彼はジェレミー。
僕が2010年、ニューヨークに滞在していたときに
練習していたボクシングジムの練習生だった。
たしか当時、二十歳そこいらだったと思う。
この日はアマチュアの試合に出場する日で、
試合直前に撮らせてもらった写真だ。
試合は殺気だった目で相手をじっと見据えながら終始攻めてジェレミーが勝利した。
ジェレミーはジムではひたむきに今を生きていた。
そしていつも自信に満ちた目をしていた。
将来どうするのと聞いたらプロを目指すといっていた。
日本に戻ってきてからは連絡もとっていないので
その後はどうなったのかわからない。
だけど、プロになって活躍していることを期待したいし、
もし、今も選手を続けているのなら試合を観れたらうれしく思う。
ニューヨーク。一見華やかできらびやかな外観を呈する街だが、
その中で生きる多くの人々はハングリーでエネルギーに満ちた人の集合体だった。
ジェレミーもそんな中の一人であった。
何枚か撮った写真をまとめてプレゼントしたときは
飛び跳ねて喜んでくれたのを今でも強く覚えている。