沖縄戦や沖縄戦後史を題材に平和の尊さを伝える一人芝居などで活躍してきた女優の北島角子(きたじま・すみこ、本名・町田角子)さんが9日午後7時10分、腎細胞がんのため那覇市の病院で亡くなった。85歳。
1931年、本部町生まれ。役者の父・上間昌成さんが巡業していた南洋パラオで戦争を体験した。田井等高校(現名護高)卒業後、父の影響で芝居の道へ。演劇集団「創造」の「人類館」(知念正真作)への出演で従来の沖縄芝居から表現の幅を広げた。
79年の「島口説」(謝名元慶福作)から一人芝居に挑み、自らの作品も次々と生み出した。RBCiラジオの長寿番組「民謡で今日拝なびら」のパーソナリティーも63年から2016年まで務めた。01年からはほぼ毎年、佐喜眞美術館で「こどもの日公演」として芝居を上演した。
1981年に文化庁芸術祭優秀賞。89年に沖縄タイムス芸術選賞大賞。96年に山本安英賞、県文化功労者。99年に県指定無形文化財「琉球歌劇」保持者認定。2006年に琉球新報賞。12年度に県功労者。16年に旭日双光章。
「民謡で-」で長年一緒にパーソナリティーを務めた上原直彦さんは「50年も一緒にやっているときょうだいも同然だ。素晴らしい感性を持ち、激しく駆け抜けた人だった。もっとやりたいこともあっただろう。今は頭が真っ白で『ご苦労さま』としか言えない。後に続く人たちが(北島さんが残したものを)つないでいくことが何よりの供養になる」と惜しんだ。【琉球新報電子版】