今年3月のフィンランドでは、日本に関する2冊の本がベストセラーのリストに入った。第2位の『芸者らしく』は、1000年の古都・京都に暮らすフィンランド人女性が書いたエッセーだ。作者のミンナ・エバスオヤは、外国人として日本で10年過ごしながら目にした日本人の生きざま、精神力などを味わい深く紹介した。著者は、日本に初めて着いた夏の日を「キリンビールを1缶買って立ったまま一気に飲み干すよう仕向ける天気」だったと振り返った。
川端康成の『雪国』は、6位にランクインした。フィンランドでは1958年に重訳として初めて翻訳されたが、今回はフィンランドの翻訳家ウルヨ・キビミエスが日本語の原書を直訳した。『雪国』の静かで優雅な雰囲気が、雪の中で長い冬を過ごすフィンランド人の心を捉えたと評されている。
日本の小説は、フィンランドで人気が高い。村上春樹の作品は、出るたびにすぐさまフィンランド語に翻訳・出版される。韓国の小説では、申京淑(シン・ギョンスク)の『母をお願い』、韓江(ハン・ガン)の『菜食主義者』がある。ただし、英語版からフィンランド語に重訳された。