあえず船は出るから」 アイアンの飛距離を5ヤード伸ばして満足げな小崎さんと朝を待つ。 無事決行!翌朝4時30分、気温は-10℃。刺すような冷気を顔面に感じながら港へ向かう。寝覚めのいい寒さよ。
この港では一番古いタイプではないかとの事、兄弟舟だ。
――あれ? サケの時と船が違いますね。少し小さいかな。
「サケとは漁のやり方も船に乗る人数も違うから」 ――ホタテは養殖してるんですか? 「地撒きっていうんだけど、稚貝(貝のこども)を放流して自然に育ったやつを捕るの。4年目の貝を捕るんだわ」 ――海底にいるから底引き網みたいなやつを使うんですね。 「八尺っていうね、まあでかい熊手だな。海の底に落として、船で引きずるの。」 ――大がかりな潮干狩りだ。 これが八尺。中世の拷問具ではない。
「ホタテはね、とにかく重労働だから、サケ漁なんかより」
――えー、サケのほうが重いし暴れるしで大変そうですけどね。 「まあ、見てみればわかるよ」 ――流氷が少ないといいですけどねえ……。 船室で情報収集に余念がない。
――お、流氷情報ですか?
「いや、ゴルフのブログだよ」 ――いやいや、流氷大丈夫なんすか流氷。 そんなこんなで出港!
朝焼けをバックに港を出てゆく船の灯が連なる。壮観!
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