憲法改正が難しければ、せめて制度や運営方式くらいでも、穴があいた部分に補修を加えるべきだろう。そうでなければ、秘書室長は1、2週間に1回、経済副首相は2、3カ月に1回大統領に会うといった珍事が今後も続く恐れがある。秘書室長が大統領のかばん持ちに大統領の意向を尋ね、民政首席が検察、警察、国政院、国税庁を手玉に取ったまま大統領と側近の不正を隠す守衛長役を買って出るといった可能性もある。
リーダーと国民が「洗いざらい」「一度に」「すっきり」といった考えから目覚めることができない限り、韓国の「そのまま病」はより深刻化していくことだろう。労組が国を思いのままに翻弄した英国病が、英国を「欧州の患者」として祭り上げるまで15年とかからなかった。「そのまま病」が韓国を「北東アジアの患者」に仕立て上げるのに、それほど長い時間は必要ないだろう。「欧州の患者」は生命が危険な状況ではなかった。「北東アジアの患者」にも、こうした思いがけない幸せが待っているとは限らない。
90歳を過ぎて政治人生を振り返った昔の西ドイツの首相は、ある牧師のお祈り文句を借りて自伝の最後を締めくくった。「私に変えることができないことを受け入れる心をください/変えることができる内容については変える勇気をください/そしてこの二つの違いが理解できるよう知恵をお与えください」。次期大統領が昨日こうしたお祈りとともに人生を振り返っていることを期待する。