サリン
某宗教団体によりその名を一躍知らしめた毒ガス兵器。
元々は第二次大戦中ドイツが開発した有機リン系殺虫剤である。
それを基にナチスドイツが開発したのがこの神経ガスサリンである。
その他にタブン、ソマンがある。これらはGガスと呼ばれている。
サリンの学名はイソプロピルメチルホスホノフルオリデート。
サリンの毒性は強く、一立方メートルの空気中に15mgあるだけで目が痛くなり、55mgだと嘔吐、痙攣、失禁を生じ死に至る。サリン7tを東京上空にばらまけば近隣80キロの地域にまで被害が及び、水爆と同じだけの威力がある。
致死量は100mg、経口ならば0,65mg、無臭、無色で水と同じ揮発性を持つ。
目、口、皮膚から吸収されるため効果的な防御方法はない。
専用の防毒装備はあるが、もって歩くわけにもいかないし。風上に逃げるのが賢明だろう。
もし一滴でも服についたら、大量の水で分解する為、大量の水で洗い流す。しかし、お気に入りの服でもその服は処分した方がよい。
間違ってもハンカチなどで拭いてはならない。
中毒した場合、硫酸アトロピンやプラリドキシムが使われている。
タブン
「おそらく」と言う意味じゃないよ。(笑)
ドイツが開発した神経ガスの一つ。
タブンはサリンの一代前に開発されており、その毒性もサリンに比べれば低い。
しかし、危険であることには変わりなく、中毒の症状もほぼ同じものだ。
ソマン
「Gガス」中、最強の毒ガス。
1937年にタブン、1938年にサリン、1944年にはついにソマンが合成された。
塩素ガス
たぶん毒ガス兵器の祖とも言うべきガス。
一時大戦において初めて使用され、その威力を知らしめた。
1915年、西部戦線イープルで、対フランス・カナダ連合軍戦でドイツ軍が使用し、多大な損害を与え大勝した。
これが「イープルの暗黒日」と呼ばれる毒ガス戦の始まりである。
塩素ガスは黄緑色で空気より重く、カルキ臭くさい。
よって発生すればすぐにわかる。
3〜5ppmの低濃度で鼻や口の粘膜に刺激を感じ、涙や鼻汁が止まらなくなったり咳が出たりする。
それが最大許容量の5〜7ppmになると肺炎や肺水腫を生じ、致死量の100〜1000ppmでは瞬間的な強い呼吸困難に陥り、死ぬ。
この塩素ガス、実は誰でも容易に発生する。
「混ぜるな危険」と書かれている洗剤を混ぜればよい。
でも、実際に作らないように、死にたいのなら別だが・・・。
イペリットガス
1917年ドイツ軍の毒ガス弾がイープルに落とされた。
そのガスは地名にちなんでイペリットガスと呼ばれるが、一方ではそのカラシ臭からマスタードガスとも呼ばれる。
イペリットガスは糜爛性毒ガスというタチの悪いもので、皮膚に付いただけで患部がただれる。
よってガスマスクだけでは防げない。
症状は4〜6時間後に起き、汚染されていることに気付かない場合がある。
糜爛した箇所は他の病気に感染しやすくなり、悪化しやすい。
治療にも長期の時間がかかる。さらに発ガン性もあり、その効果も強い。
だが逆にそこからたくさんの制ガン剤が作られたりもした。
現在は、イペリットガスより凶悪な糜爛性毒ガス、ルイサイトが開発されている。
VX
化学兵器の中で最凶の威力を持つガス。
化学名をO−エチル−S−ジイソプロピルアミノエチルメチルホスホノチオレートという。
無色、無臭で呼吸および皮膚より吸収される。
揮発性が低いため主に砲弾に詰められたり、噴霧器によってまかれたりして使用する。たまに注射器で直接かけられるが・・・。
目や皮膚から速やかに吸収され、呼吸困難、筋肉の弛緩、嘔吐、発汗などが起こりその後、筋肉が痙攣し呼吸が停止、死に至る。