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【社会】

築地のまま再整備なら… 期間7年、工費734億円

8日公表される築地市場の再整備案の完成予想図(上)。航空写真の現状施設部分をカットし、代わりに新施設のイメージをはめ込んで作成。(下)は現在の築地市場

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 東京都の築地市場(中央区)の移転問題を審議する市場問題プロジェクトチーム(PT)の都専門委員がまとめた築地市場の現在地での再整備案の全容が判明した。案では、期間は七年、工事費は七百三十四億円と算出。移転を取りやめる豊洲市場(江東区)は民間に売却する計画にしている。

 八日午後零時半から業者を対象に築地市場で開かれる説明会で、築地再整備案と豊洲市場移転案の二案を示す。再整備は過去に市場業界との調整が難航し、頓挫している。実現するかどうかは、業界の合意形成が課題となる。

 再整備案は、PTの小島敏郎座長(元環境省審議官)が三月に公表した改修案をより具体化。案では、営業を続けながらアスベスト(石綿)除去や建て替えなどの工事をする。一階を市場、二階を駐車場として利用する。敷地内の飲食店を移転させるなどして売り場の仮設地を確保し、部分的な移転を繰り返しながら工事を進めていく。設計に一年半、工事に五年半の計七年かかるとしている。

 築地市場の敷地は過去、米軍のドライクリーニング工場などがあり、都は土壌汚染の恐れがあるとしているが、工事費には土壌汚染対策費は含まれていない。

 豊洲市場の処分案も盛り込んだ。建物を解体し、容積率を緩和すれば、土地の評価額の向上が見込めると判断。五十階建ての高層マンションや商業施設などの開発例を示し、三千二百億〜四千三百七十億円の売却益が得られ、これまでに投じられた整備費約六千億円の一部が回収できるとしている。

 築地の再整備は一九九〇年代に都が取り組んだが、実現しなかった。四百億円かけて工事を進めてはみたが、敷地が狭いため「営業に支障が出る」と業者から強い反発が出て中断し、移転へとかじを切った経緯がある。

 

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