1月23日。天皇陛下の退位をめぐる政府の有識者会議は、今の陛下に限った退位を推奨する論点整理をまとめ、安倍晋三首相に手渡した。事実上、政府が検討する「一代限り」の方針を後押しする内容となった。

 記者会見で今井敬座長は、一代限りとした理由として「譲位はもともと非常に問題」「皇統の継続に非常に問題があることを理解して欲しい」と語った。

 宮内庁関係者によると、この言葉に、納得がいかない表情を浮かべた人物がいた。天皇陛下だった。

 陛下の退位の意向は、象徴天皇の理想像を完遂させる思いからだ。即位以降、象徴のありようを模索し、ハンセン病療養施設や被災地の訪問を重ねるなど、国民に寄り添う姿勢を貫いてきた。体力の衰えによりその活動ができなくなるなら、次の世代に譲るべきだという信念があった。

 歴代の歩みで、譲位した天皇は…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら