司法修習で選んだ「裁判官」という仕事
島根では、まとまった期間、弁護士の仕事に付いて行って見学することもできた。山深く、人の少ない集落を訪ね、法律相談をしたくてもできない人たちの話を親身になって聞く姿を見た。いつか弁護士に。そんな思いを持って慎子さんは司法修習に入った。
司法修習は、司法試験を合格した人が実際に弁護士、検察官、裁判官として働く人から実務について学び、それぞれの職場で仕事を体験することができる。この時期、慎子さんは裁判官の仕事の面白さに気づき、同時に、裁判官にならないかと司法研修所の先生から進路の提案を受けた。裁判官は立場が違っても、法律が必要な人のために働く仕事。法律家として分野を問わず多くのことに関わりたいと考え、自身の裁量が大きい裁判官という仕事にも興味を持った。弁護士には、元は裁判官や検察官として働いた経験を生かして働く人がおり、今すぐでなくても弁護士への道は開けている。家族や友人、司法修習で会った多くの人たちに相談し、悩みぬいた末に、裁判官になることに決めた。
新聞社の夫も「育休」を取得
中馬さんと長男
こうして悩みに悩みぬいて現在裁判官として働いている中馬さん。子育て中のママとしても日々勉強中だ。大学時代の同級生の夫の健作さんとともに、日々大きくなる長男に四苦八苦しながら奮闘している。健作さんは、新聞社の整理部で働く。整理部は、記者の書いた記事を元に見出しや記事の配置を考えるのが仕事。午後から出社することが多いので、朝の保育園の送りは、健作さんの仕事だ。有給休暇や育児休業の制度を利用して、2カ月間会社を休んで育児に励むイクメンパパでもある。お互いに助け合って、お互いが仕事を続けられている。
育児休業は、1991年に育児・介護休業法が施行されてできた制度で、度々の改正により、内容は更新されている。各企業は「育休」を利用して戻ってきた女性社員がいることをアピールしてはいるが、まだまだ男性が取得した例は少ない。浸透しつつある「育休」制度は、現場ではどのように仕事を分担して、社員に「育休」をとってもらうのか運用段階での試行錯誤は続いている。「女性活用」の社会を目指す中で、仕事にやりがいを求め、かつ子どもを産み育てていきたい女性には歯がゆいことも多いと聞く。筆者もこの記事を書くにあたり、「育休」を取らずに仕事を続けることをあきらめた人や、子どもを産むにあたって仕事を続けるべくか悩む複数の女性に話を聞き、こうした現状を知った。