籠池氏の金もうけの手法に憤る図越氏

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 学校法人「森友学園」(大阪市)が運営する「塚本幼稚園」でPTA会長を務めていた男性が学園の実態を激白した。学園の運営に協力し、国有地取得問題などが発覚した後も、幼稚園長だった籠池(かごいけ)泰典前理事長らを擁護していたが、3月末で関係を絶ち、刑事告発も検討しているという。学園と籠池氏を見限った理由を聞いた。

 夕刊フジの取材に応じた大阪市北区の会社経営、図越(ずごし)寛氏(36)は、3月16日に開かれた塚本幼稚園の卒園式の異様な様子を明かした。

 籠池氏の妻で副園長の諄子(じゅんこ)氏が、園児や保護者の前で「(籠池氏は)少しでも多めにいただきたいと思って、『鉛筆なめなめ』(数字をごまかす)したのかもしれません。悪気はないんです」と語ったという。学園が開校を計画していた小学校の校舎建築費で、異なる3通の契約書が存在する疑惑が浮上したことの釈明だった。

 園長の籠池氏も「安倍晋三首相の昭恵夫人から100万円の寄付を受けた」と初めて公言。「籠池砲は宇宙戦艦ヤマトの波動砲より大きい。(政権が)吹っ飛ぶ」などとうそぶいた。

 図越氏は2人の発言にあきれ、保護者を代表して一連の疑惑や園の運営について、その場で問いただしたところ、籠池氏から「お前は新聞記者か」などと言われ、マイクを奪われたという。

 図越氏は「2月に疑惑が報道されて以降、学園側は保護者に一切、詳細を説明せず、不誠実な対応を続けていた。園児たちの前で申し訳ないと思ったが、発言せざるをえなかった」と振り返る。

 図越氏は籠池氏の保守的な思想や学園の教育方針に共感し、今春まで長女と次女を同園に通わせ、約2年間、PTA会長を務めた。小学校開校のために学園へ10万円を寄付し、長女を入学させる予定だったが、開校計画は頓挫。3月で卒園した長女を別の小学校に入学させたのに合わせて次女も退園させた。

 学園では現在、幼稚園での常勤職員の配置や障害などで特別な支援を要する「要支援児」の受け入れ人数などに関して大阪府の補助金を多く受け取った疑いが浮上。府が3月31日に幼稚園を立ち入り調査している。

 図越氏が最も問題視しているのが、要支援児の受け入れに応じて府から園児1人当たり年間約78万円が支給される補助金の不正受給疑惑だ。学園側は2015年度に16人を受け入れたとして、約1250万円を受給している。

 図越氏の長女は日常生活に支障はない程度の弱視だが15、16の両年度に学園から診断書を提出するよう求められた。疑惑浮上後、図越氏が府に確認したところ、長女には特別な支援が必要ないにもかかわらず、学園は要支援児として申請、補助金を受給していたことが発覚した。

 16年度からは補助金の受給要件として診断書に加え、保護者の同意書の保管も必要になったが、図越氏は「同意書へのサインを求められなかった」と証言。府も31日の立ち入り調査で同意書を確認できず、16年度分の補助金不交付を決めた。

 補助金適正化法違反容疑などで籠池氏らを大阪地検に告発することも検討しているという図越氏は怒りを込めて語った。

 「他の保護者も軽い食物アレルギーなどで診断書を提出させられ、同意書にサインしていないケースが確認できただけで5件あった。学園と良好な関係を続け、国有地取得問題が出始めた当初も信じていたが、子供をダシに使って、不正な金もうけをするとは言語道断だ」