中朝国境の丹東市の鴨緑江にかかる「中朝友誼橋」。7日午前、ここを通って北朝鮮に向かうトラックが確認された。地元の関係者が産経新聞に証言したところによれば、以前は1日400台以上橋を渡ったが、いまは半分ほどに激減した。
橋周辺には警察の特殊部隊の装甲車が警戒しており、緊張感が漂う。
■北、首脳部標的に激しく反応
米トランプ政権内で持ち上がる対北先制攻撃論に、中国よりも過敏に反応したのは、当事者の北朝鮮である。
「いま一度警告しておく。わが軍の攻撃手段は米本土まで射程に収め、常時、発射待機状態にある」
北朝鮮が日本海に弾道ミサイルを発射した5日、朝鮮労働党機関紙、労働新聞は論評でこう警告した。実施中の米韓合同演習の目的が「北の首脳部除去」や核・ミサイル施設への先制攻撃にあるとも非難した。
北朝鮮外務省が3月末に平壌駐在の各国外交官を集めた異例の説明会でも、米韓演習は対北「先制攻撃」が目的だと批判した。
特に北朝鮮が問題視するのが米特殊部隊を韓国に引き入れ、演習で展開する「最高尊厳を狙った特殊作戦」だ。
今回の演習で2011年に国際テロ組織、アルカーイダの指導者だったビンラーディン容疑者を殺害した米海軍特殊部隊が投入され、有事に金正恩党委員長を含む北指導部を排除する訓練も実施していると韓国メディアが報じたことへの反発のようだ。
北朝鮮メディアは、「死の白鳥」と呼ばれる米B1B戦略爆撃機やF35Bステルス戦闘機の韓国上空の展開について「いつ、何回出撃させた」かを詳細に報じ、米国を牽制(けんせい)している。だが、韓国軍関係者は「事実と異なる」と否定し、逆に探知能力の限界を露呈させた。