【香港=共同】香港の映画賞「金像奨」で、1997年の英国から中国への返還直前の香港を舞台に、実在のヤクザらをモデルにした「大樹は風を招く」が9日、作品賞など5賞を獲得したが、中国主要ネットメディアは作品名を報じなかった。香港メディアでは、中国の汚職を風刺した場面などが問題視された可能性が指摘されており、香港では中国の「言論規制」に批判も出ている。
中国ネットメディアは金像奨自体は報じたが、「大樹」については作品名を伏せ、受賞者名だけ伝えた。香港メディアによると、同作は中国大陸で上映が許されていない。
中国メディアは昨年の金像奨でも、中国の締め付けで自由がなくなった10年後の香港を描いた「十年」の受賞を報じなかった。監督の1人、欧文傑さんは「大樹」の3人の監督の1人にも名を連ねており、上映不許可との関連が指摘される。