5月の韓国大統領選の世論調査で独走を続けていた左派系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表だが、ここにきて異変が起きている。中道左派の野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)元代表の猛追を受け、「一騎打ちでは文氏不利」との調査も出た。「極左」の文氏に比べて「現実的」とされる安氏だが、どちらが勝っても朝鮮半島の「赤化統一」の流れは変わらないとの見方もある。
安氏はコンピューターウイルス対策ソフトの開発で成功し、「韓国のビル・ゲイツ」とも呼ばれた。その後大学教授に転身し、若者にカリスマ的な人気を集めた。
前回の2012年12月の大統領選でも立候補を表明したものの、野党候補一本化のため文氏に譲る形で出馬を取り下げた。今回は安氏にとってリベンジを期す大統領選となる。
安氏は、政策的には、慰安婦問題をめぐる日韓合意については文氏と同じく、再交渉を求めている。一方、米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の韓国配備に関して「合意を守るべきだ」とし、現実的なスタンスを取る。
文氏よりもソフトなイメージがあるため、保守派も安氏に接近している。保守系の有力候補とみられながら、大統領選への出馬を取りやめた潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長の支援グループは安氏支持を打ち出した。
最近の世論調査では、安氏は文氏に続く支持を集めている。さらに6日の韓国紙、中央日報(日本語版)は同紙の調査研究チームが実施した世論調査で、文氏と安氏の一騎打ちとなった場合、文氏支持が42・7%だったのに対し、安氏支持が50・7%で、安氏が優位だと報じた。