東芝が11日に開いた2016年4~12月期連結決算に関する記者会見は1時間45分に及び、監査の適正意見がない異例の事態に質問が集中した。綱川智社長、平田政善最高財務責任者(CFO)、社外取締役の佐藤良二監査委員長の主な発言は以下の通り。
――監査法人の承認を得ていない数字を信頼するには無理がある。なぜ公表に踏み切ったのか。
綱川氏「約60万件のメールをチェックしても何も出てこなかった。また発表を延期してこれ以上調査しても何も出てこないと判断し、延期による信用不安を払拭するために公表した。東芝として自信がある数字だ」
佐藤氏「今回の調査は財務数値を確定する通常の監査とは異なり、内部告発が発端。確立した方法がなく、どちらが悪いという問題ではない」
――5月中に予定する通期決算は大丈夫か。
佐藤氏「協議をして頑張っていきたい」
平田氏「基本的には(監査法人が適正意見を付けない不表明ではなく)正常な形で出したい」
――監査法人が評価を終えられない場合、また不表明で公表するのか。
平田氏「その可能性は会社側では判断できない。不表明にならないように最善の努力をし、監査に協力したい」
――監査法人間の引き継ぎはなされたのか。
佐藤氏「以前の新日本から現在のPwCあらたへ、十分になされたと理解している」
――監査法人の変更はあり得るのか。
佐藤氏「はい。色々な可能性を考えたい」
――上場廃止のリスクは。
綱川氏「そうならないように懸命に努力する。新事業ポートフォリオとメモリー事業売却で財務基盤を強化していく」
――ウエスチングハウス(WH)関連で新たな訴訟リスクはあるのか。
綱川氏「考えていない。電力会社とは良好な関係を築いている」
――11年に買収したスイス電力計大手、ランディス・ギアは。
綱川氏「売却や新規株式公開(IPO)も含めて様々な選択肢を検討する」