オーバーブッキングは合理的である

2017年04月12日 00:51

ユナイテッド航空の機内から乗客が引きずり出された事件で世界中が盛り上がっているが、これは誤解である。直前にキャンセルする乗客が一定の比率で出るので、定員以上の乗客の予約を受け付けるオーバーブッキングは合法的であり、世界中の航空会社がやっている。

今回は「翌日の航空券+800ドル+ホテル1泊」という条件で次の便に変更する乗客をつのり、それでも乗務員4名の席がなかったので、すでに乗っていた乗客4人(無作為に選ばれた)にこの条件を提示したところ、3人が応じたという。残る1人が「医師で翌日に診療がある」と主張した(真偽は定かでない)が、警察を呼んで引きずり出した。これも無作為である以上やむをえない。

WSJによると、アメリカで2016年にオーバーブッキングのため搭乗便を変更するよう求められた乗客数は43万人強で、「非自発的」に搭乗を拒否されたのは約4万人だという。これはアメリカ国内の航空機搭乗者(延べ)6億6000万人の1/10000以下なので、あなたが遭遇する確率はきわめて低い。

通常は搭乗カウンターで足止めされるが、今回は大部分の乗客が機内に入るまで手続きが遅れたようだ。これは乗務員の席で、翌日は別便に乗務する予定だったという。したがって乗務員は(最後に乗っても)最優先で、搭乗した客を排除することもマニュアル通りだ。今回の事件の特異性は、それを他の乗客がスマホで撮影してネットで拡散したことだけだろう。

UAの搭乗拒否は多いようだが、オーバーブッキングは経済学でおなじみの合理的な行動である。これを禁止すると、空席が必ず出て航空運賃が上がる。航空会社が定員までしか予約を取らないと思っている人は、航空業界の激しい競争を知らないだけだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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