次期大統領は3月30日、どんな心で一日を過ごしたのだろうか。一般市民は、一日中複雑な心境だった。世界の視線を考えると、恥ずかしくも感じた。1995年には二人の元大統領が数日の間に相次いで拘束された。2009年には前大統領が捜査中に命を絶った。昨日はわずか20日前まで現職だった大統領が罷兔決定を経て最終的に囚人服を着ることとなった。
韓国は「そのまま病」を病んでいる。大統領たちは、20年前と何ら変わらず青瓦台(大統領府)を出て刑務所に向かう。気の抜けた経済も北朝鮮による核の脅威も依然としてそのままだ。二極化、若者の失業、高齢者の貧困、起業の失敗もやはり変化が見られない。北朝鮮に比べて数十倍の国内総生産(GDP)に、数倍に上る国防予算を組みながらも、韓国の国防が頼りにならない点は、やはり昔と変わらない。
以前より後退した分野も複数ある。米国との関係は昔のようにはいかず、日本との関係は最悪で、中国との関係は断崖絶壁に立たされたも同然だ。政府は4年前に「グリーン成長」という単語が入った看板や表札を数千個捨てた。「創造経済」という単語も、近くその運命をたどることだろう。うまくいっている政府内の部処(省庁に相当)同士をくっつけたり引き離したりするのは、もはや韓国の風土病と化してしまった。「ねじを締める技術は世界で自分たちだけが保有している」といった大企業労組の勘違いぶりは、行き着くところまで行ってしまった。
なりふり構わず体当たりしながら、それでも険しい世の中を懸命に生き抜いてきたと思ったが、目をこすってよくよく見ると昔悩んだ位置から大して成長していないことに気付く。英国童話『不思議の国のアリス』の舞台は「死に物狂いで走ってこそ、現在の位置を保てる国」だ。韓国はまさにこうした国だ。国の中に閉じ込められた人だけが異常に気付かずにいるのだ。