「おんな城主 直虎」男説補強 京都で江戸後期の新史料発表
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の主人公・井伊直虎は井伊家の女性でなく、戦国大名の今川家から送り込まれた別人の男性だったことを示す2例目の文書を見つけた、と井伊美術館(京都市東山区)が10日、発表した。
現在有力な説では、井伊直盛の娘次郎法師が直虎を名乗り、戦国時代に遠江(とおとうみ)国(静岡県西部)の井伊谷(いいのや)を支配したとされる。同館は昨年12月にも、所蔵する彦根藩家老木俣(きまた)家の文書を基に、直虎は別人の男性と発表した。
今回の文書は、同館所蔵の「河手家系譜」。河手家は彦根藩の重臣だったが、本家筋は江戸前期に断絶し、1853(嘉永6)年に再興された。系譜は、分家筋の子孫良旭が1830(文政13)年までに記し、その子良寛が他の文書を引用して追記したという。
同館によると、直虎に関する記述は全て追記で、2カ所に「直虎」の名が読める。「次郎」や「井伊次郎」とも記され、前後の内容から、この「直虎」と同一人物とする。また河手家の先祖景隆(かげたか)について「景隆、井伊次郎に属す。この次郎は御家(井伊)の者ではない。今川のものなり」との記述があった。景隆は、女性の次郎法師を後見したとされるが、その次郎法師は直盛の娘だと朱で追記されていた。系譜の筆跡は、比較する史料がなく鑑定はできないという。
井伊達夫館長(74)が昭和40年代に入手。いったん手放したが、20年ほど前に美術商から購入した。今回、「正しい歴史を残したい」と発表したという。会見に同席した京都女子大の母利美和教授(58)は「前回の別の家の史料と内容が一致し信頼性が高い。二次史料だが、積み重ねることで事実に近づく。直虎は別人の男性だ」と話した。
【 2017年04月11日 08時38分 】