レックス・ティラーソン国務長官が最近韓国を訪れた際、韓国側と「食事」をしなかったことは、どれほど大きな問題だったのだろうか。
外交の舞台で、昼食や夕食などに代表される儀典は、時として必要以上にデリケートな受け止められ方をする。密室でやりとりされる対話の内容がすっきりと公開されることはないため、大衆は外部に表れる儀典を通して、会談が成功したかどうか感じ取ることが多い。外交当局者も「協議の内容が複雑だったり、実質的な成果がなかったりするときは、そのような『絵』をつくる方がずっとPRしやすい」と語る。
こういう観点からすると、韓米外相が夕食会を行わなかったのは確かに残念だ。韓国側の説明のように、実務陣同士の調整過程で意思の疎通が円滑にいかなかった部分があったとするなら、それ自体問題でもある。しかし結論で見ると、韓米関係に大きな傷ができるような、軽はずみな振る舞いをした事案ではなかった。実際、会談は「実利」の側面では悪くなかった。ティラーソン長官は、北朝鮮の核をめぐる韓米間の協調と中国の「高高度防衛ミサイル(THAAD)報復」について、強いメッセージを伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙は「ティラーソン長官は韓国などとの会談を通して、北朝鮮の核・ミサイルの深刻さをはっきりと認識するに至った」と報じた。トランプ政権がこれまでの米国の政権とどれほど違うスタイルをしていようと、また韓国が権力の空白期であろうと、夕食会が1回白紙になったからといって揺らぐほど韓米関係は脆弱(ぜいじゃく)ではない。