パリ〜ルーベ2017
ルーベ詳報 史上最速のパヴェ決戦でヴァンアーヴェルマートがモニュメント初制覇
残り30km地点の難易度2つ星のタンプルーヴで決定的な動きが生まれた。メイン集団から抜け出し、キャリア最終レースのトム・ボーネンらを振り切った5名がヴェロドロームでスプリント。グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシング)がパリ〜ルーベ初制覇を果たした。
追い風に背中を押されてルーベを目指すハイスピードな展開
快晴のフランス北部で開催された第115回パリ〜ルーベ。パリ近郊のコンピエーニュからベルギー国境近くのルーベに向かって北上するレースには南風が吹き付けた。つまりコースの大半は追い風基調となり、序盤からアタックが決まらない高速な展開となる。
平均スピード51km/hという猛烈な速さで最初の1時間を駆け抜けた集団からミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)ら5名が先行したが、最初の石畳セクターを待たずして吸収される。タイム差が1分を超える逃げが生まれない状況のまま連続石畳が始まった。
続いてイエール・ワライス(ベルギー、ロット・ソウダル)とミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)が先行開始し、ここにスティーン・ヴァンデンベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール)もジョイン。先頭トリオが1分弱のリードで淡々と逃げた一方で、カチューシャ・アルペシンやクイックステップフロアーズ、ボーラ・ハンスグローエを先頭に進む集団の中では石畳セクターを完全に塞ぐような落車が頻発した。
2014年大会覇者ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)やオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)、ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)が落車の被害にあい、ボーネンの重要なアシストであるテルプストラはリタイアを強いられた。落車による分裂と合体を繰り返しながら進む集団内では、No.20 メン〜モンショー・シュル・エカイヨンでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)も落車。チームメイトを総動員させたが、ヴァンアーヴェルマートの集団復帰には長い時間がかかることになる。
残り100km地点のNo.19 アヴルイ〜ワレーでトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が加速。この動きによって集団は50名ほどに絞られた状態で難易度5つ星のNo.19 アランベールに突入した。
トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)を先頭に突っ切ったアランベールの森で大きな脱落者は生まれず。アランベール通過後にメイン集団を飛び立ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が単独で逃げ続けていたワライスにブリッジ成功。新たに先頭2人となったが、この逃げの終焉は近かった。
残り30km地点でヴァンアーヴェルマートやスティバルが先行
遅れていたアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)とヴァンアーヴェルマートを含む第2集団は長い追走の末に集団復帰。一旦ペースが落ち着いて迎えたNo.17 ワレー〜エレームでトレック・セガフレード勢がペースアップすると、ボーネンを欠いた10名が先行を開始した。
残り77km地点、ボーネン不在を知ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とともにアタック。ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)とジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が合流したが、サガンはパンクによってボーネン率いる集団に逆戻りしてしまう。
先行するストゥイヴェンとオスを追う形で、No.15 ワルレン〜ブリオンとNo.14 ティロワ〜サール・エ・ロジエール、No.13 バーヴリ・ラ・フォレでボーネンが断続的にアタック。下ハンドルを握りしめて石畳を突き進んだがライバルたちをふるい落とすことはできない。
逆にユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)とジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)、ディミトリ・クライス(ベルギー、コフィディス)が抜け出し、淡々と45秒差で逃げる先頭オスとストゥイヴェンに合流成功。すると難易度5つ星のNo.11 モンサンペヴェルで今後はゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)が動いた。
スティバルの動きに乗じて世界王者サガンも加速すると、この5つ星セクターで集団は10名にまで絞られる。ボーネン率いるこの精鋭集団は残り40km地点で逃げ5名をキャッチ。BMCレーシングは攻撃の手を緩めず、再びオスが先行する。
先頭オスを追ってカウンターアタックしたスティバルにはサガンがチェック。しかし、ボーネンを振り切った肝心のタイミングでサガンは再びパンクしてしまう。複数回のパンクに苦しめられたサガンはその後の石畳で精鋭集団から脱落してしまった。
集団から抜け出したスティバルとルーランズ、セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)には、No.10 タンプルーヴでヴァンアーヴェルマートとモスコンが追いつき、そのまま先頭オスまでジャンプする。フィニッシュまで30kmを残したタイミングで生まれたこの動きにボーネンは乗り遅れた。
先頭7名(オス、ヴァンアーヴェルマート、スティバル、ルーランズ、ストゥイヴェン、モスコン、ラングフェルド)から、ボーネンやサガン、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)を含む集団まで40秒。ボーネン集団は後続が追いついて人数を増やしたが、先頭グループにチームメイトを送り込んでいるチームの多さから積極的な追走態勢を組むことができないまま残り20kmを切る。
オスの献身的な引きによって先頭グループはタイム差40秒をキープしたままNo.5 カンフィン・アン・ペヴェルをクリア。後方ではボーネンが全開走行したがタイム差は縮まらなかった。
最後の難易度5つ星No.4 カルフール・ド・ラルブルでヴァンアーヴェルマートが踏むと、先頭はヴァンアーヴェルマート、スティバルとラングフェルドの3人に絞られた。モスコンとストゥイヴェンの2人が追走し、その後ろにボーネン集団という展開で難易度の高い石畳セクターを全て終える。フィニッシュまで15kmを残して、事実上、3名の逃げ切りが決まった。
ヴァンアーヴェルマートとのスプリントに持ち込みたくないスティバルが残り4km地点で仕掛けたものの、リオ五輪金メダリストは落ち着いてこの動きを対処する。最後の滑らかな石畳No.1 ルーベを越えてフラムルージュを通過。先頭3名のままヴェロドロームに入った。
後続が追いつき、ヴェロドロームで5名によるスプリントへ
スティバルを先頭に鐘を聞き、周長500mバンクの上部までしっかり使って牽制を続ける3名には残り半周でモスコンとストゥイヴェンが合流。そのまま加速したモスコンに合わせる形でスティバルが先頭にたって第4コーナーを抜ける。しかしホームストレートでヴァンアーヴェルマートが捲り上げた。ハンドルを叩いて悔しがるスティバルを背に、ヴァンアーヴェルマートが先着した。
「キャリア初期、初めてルーベのヴェロドロームを訪れた時、このレースで勝つのは不可能だと思った。でもそれから10年という月日が経ち、今日こうして勝利をつかんだ。この勝利に向けてトレーニングを積み重ねてきた結果だ。毎年家族と力を合わせて能力を伸ばし、パリ〜ルーベで勝ったんだ」。ベルギー・フランドル地方ロケレン出身の31歳は感慨深く勝利の味をかみしめる。
「メカトラで後退した時、落ち着いていたし、チームメイトにサポートされて問題をクリアすることができた。追走に時間がかかったけど、力を無駄遣いすることなく集団に復帰。そこから素晴らしい走りを見せたダニエル・オスとともにチームとして動くことができたんだ。少人数のスプリントでは何度も勝っているので、ヴェロドロームでの勝負に持ち込むことができれば勝てると思っていた。ジャスパー(ストゥイヴェン)とモスコンの合流は予想していなかったけど、惑わされることなく万事順調にスプリントした」。序盤からの高速な展開と追い風によって、この日の平均スピードは史上最速45.204km/hに及んだ。
ヴァンアーヴェルマートは今シーズンオンループ・ヘットニュースブラッドとレコードバンク・E3ハーレルベーケ、ヘント〜ウェヴェルヘムで勝利し、1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンでは2位。輝かしいキャリアに初めてモニュメント(5大クラシック)のタイトルを加えることに成功した。「オリンピックの金メダルがキャリア最大の勝利だけど、こうしてモニュメントのタイトルを獲得することは最高だ。モニュメントで勝つ日がやってくると信じて競技に打ち込んできた結果であり、この勝利が次の勝利につながると思う。トム・ボーネンの最終レースで勝利した意味も大きい」。
スプリントで敗れて2位に入った元シクロクロス世界チャンピオンのスティバルは「今日はトム(ボーネン)が絶対的エースで、結果的に自分で勝利を狙う展開になったけど、残り4kmまではあくまでもトムのためのレースだった。レース前半からアシストとして動いて(消耗して)いたので役割のスイッチは簡単ではなかったよ。それに、常に(ヴァンアーヴェルマートらの)番手につけていたけど、パリ〜ルーベではスリップストリームに入っていることのアドバンテージは少ない。トムの合流が実現せずに残念な結果になってしまった」とコメント。自身2度目の2位だが、エースを勝たせることができなかった悔しさを滲ませた。
ボーネンは12秒遅れの集団内(13位)でフィニッシュラインを切り、そのキャリアに終止符を打っている。ロジェ・デフラミンク(ベルギー)と並ぶ史上最多パリ〜ルーベ4勝の記録を胸に、ボーネンはヴェロドロームを後にした。
選手コメントは【GVA「この勝利が次の勝利につながる」ボーネン「残り5kmで引退を感じ始めた」】をご覧ください。
パリ〜ルーベ2017結果
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 5h41'07"
2位 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)
3位 セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
4位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)
6位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +12"
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
8位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, TDWsport
追い風に背中を押されてルーベを目指すハイスピードな展開
快晴のフランス北部で開催された第115回パリ〜ルーベ。パリ近郊のコンピエーニュからベルギー国境近くのルーベに向かって北上するレースには南風が吹き付けた。つまりコースの大半は追い風基調となり、序盤からアタックが決まらない高速な展開となる。
平均スピード51km/hという猛烈な速さで最初の1時間を駆け抜けた集団からミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)ら5名が先行したが、最初の石畳セクターを待たずして吸収される。タイム差が1分を超える逃げが生まれない状況のまま連続石畳が始まった。
続いてイエール・ワライス(ベルギー、ロット・ソウダル)とミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)が先行開始し、ここにスティーン・ヴァンデンベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール)もジョイン。先頭トリオが1分弱のリードで淡々と逃げた一方で、カチューシャ・アルペシンやクイックステップフロアーズ、ボーラ・ハンスグローエを先頭に進む集団の中では石畳セクターを完全に塞ぐような落車が頻発した。
2014年大会覇者ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)やオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)、ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)が落車の被害にあい、ボーネンの重要なアシストであるテルプストラはリタイアを強いられた。落車による分裂と合体を繰り返しながら進む集団内では、No.20 メン〜モンショー・シュル・エカイヨンでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)も落車。チームメイトを総動員させたが、ヴァンアーヴェルマートの集団復帰には長い時間がかかることになる。
残り100km地点のNo.19 アヴルイ〜ワレーでトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が加速。この動きによって集団は50名ほどに絞られた状態で難易度5つ星のNo.19 アランベールに突入した。
トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)を先頭に突っ切ったアランベールの森で大きな脱落者は生まれず。アランベール通過後にメイン集団を飛び立ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が単独で逃げ続けていたワライスにブリッジ成功。新たに先頭2人となったが、この逃げの終焉は近かった。
残り30km地点でヴァンアーヴェルマートやスティバルが先行
遅れていたアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)とヴァンアーヴェルマートを含む第2集団は長い追走の末に集団復帰。一旦ペースが落ち着いて迎えたNo.17 ワレー〜エレームでトレック・セガフレード勢がペースアップすると、ボーネンを欠いた10名が先行を開始した。
残り77km地点、ボーネン不在を知ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とともにアタック。ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)とジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が合流したが、サガンはパンクによってボーネン率いる集団に逆戻りしてしまう。
先行するストゥイヴェンとオスを追う形で、No.15 ワルレン〜ブリオンとNo.14 ティロワ〜サール・エ・ロジエール、No.13 バーヴリ・ラ・フォレでボーネンが断続的にアタック。下ハンドルを握りしめて石畳を突き進んだがライバルたちをふるい落とすことはできない。
逆にユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)とジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)、ディミトリ・クライス(ベルギー、コフィディス)が抜け出し、淡々と45秒差で逃げる先頭オスとストゥイヴェンに合流成功。すると難易度5つ星のNo.11 モンサンペヴェルで今後はゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)が動いた。
スティバルの動きに乗じて世界王者サガンも加速すると、この5つ星セクターで集団は10名にまで絞られる。ボーネン率いるこの精鋭集団は残り40km地点で逃げ5名をキャッチ。BMCレーシングは攻撃の手を緩めず、再びオスが先行する。
先頭オスを追ってカウンターアタックしたスティバルにはサガンがチェック。しかし、ボーネンを振り切った肝心のタイミングでサガンは再びパンクしてしまう。複数回のパンクに苦しめられたサガンはその後の石畳で精鋭集団から脱落してしまった。
集団から抜け出したスティバルとルーランズ、セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)には、No.10 タンプルーヴでヴァンアーヴェルマートとモスコンが追いつき、そのまま先頭オスまでジャンプする。フィニッシュまで30kmを残したタイミングで生まれたこの動きにボーネンは乗り遅れた。
先頭7名(オス、ヴァンアーヴェルマート、スティバル、ルーランズ、ストゥイヴェン、モスコン、ラングフェルド)から、ボーネンやサガン、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)を含む集団まで40秒。ボーネン集団は後続が追いついて人数を増やしたが、先頭グループにチームメイトを送り込んでいるチームの多さから積極的な追走態勢を組むことができないまま残り20kmを切る。
オスの献身的な引きによって先頭グループはタイム差40秒をキープしたままNo.5 カンフィン・アン・ペヴェルをクリア。後方ではボーネンが全開走行したがタイム差は縮まらなかった。
最後の難易度5つ星No.4 カルフール・ド・ラルブルでヴァンアーヴェルマートが踏むと、先頭はヴァンアーヴェルマート、スティバルとラングフェルドの3人に絞られた。モスコンとストゥイヴェンの2人が追走し、その後ろにボーネン集団という展開で難易度の高い石畳セクターを全て終える。フィニッシュまで15kmを残して、事実上、3名の逃げ切りが決まった。
ヴァンアーヴェルマートとのスプリントに持ち込みたくないスティバルが残り4km地点で仕掛けたものの、リオ五輪金メダリストは落ち着いてこの動きを対処する。最後の滑らかな石畳No.1 ルーベを越えてフラムルージュを通過。先頭3名のままヴェロドロームに入った。
後続が追いつき、ヴェロドロームで5名によるスプリントへ
スティバルを先頭に鐘を聞き、周長500mバンクの上部までしっかり使って牽制を続ける3名には残り半周でモスコンとストゥイヴェンが合流。そのまま加速したモスコンに合わせる形でスティバルが先頭にたって第4コーナーを抜ける。しかしホームストレートでヴァンアーヴェルマートが捲り上げた。ハンドルを叩いて悔しがるスティバルを背に、ヴァンアーヴェルマートが先着した。
「キャリア初期、初めてルーベのヴェロドロームを訪れた時、このレースで勝つのは不可能だと思った。でもそれから10年という月日が経ち、今日こうして勝利をつかんだ。この勝利に向けてトレーニングを積み重ねてきた結果だ。毎年家族と力を合わせて能力を伸ばし、パリ〜ルーベで勝ったんだ」。ベルギー・フランドル地方ロケレン出身の31歳は感慨深く勝利の味をかみしめる。
「メカトラで後退した時、落ち着いていたし、チームメイトにサポートされて問題をクリアすることができた。追走に時間がかかったけど、力を無駄遣いすることなく集団に復帰。そこから素晴らしい走りを見せたダニエル・オスとともにチームとして動くことができたんだ。少人数のスプリントでは何度も勝っているので、ヴェロドロームでの勝負に持ち込むことができれば勝てると思っていた。ジャスパー(ストゥイヴェン)とモスコンの合流は予想していなかったけど、惑わされることなく万事順調にスプリントした」。序盤からの高速な展開と追い風によって、この日の平均スピードは史上最速45.204km/hに及んだ。
ヴァンアーヴェルマートは今シーズンオンループ・ヘットニュースブラッドとレコードバンク・E3ハーレルベーケ、ヘント〜ウェヴェルヘムで勝利し、1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンでは2位。輝かしいキャリアに初めてモニュメント(5大クラシック)のタイトルを加えることに成功した。「オリンピックの金メダルがキャリア最大の勝利だけど、こうしてモニュメントのタイトルを獲得することは最高だ。モニュメントで勝つ日がやってくると信じて競技に打ち込んできた結果であり、この勝利が次の勝利につながると思う。トム・ボーネンの最終レースで勝利した意味も大きい」。
スプリントで敗れて2位に入った元シクロクロス世界チャンピオンのスティバルは「今日はトム(ボーネン)が絶対的エースで、結果的に自分で勝利を狙う展開になったけど、残り4kmまではあくまでもトムのためのレースだった。レース前半からアシストとして動いて(消耗して)いたので役割のスイッチは簡単ではなかったよ。それに、常に(ヴァンアーヴェルマートらの)番手につけていたけど、パリ〜ルーベではスリップストリームに入っていることのアドバンテージは少ない。トムの合流が実現せずに残念な結果になってしまった」とコメント。自身2度目の2位だが、エースを勝たせることができなかった悔しさを滲ませた。
ボーネンは12秒遅れの集団内(13位)でフィニッシュラインを切り、そのキャリアに終止符を打っている。ロジェ・デフラミンク(ベルギー)と並ぶ史上最多パリ〜ルーベ4勝の記録を胸に、ボーネンはヴェロドロームを後にした。
選手コメントは【GVA「この勝利が次の勝利につながる」ボーネン「残り5kmで引退を感じ始めた」】をご覧ください。
パリ〜ルーベ2017結果
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 5h41'07"
2位 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)
3位 セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
4位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)
6位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +12"
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
8位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
9位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, TDWsport
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