IoT時代のソフトウェア開発者に求められるUI/UXデザインの秘訣とは
IPA/SECが事例を元にまとめた資料を公開
スマートデバイスが普及し声高に叫ばれるようになってきたのが、UX(ユーザー体験)のデザインである。スマートフォンの先駆けとなったiPhoneは、その洗練されたUI(ユーザーインターフェース)や連携サービスなどによって生み出されるUXが評価され、若年層から高齢者に到るまで、万人が使いやすいデバイスとして人気を集めた。
この傾向は来たるIoT時代も同様である。特にモノとモノを繋ぐことによって新しい価値を生み出すIoT製品においては、デバイスの性能や機能だけではなく、サービスを含めたUXの優劣が製品の成否を分けることになりそうだ。
UI/UXのデザインといえばマーケティングやデザインの担当者が中心となって行うケースが多いように思う。しかし、IoT製品においてはUXを含めた機能はソフトウェアで実現されることが多く、すなわち製品の安全性や使いやすさはソフトウェアが担うことになる。
こうしたことを背景に、今後はソフトウェア開発者にもUI/UXを意識した開発が求められるのではないだろうか。
この度、独立行政法人 情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(IPA/SEC)は、IoT時代に向けた利用者の特性や利用状況を考慮してIoT製品/サービスを開発するポイントを紹介した報告書「つながる世界の利用時の品質~IoT時代の安全と使いやすさを実現する設計~」を公開した。
このように、IoTに関して製品・サービスの利用時品質を体系的に整理したものはこれまでなかったという。
この報告書は、マーケティングやデザインの担当者とソフトウェア開発者が課題認識を共有し、製品開発に協力して取り組むための留意点を紹介している。UI/UXを専門とする特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)と連携し、まとめた。
利用時の品質を考慮する際に必要な視点とは
IoT時代となって、数多くの製品やサービスが広まったとき、若年層や高齢者などIoT製品やサービスの利用経験が少ないユーザーが増えることも想定され、誤操作などにより安全を脅かす重大な事故につながる恐れもある。これを予防するためにも、安全性や使いやすさが考慮されたUI/UXデザインが重要となる。
本報告書では、IoTによってネットワークに繋がっていくであろう家電・自動車・モバイル製品などを対象に「利用時の品質」を考慮しなかったがために発生した失敗事例、及び、利用者目線で考慮できたことによる成功事例などを収集・整理し、課題を導いた上で考慮すべき視点などを紹介している。
本報告書によれば、以下のような15の視点に分類できるという。
●組織文化に関するもの
視点1:つながる世界の利用時の品質を意識する
視点2:他部門と連携して取り組む文化を作る
視点3:自社や顧客の責任者の意識を変える
視点4:利用時の品質向上に関わる人材を育成する
●把握・分析に関するもの
視点5:ユーザの特性や経験、文化、利用環境を考慮する
視点6:ユーザ経験を収集・分析・評価する
視点7:間接・受動的なユーザやプライバシーにも配慮する
視点8:利用状況や利用環境の変化の影響を考慮する
●設計に関するもの
視点9:企画・設計段階からユーザを巻き込む
視点10:ユーザを安全な操作に導く設計をする
視点11:第三者に機能や情報を使わせない設計をする
視点12:操作結果やメッセージを確実に伝える設計をする
●保守・運用に関するもの
視点13:ユーザや関係者からフィードバックを得る仕組みを作る
視点14:知見を開発時及び出荷後の利用時の品質向上に活用する
視点15:つながるリスクの周知と安全設定の仕組みを作る
今後、多様なIoT製品が生み出されてくるであろうことを考えると、こうしたユーザー体験を中心としたデザインというのは、ますます重要性が高まってくると思われる。
安全性・利便性を両立した開発を行うために、是非とも活用していただきたい。