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”目覚めよ救世主”『LEGOムービー』

映画


 レゴブロックが大活躍する映画!


 レゴブロックの街ブロックシティで働くエメット。街を支配するルールに従って平凡な毎日を送る彼だったが、マニュアルによると夜間は入ってはいけない工事現場に入り込んでいた謎の女ワイルド・ガールに、なぜか救世主と思われる。街を牛耳るおしごと大王に対抗できるのは彼だけ……?


 『21ジャンプストリート』の監督の新作ということであったが、レゴは思い入れないし、CGアニメみたいなもんだしで、スルー寸前であった。一応、時間が合ったから見てみたのだが……。


 興味ないと言いつつ、大量のレゴの実景とコマ撮りを組み合わせて作った映像は素晴らしく、それらが縦横無尽に動く様は、波や火までレゴブロックで表現していることも含めて徹底している。
 しかしまあ、いくらそれが凄いと言っても、やっぱり映像だけではいつまでも驚いていられないし、ディズニーのCGアニメもそうだが、キャラクターのオーバーアクトやわざとらしい台詞回しがかったるくて、段々とダレてしまった。これを可愛いとか楽しいとか言うのがさっぱりわからないのだよ。山ちゃんの声もくどく感じてしまった。
 せっかくの版権キャラも活躍するのはバットマンばかりで、大人の事情を乗り越えた奇跡の共演の楽しさも、逆にスケール小さく思わない? むしろ大人の事情バリバリじゃないかね。


 後半になって、現実とリンクしてくるあたりから急激に面白くなり、ウィル・フェレル登場には大興奮、これで一安心かと思いきや、そこからもまた実に都合いい話で、あんな父親と息子がわかりあう展開とか、露骨にファンタジーでかゆくなってしまったよ。子供に大量のレゴを与えたら素晴らしい創造性を発揮する、と信じるのは結構だが、実際は破壊の限りを尽くしレゴの廃墟が広がった片隅に、小さな一つの芽が出る……程度の結果になると思うよ。
 映画の中では雲の王国が崩壊してたけど、あれもまだウィル・フェレルお父さんが気づいてない隅っこの方でわやくちゃになっているんだろうなあ。
 もちろんそういうリスクを承知で、それでも子供のために解放する! というのなら結構なことだが、それは相応の痛みを伴うし、「みんなちがってみんないい」という結論に果たして結びつくのかどうか。また作り直せるのがレゴの魅力、ということも含んでいるのかもしれないが、欠けてしまったらもう元には戻らないよ……?


 子供の頃、大量のレゴで遊べなかった奴が、「もっとあったらすごいものが作れたのに!」と、今の大人こどもに対し解放を迫るのはいいとして、和解して下げ渡してもらうあたりがさもしいんだよね。
 今作で描かれる価値観の対立自体は非常に魅力的なだけに、その構図が解消されてしまうこと自体がもったいない。接着剤の使用こそ阻止したが、父と子の対立は永遠に続く、ということで、息子がことあるごとに忍び込んでゲリラ戦を展開するような話でいいではないか。
 現実と背中合わせの仮想世界としてのレゴワールドというアイディアは素晴らしいと思うが、『マトリックス』のはずが第一作からいきなり『レボリューションズ』的に手打ちしてしまうやだみを感じ、げんなりしてしまったわ。良くできた話ではあるが、いかにも結論から逆算した教訓を垂れ流したいがための「お話」という感じで、ぼかあ嫌いですね。苦味もない、牙も抜けた説教くさい話。
 後におもちゃ売り場に行ったら、今作の商品も多数置かれていて、子供の想像力の産物とか言いつつ、結局は大人がデザインして商品化したものなのだよなあ、と、また心の汚れた人のようなことを言ってしまいましたね。


 観たら確実にレゴで遊びたくなるのは間違いないし、自分の世界を作って楽しみたくなる。そういう意味ではいい映画なのは確かだが、俺のレゴワールドのストーリーは絶対にこんな話にはしないからな、と固く誓うのでありました。やっぱり自分で遊んでなんぼで、人が作ったもの眺めてもしようがないよな、というのは、ある意味今作的にも正しい結論ではないかね。

レゴ ムービー おしごと大王のアジト 70809

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レゴ ムービー バッド・コップの追跡 70802

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マトリックス レボリューションズ [Blu-ray]

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