http://digital.asahi.com/articles/DA3S12883845.html
前提として、自分はこの新聞記事しか読んでいないし、もとの研究は参照していない。
「日本国憲法は、国民の権利や自由を守るために、権力を制限する仕組みを定めている」正しいか。
「正しい」と答えた生徒が81.1%。
多分、よくわかんなかったら、「間違っている」を選ぶ生徒より「正しい」を選ぶ生徒の方が多いと思うから、ある程度多めに出てると思う。
まあ、それは仕方がないし、問題ない。
「法の支配とは、法によって人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えるべきであるという考え方をいう」正しいか。
「正しい」と答えたのは64.2%、「間違っている」と答えたのが35.0%。正解は「間違っている」。
どうだろうか。高校生の多くが「法の支配」という用語を知らないという結論しか出せないと思う。
「法が人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えている」のは事実であるし、それを「法の支配」と形容するのは、「法の支配」という言葉を知らないならば、割と自然だ。
高校何年生に聞いたのかは分からないからなんとも言えないが、この用語は一応必修科目である公民で、一度は聞いたことがあるはずではある。
ただし、公民科は大学受験で使わない生徒が多く、手を抜きがちである。その事実を反映したに過ぎない。
重要なことは「法の支配」という用語を知っているかでなく、「国家権力が法に縛られる」という考えを理解しているかどうかのはずだ。
ここは『法律が縛っているものを以下の選択肢から選べ』というような質問であるべきであったのではないか。
「日本国憲法では拷問は禁止されているが、拷問によって得た自白が真実であるなら、その自白を有罪の証拠としても構わない」正しいか。
正答の「間違っている」が66.2%。
朝日新聞はこの数字が低いという認識のようだ。確かに低いのだが、
「拷問は人権侵害」「拷問で得た自白は信頼できない」という、拷問禁止の主な理由の内1つを「拷問によって得た自白が真実であるなら」とよくわからない仮定をして封じている以上、
なぜならば、「拷問は人権侵害→拷問禁止」、「拷問による自白は信頼できない→証拠にはできない」は明らかだが、
「拷問は人権侵害→拷問で得た自白は証拠として良い」は必ずしも明白ではない。
類似の論点として「人体実験で得たデータは、研究に用いるべきではない」がある。
少なくともこの問いのデータを以って、「冤罪への想像力が足りない」とは言えない。
「多くの人命にかかわる重大な犯罪が発生しようとしている場合、共犯者と考えられる人に自白を強要してもいいと思う」どう考えるか。
「とてもあてはまる(25.6%)」+「まぁあてはまる(42.2%)」、よって肯定派は約7割。
これまでの質問は一応正答が設定できる問題だったと思うが、これは正答が存在しない問題ではないか。
多くの人命にかかわる重大な犯罪として、爆弾を設置されたことは分かっているが、爆弾の位置がわからないという状況を考えよう。
「共犯者と断定するには貧弱な証拠しかなく、本人も否認している」という状況ならば、自白は強要すべきでないだろう。
「共犯者とする強力な証拠が存在し、本人も犯行をほのめかしている」という状況ならば、多くの命を救うために、爆弾の位置を自白させるべきだろう。
「暴力を使っても良い」「家族を脅しに使っても良い」などでも、否定よりに傾く人は多いだろう。
「強要」だけならば、「嫌がっている自白をさせる」以上の意味にはなれないし、否認している被疑者に自白させようとする行為は全て「強要」と言えなくもない。
暴力を想定する人もいるだろうし、脅しを想定する人もいるだろうが、「強要」という言葉でどこまでを想像するかは人それぞれなのである。
「証拠にする」「命を救う」の違いだけなら、比較に意味があるけど、それに加えて「拷問」と「強要」という要素も違うとちょっと必要性がかなり下がるような
自白強要が悪だと知りつつも、多くの人命を奪う、より大きな悪を避けるためには仕方ないとする考えがうかがえる。問題は、悪いやつだとだれが、どのように決めるのか。自分が悪いやつだと決めつけられたらどうするか。その気づきをどう深めるかが授業のポイントになる
朝日が取り上げなかっただけかもしれないが、「自白強要が悪か」と聞いた問いはこの中に含まれていない。
「悪いやつだとだれが、どのように決めるのか」という問題を設定するならば、共犯者と考えられる人というのをもうちょっとちゃんと設定してほしい。
「法が人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えている」のは事実である 「厳しい」という箇所は事実ではない。